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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇皮膚の病気◇

脂漏性皮膚炎


 〔脂漏性皮膚炎〕は、皮脂腺が発達し皮脂の分泌が多い身体部位に発症する、炎症性皮膚炎です。

 この病気が発症しやすい部位は、頭皮や顔面、わきの下、前胸部、背中の中央部、陰部などで、皮膚が赤くなり細かく皮が剥ける特徴があります。

 頭皮では、脂っぽいフケが出やすく、皮膚にも紅斑ができます。ひどくなると、頭皮が厚いかさぶた状になって、ボロボロと剥がれ落ちます。


 また、顔面では鼻の周辺部などに紅斑が出て、脂っぽいかさぶたのようなものができます。

 脂漏性皮膚炎の症状は頭皮や顔面に限らず、身体のいろいろな部位に現れ痒みを伴うこともありますが、一般に痒みの程度は軽度であり痒みを感じない人もいます。

 脂漏性皮膚炎の炎症は、フケ状の付着物を伴う湿疹ということもできます。乳幼児をはじめ大人にも発症します。新生児や乳児に多く見られる病気で、この場合には、乳児脂漏性湿疹と呼ぶこともあります。

 唐辛子やワサビなど刺激性の強い食べ物を好む人に発症しやすいとの説もありますが、定かではありません。


どんな病気ですか? ◆「脂漏性皮膚炎」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
どんな病気ですか?

 脂漏性皮膚炎は、脂分の分泌の盛んな身体部位に発症する湿疹の一種です。脂漏性皮膚炎が発症する主な部位は、頭皮、顔面、前胸部、背中の中央部、わきの下、陰部などです。

 頭皮では、脂っぽいフケが屑となって剥がれ落ちるような症状を呈します。顔面では鼻の周囲などに脂っぽいかさぶた状のものを伴う紅斑が出現します。痒みはあまりなく、ほとんど痒みを感じない人もいます。

 この病気は、生後間もない新生児、乳児や、思春期以降の成人に見られます。新生児や思春期以降の成人では、皮脂分泌量が多くなることも関係しているとされています。


どんな症状ですか? ◆「脂漏性皮膚炎」の症状の説明です。
脂漏性皮膚炎の症状

 脂漏性皮膚炎は、脂漏性湿疹とも呼ばれ、頭皮や顔面など様々な部位に発疹ができる皮膚炎で、フケが剥がれ落ちるような落屑を伴う紅斑ができます。痒みはほとんどなく、あっても軽度です。

 症状が現れやすい場所は、頭皮、顔面などの皮脂の多い部位が主体ですが、わきの下などの汗をかきやすい場所、摩擦の多い部位にもよく現れます。

 脂漏性皮膚炎には、生後1~2か月の新生児に出現型脂漏性湿疹と、皮脂の分泌が亢進する思春期以降に出現する成人型脂漏性湿疹とがありますが、症状の出方は乳児と成人とでは若干異なります。

脂漏性皮膚炎の症状
乳児型脂漏性湿疹

 乳児に発症する場合は脂漏性湿疹と呼ばれ、前額部から頭部にかけて多くの発疹が出現します。多くの場合に乳児期を過ぎると自然に軽快しますが、一部ではアトピー性皮膚炎に移行するものもあります。

成人型脂漏性湿疹

 思春期以降に発症する場合は高齢者脂漏性湿疹などとも呼びますが、眉毛内部、鼻の周囲部、口の周りなどに発疹ができることが多く、季節としては冬季に出やすいです。成人型脂漏性皮膚炎は、慢性の経過をとり再発を繰り返しやすく根治はなかなか困難です。



原因は何ですか? ◆「脂漏性皮膚炎」の原因や発症の仕組みの説明です。
脂漏性皮膚炎の原因

 脂漏性皮膚炎は、皮脂分が盛んに分泌される新生児や、思春期以降の成人に発症することが多い病気ですが、脂漏部に存在する常在菌である、癜風菌というマラセチア属真菌という菌の増殖が原因ではないかと考えられています。

 この菌は真菌の一種で、皮脂中に含まれるトリグリセリドを分解し遊離脂肪酸を生じさせ、それが皮膚を刺激することで接触性皮膚炎を発症させるのではないかとの考えです。

 この他、原因として挙げられている仮説に、皮脂中の過酸化脂質による刺激やビタミン類(B2・B5)不足、アルコール依存、ストレス、糖尿病、肝臓疾患などがありますが、真の原因が何かは明確には分かっていません。


診断はどうなりますか? ◆「脂漏性皮膚炎」の検査方法や診断方法の説明です。
脂漏性皮膚炎の診断

 脂漏性皮膚炎の診断は、主に皮疹の分布や症状から行われます。発症部位として頭皮や顔面、わきの下などのいわゆる脂漏部位にあること、顔面などでは左右対称ではないこと、フケ状の屑が落ちることなどです。


治療はどうやりますか? ◆「脂漏性皮膚炎」の治療方法の説明です。
脂漏性皮膚炎の治療方針

 脂漏性皮膚炎の治療は「薬物療法」が基本ですが、それ以上に「生活習慣の改善」も重要だとされています。薬物療法では、ステロイド外用薬や抗真菌薬が使われます。また、抗真菌薬のシャンプーなどが効果を発揮することもあります。

