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体の病気

 

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〔身体の病気〕

◇皮膚の病気◇

皮膚掻痒症


 皮膚表面には何も出きていないのに、痒みの症状だけが強く出るものを皮膚掻痒症といいます。掻きむしるとますます拡がり悪化する特徴があります。

 皮膚掻痒症には、原因として全身性疾患を伴うものと、全身性疾患を伴わないものとがあります。


 原因となる全身性疾患には、次のようなものがあります。

 ・原発性胆汁性肝硬変
 ・慢性腎不全
 ・腎透析
 ・血圧異常
 ・甲状腺機能異常
 ・皮膚の老化
 ・薬剤の影響


 皮膚掻痒症では、皮膚表面に何も出てこないという特徴があります。強い痒みに襲われる点で似ている痒疹という皮膚疾患がありますが、こちらは皮膚表面にしこりができる点で異なります。どちらも、掻きむしるとますます拡がり悪化する点では一致しています。


 皮膚掻痒症の種類には、次の四つのものがあります。

 ・全身性皮膚掻痒症
 ・限局性皮膚掻痒症
 ・老人性皮膚掻痒症
 ・妊娠掻痒症

 どの掻痒症でも、痒みを掻きむしると症状は更に悪化してしまうので、このようなことにならないために、保湿クリームや痒み止めなどの治療薬が必要です。

皮膚掻痒症の種類
全身性皮膚掻痒症  痒みが全身的。

限局性皮膚掻痒症  痒みは外陰部や肛門周辺、頭部などに限局的。

老人性皮膚掻痒症  高齢者に特有な症状で、皮脂の分泌が少なくなり乾燥して起こる。乾皮症、皮脂減少性皮膚炎ともいう。

妊娠掻痒症  妊婦に特徴的にみられる痒みの症状。



どんな病気ですか? ◆「皮膚掻痒症」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
どんな病気ですか?

 皮膚掻痒症は、肉眼的には皮膚に目立った異常を認めないのに、皮膚に痒みがでる病気です。激しい痒みのために掻きむしることが多く、引っかき傷や発赤、茶褐色の色調変化などを伴うことがあります。

 痒みに発症部位による分類として全身に症状の出る「全身性皮膚掻痒症」と、痒みに出る場所が外陰部や肛門周辺、頭部などに限局する「限局性皮膚掻痒症」とがあります。

 年代などの特殊状況による分類として、高齢者が乾燥肌のために痒みをうったえる「老人性皮膚掻痒症」があります。高齢者では、皮脂や水分の分泌が低下するために皮膚が乾燥することが多く、このような場合は「乾皮症」または「皮脂減少性皮膚炎」とも呼ばれます。

 また、妊婦に特有なものとして「妊婦掻痒症」があります。


どんな症状ですか? ◆「皮膚掻痒症」の症状の説明です。
皮膚掻痒症の症状

 皮膚掻痒症の特徴は、皮膚に見かけの発疹などの異常がないのに痒みだけが出現する症状を呈することです。持続的に出る痒み、発作的に出現する痒み、ムズムズする程度の弱い痒み、チクチクするほど刺激の強い痒みなど、いろいろな痒み症状を呈することがあります。

 入浴後など身体が温まったときや、入眠時などに痒みがでることがしばしばあります。

 痒みを掻きむしると、更に痒みが増し、皮膚にスクラッチ・引っかき傷を作らないと治まらない痒みが出ることもあります。

 乾燥肌にできる乾皮症の場合には、皮膚の含水量の低下による角層の乾燥が原因ですが、女性よりも男性の方が多く出現します。


原因は何ですか? ◆「皮膚掻痒症」の原因や発症の仕組みの説明です。
皮膚掻痒症の原因

 皮膚掻痒症の発症原因は、老化による皮膚の乾燥に起因する場合が多くあります。加齢に限らず、皮膚掻痒症の原因となるものに、遺伝、低湿度、寒冷、過度の暖房などの自然環境、あるいは屋内環境による皮膚の乾燥もあります。

 しかし、全身性皮膚掻痒症の更に重要な原因として、基礎になる特定の病気があって、それにより発症している場合がしばしば見られます。また、外陰部や肛門周囲に限定的に発症する掻痒症についても特定の病気が原因となることがあります。

