アトピー性皮膚炎の一般的原因
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アトピー性皮膚炎の原因は、基本的には何らかの理由でアレルギー反応が起こり、皮膚に炎症をもたらすわけですが、原因の本質的部分には「遺伝的要因」と「環境要因」とがあるとされています。
遺伝的要因とは、簡単には「アレルギー体質」とか「アレルギー素因」などと呼ばれるもので、生まれながら持ち合わせている体質的なものを指します。また、環境要因とは、主にアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン・抗原)との接触や日常の生活習慣などを指しています。
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遺伝的要因
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一般に、アトピー性皮膚炎になりやすい人は「アトピー素因」を持つ人、「アトピー体質」の人などといわれます。このような先天的な素因を持つ人がアレルギーの発症を招くような「アレルゲン(抗原)物質」と接触したり、摂取したり、あるいは「機械的刺激」に晒されると、皮膚炎を発症するのです。
アレルギー体質の人は、自分自身でも他のアレルギー疾患の経験があったり、兄弟姉妹や家族内に同じような症状を持つ人が多くいるのが普通です。このような観点から、少なくとも、遺伝的に「アレルギーになりやすい体質」を継承しているものと考えられているのです。これは、そのような人は絶対にアレルギー性皮膚炎になるということではなく、特定のアレルゲンとの接触や、摂取によりアレルギーを起こしやすい体質だという意味になります。
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環境要因
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アトピー性皮膚炎は、一種のアレルギー性体質の人が、原因物質となるアレルゲン(抗原)に接触したり、体内に摂取して発症します。皮膚炎発症のパターンは、蕁麻疹などのようにアレルゲンを摂取すると直ぐに症状が現れる「即時型アレルギー」と、摂取後かなりの時間が経過してから症状を現す「遅延型アレルギー」とがあります。
また、近年の化学調味料をはじめ、化学薬品や化学肥料、自動車の排気ガス、化学衣料などに晒される機会の多い、先進国でより深刻な問題となっていることからも分かるように、環境変化も大きな誘引原因となっていると考えられます。
これを証明する例として、発展途上国での患者数がこの数十年に増加傾向があるとの報告もあります。また、このような環境変化だけでなく、精神的なストレスが発症を招くことも多いことから精神的要因も無視できないものとなっています。
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原因物質と悪化要因
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いわゆるアレルギーを起こしやすい全ての物質が、アトピー性皮膚炎を誘起する原因物質となりえます。また、そればかりでなく、アレルギー症状を悪化させる精神的要素や生活習慣もあります。
ダニ・ハウスダスト類 |
コナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニなどのダニや、ハウスダスト、小鳥の糞など
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食物類 |
ソバ、小麦、卵白、大豆、ミルク、米、トウモロコシ、ゴマなどがアレルゲンとなることが多く、特に尿幼児~学童期に多くなります。
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花粉類 |
ブタクサ、ヨモギ、カモガヤ、ハルガヤ、アキノキリンソウ、ギョウギシバ、オオアワガエリ、アシなど
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真菌類 |
カンジダ、ペニシリウム、クラドスポリウム、アスペルギルス、アルテリナリアなど空気中に浮遊しているカビや真菌類なども原因となります。
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動物上皮類 |
猫、犬など、ペット類の皮膚や糞、汗、毛などがアレルゲンとなります。
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刺激性生活物資など |
毛糸のセーターなど刺激性のある衣類や髪の毛、皮膚に直接刺激を与える石鹸、シャンプー、香水など化粧品類、汗、よだれなどが悪化要因となります。
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ストレス・生活習慣 |
精神的ストレスや生活の乱れ、極端な偏食などが悪化要因となります。また、皮膚の掻き癖は危険で皮膚を掻くとそこから更にアレルゲンが侵入するために悪循環となります。
入浴し清潔にすることは必要ですが、石鹸などの刺激物が長時間、身体に接触したり、身体を強くこすると悪化要因となります。
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