脂漏性皮膚炎の薬物療法

 脂漏性皮膚炎の薬物療法では、「外用薬」「内服薬」および「漢方薬」などの医薬が使用されます。さらに、予防を含めて「生活改善」も必用です。

使用される薬物
外用薬(塗り薬)

 炎症が弱い場合の脂漏性皮膚炎の治療では、先ず抗真菌剤の「ニゾラールクリーム」や「ニゾラールローション」などの外用薬を塗布します。抗真菌剤が体質的に合わないときは、ステロイドを含まない非ステロイド系の消炎剤である「アンダームクリーム」などを塗布します。

 炎症が強い場合の脂漏性皮膚炎の治療では、短期間だけステロイド外用剤の「リドメックスクリーム」や「ロコイドクリー」などを塗布して炎症を軽くしておき、その後は上記の「ニゾラールクリーム」などの抗真菌剤、あるいは「アンダームクリーム」などの消炎剤を使用します。

 ステロイド薬で炎症を劇的に改善できますが、ステロイド薬には重篤な副作用がありますので、使用は短期間に限り、細心の注意が必要です。

 乳児の場合、亜鉛華軟膏で剥がれ落ちる鱗屑を取り除くだけでも症状が改善しますので、ほとんどの場合にステロイド外用剤は必要ありません。

 脂漏性皮膚炎の炎症部には、マラセチア属真菌が見つかることが普通で、ニゾラールなどの抗真菌薬を塗布すると、1~2週間で症状が軽快しますが、3~4か月で再発することが多いので、抗真菌薬の再塗布が必用となります。

 尚、脂漏性皮膚炎の治療でステロイド剤などを使用すれば炎症は劇的に改善しますが、頭部のかさぶたを除去するには、頭皮にオリーブオイルなどをなじませて少しずつ取り除きます。抗真菌薬を含むシャンプーもあるので、これを併用すると効果が高まります。

内服薬

 内服薬には全身療法として「抗ヒスタミン剤」「抗アレルギー剤」「抗菌剤」「ビタミン剤」などが用いられます。

 ・抗ヒスタミン剤:痒み止めです。
 ・抗アレルギー剤:痒み止めです。
 ・抗菌剤    :細菌感染の治療用です。
 ・ビタミン製剤 :ビタミンB2・ビタミンB6の補給用です。

漢方薬

 脂漏性皮膚炎にならないような体質改善として漢方薬が効果があるとの報告もあります。漢方薬は漢方薬単独、あるいは皮膚科の治療薬と併用します。

 炎症が強いい場合では、十味敗毒湯をベースに、黄連解毒湯を服用します。

 症状がベトベトして湿っている場合には、十味敗毒湯をベースに、消風散を服用します。


生活習慣の改善

 脂漏性皮膚炎の予防的処置としては生活習慣の改善が必要です。

生活習慣の改善による脂漏性皮膚炎の予防法
食事

 予防としては、バランスのとれた食生活が基本です。ビタミンB2・B5などの欠乏は症状を悪化させるので、ビタミンB群を多く含む緑黄色野菜をしっかり摂取し、同時に脂肪分の多い食品は極力控えます。肥満もよくないとされています。

 便秘も皮膚症状を悪化させる原因となるので、食物繊維や水分を多めに摂取し、ビタミンB6、ナイアシン、ビタミンEなどを多く含む食品の摂取をします。  ・食物繊維  :イモ類、海草、きのこなど
 ・ビタミンB6 :酵母類や豆類など
 ・ナイアシン :麦や米ぬかなど、ピーナッツ、魚類
 ・ビタミンE :植物油や小麦胚芽など

 ・脂分の多い食品:糖分の多い菓子類、ナッツ、コーヒー、アルコールなど

 脂漏性湿疹は、刺激性の食物、たとえば唐辛子や辛子、わさびなどを好む人に多いとされますので、注意が必要です。

生活習慣

 他の病気と同様に、睡眠不足やストレス、過労、過飲過食は症状に悪影響を与えます。特に、十分な睡眠と過労やストレスの蓄積がないようにしなくてはいけません。

清潔

 脂漏性皮膚炎は、不潔にしていると症状を増すます悪化させるので、清潔には十分な配慮が必要です。また、低刺激性の石鹸やシャンプー・リンスを日常的に使用するなどの注意が大切です。

 石鹸やシャンプーでは、香料や色素など余分な成分を含まない商品がよく、低刺激性をうたっている商品を使用しましょう。シャンプーには、細菌の増殖を抑制するとされるシャンプーが市販されています。特に、ジンクピリチオン配合のシャンプーは抜群のフケ取り効果があります。

 入浴時には、頭皮など症状のある部位は特に丁寧に洗い、皮脂や角質の剥がれ落ちる屑を洗い流します。あまりゴシゴシ洗うと肌を傷めて症状を悪化させますので、緩やかに時間をかけて洗います。低刺激性のシャンプーの使用も不可欠です。