 全身性皮膚掻痒症、限定性皮膚掻痒症の原因となる病気には下記のようなものが知られています。

皮膚掻痒症の原因となる病気
全身性皮膚掻痒症

 ・慢性腎不全
 ・肝疾患
 ・痛風
 ・糖尿病
 ・甲状腺疾患
 ・多血症
 ・鉄欠乏性貧血
 ・悪性リンパ腫
 ・がん
 ・寄生虫疾患
 ・精神神経疾患
 ・薬剤中毒

限定性皮膚掻痒症

 外陰部や肛門周囲に限ってみられるものには次のような病気が原因となることがあります。

 ・便秘
 ・尿道狭窄
 ・前立腺肥大症
 ・前立腺がん、
 ・腟カンジダ症
 ・腟トリコモナス症
 ・蟯虫症(ぎょうちゅうしょう)


診断はどうなりますか? ◆「皮膚掻痒症」の検査方法や診断方法の説明です。
皮膚掻痒症の診断

 基本的には、皮膚に目立った異常がないのに、強い痒みを訴えるなら、皮膚掻痒症の可能性が強くなります。痒さのために皮膚を掻きむしってしまい、皮膚に傷や湿疹が発症してしまうと、通常の湿疹との判別が困難となることもあります。

 皮膚掻痒症の潜在的原因として、他の内臓疾患などが原因となっていることが多々あるので、血液検査やX線検査などで、基礎となる疾患がないか確認する必要が起こる場合も少なくありません。


治療はどうやりますか? ◆「皮膚掻痒症」の治療方法の説明です。
皮膚掻痒症の治療方針

 皮膚掻痒症の治療法は原因により異なりますが、基礎となる特定の原因疾患があるものと、特定できる原因がはっきりしない場合の清潔習慣改善的なものとがあります。

基礎疾患のある場合

 原因の項目で示したような、慢性腎不全、肝疾患、痛風、糖尿病などの特定の原因疾患があって掻痒が発症している場合には、その基礎疾患を治療することが不可欠です。

 基礎疾患の治療と同時に、皮膚自体に対しての対症療法として、皮膚に対して尿素軟膏やワセリンを使用して皮膚の乾燥を防止し保湿します。既に引っかき傷があって皮膚炎が起こっている場合には、ステロイド外用薬を塗ることもあります。

 また、痒みの抑制には、抗ヒスタミン薬が効果を発揮し激しい痒みを軽減します。

特定疾患のないもの

 特定の重要疾患に基づかない掻痒の場合の原因は、体質的に掻痒を発症しやすいという体質遺伝的要素もありますが、多くは、加齢や室内環境の管理不適、外部環境の変化などによることが多いので、生活習慣の見直しと改善をすることで症状を軽減できる場合が多いです。

生活習慣の改善にる症状の軽減
掻きむしり

 痒さのために掻きむしると一気に症状を悪化させ、皮膚に傷をつくり化膿させたり湿疹に発展させることが多いので、とにかく掻きむしらないようにします。

入浴

 熱いお風呂に入ると一時的に痒みを忘れることができるのですが、何度も入浴すると皮膚を乾燥させる原因にもなるので注意が必要です。お風呂ではあまり熱い風呂や、石鹸の使い過ぎに注意しましょう。

 硫黄分の入った入浴剤もよくありません。硫黄分が皮脂の分泌を抑え皮膚を乾燥させてしまいます。

冷暖房・寝具

 冷暖房は過度な高温、過度な低音にならないようにします。適度な温度・湿度の管理が最も大切です。

 肌着には、ゆったりした木綿製品や絹製などがよいです。また、就寝時には電気毛布の使用は好ましくありません。

運動・食事

 運動や食事は大切ですが、どちらも過度に偏らないことが必要です。

 肉体的、精神的なストレスを避け、過度の運動は避けましょう。発汗を抑え、睡眠や休養をとるようにします。

 食事では、刺激の強いものは極力制限します。辛いもの、熱いもの、アルコール、香辛料、濃い味の漬物などを避けます

その他

 掻痒症には心因的なものも原因となることがあるとされています。性的不満などが原因で外陰部の痒みが生じるともいわれています。