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〔女性の病気〕

骨盤内感染症


 下図は骨盤の骨格を前方から見た図です。

 男性と女性で骨盤の構造自体は全く同じですが、女性の骨盤は子供を宿しやすいようにやや横に開いています。

 骨盤の構造は、二つの腸骨の他、仙骨、恥骨、坐骨という4種類の骨から成っています。


 図では分りませんが、腹壁の内側や内臓の表面を覆っている膜を腹膜といいます。

 女性の骨盤はその内部に子宮や卵巣を持ち、妊娠に備えるため、男性に比べると複雑な構造になっています。

 女性の骨盤内の骨盤腹膜と呼ばれる薄い膜の内部には、前方に膀胱、後方に直腸があり、その中間部に子宮や卵巣・卵管などの重要な臓器があります。


 この骨盤腹膜内の臓器などに炎症が起こる病気が〔骨盤内感染症〕ですが、特に腹膜に炎症が起これば、骨盤腹膜炎と呼ばれる病気です。下腹部の痛みや高い発熱、悪寒、吐き気、下痢などの症状が現れます。

 骨盤内感染症は、子宮や卵管、卵巣などの女性性器、あるいはその周囲にある腹膜や結合組織などに起こる病気の総称ということになります。

 結核菌や淋菌、大腸菌、あるいは性感染症の原因となるクラミジアなどの微生物が、膣を経由して子宮内、卵管、お腹の中に侵入して炎症を起こせば〔骨盤内感染症〕となります。

 以前には、AKB-48所属の有名な女性歌手が骨盤腹膜炎に罹ったとのニュースもありました。


どんな病気ですか? ◆「骨盤内感染症」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
骨盤内感染症は
どんな病気ですか?

 骨盤内感染症は、女性の生殖器である子宮や卵管、卵巣などの女性性器、あるいはその周囲にある腹膜や結合組織などに起こる感染症を総称した呼び名で、英語では「PID:Pelvic Inflammatory Disease」と呼ばれている疾患群です。

 骨盤内感染症は、感染源となる微生物が膣を経由し子宮入り口から子宮内に侵入し、卵管を通り腹部内部へと広がり起こる感染症の病気です。女性生殖器の中で、卵管と卵巣を付属器といい、そこに炎症が起こるものを「付属器炎」、腹膜に炎症が起こるのを「骨盤腹膜炎」といいます。さらに骨盤内の子宮や卵管、卵巣、骨盤内腹膜での炎症を総称して「骨盤内感染症」と呼んでいます。

 原因となる微生物は、従来は結核菌や淋菌、大腸菌などが主流でした。しかし、近年ではクラミジアをはじめとする性感染症特有な微生物が原因となる場合が非常に多くなっています。

 骨盤内感染症の主な症状は、発熱を伴う下腹部の激しい痛みで、痛みの程度や場所はさまざまです。感染を引き起こす原因は、大部分は性的接触によるものですが、分娩や流産に伴う治療によるものやタンポンの使用時などに感染するものなどあります。

 骨盤内感染症になると、発熱や腹痛などの他に、多くの場合に不妊の原因になるとされ、患者の20%が不妊になるとされています。

 この病気は、性的に活発な女性に多くみられ、若くて未成熟な女性、妊娠中や閉経後の女性には少ない病気です。避妊具を正しく使用しない女性、複数のセックスパートナーがいる女性、性感染症に罹っている女性、子宮内避妊具を使用する女性などに感染のリスクが高くなります。


どんな症状ですか? ◆「骨盤内感染症」の症状の説明です。
骨盤内感染症の症状

 骨盤内感染症の症状は、発熱や悪寒を伴いながら、下腹部を中心にした急激な腹痛が起こり、おりものがでます。痛みの発生する部位は、下腹部中心部や右下腹部、左下腹部とさまざまです。短期間の中で右上腹部に広がることもあります。

 症状が慢性化することがり、腹痛や腰痛の他、卵管閉鎖や癒着が起こり不妊症や子宮外妊娠の原因ともなります。

 骨盤内感染症に属する病気はいろいろありますが、主な感染症には、子宮頚管炎、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤腹膜炎、淋病感染症、クラミジア感染症などがあります。


原因は何ですか? ◆「骨盤内感染症」の原因や発症の仕組みの説明です。
骨盤内感染症の原因

 感染原因となる病原体は、大腸菌、クラミジア菌、淋菌、結核菌などで、大部分は性的接触などにより、膣から侵入し感染します。

 原因となる病原体は、膣内から子宮を通り抜けて、卵管、骨盤内へと侵入していろいろな生殖器などで炎症を起こします。


診断はどうなりますか? ◆「骨盤内感染症」の検査方法や診断方法の説明です。
骨盤内感染症の診断

 発熱や痛みの症状、部位、程度などから骨盤内感染症が疑われると、内診などにより検査が行われます。内診とは、膣内、子宮などを詳細に観察することです。

 また、子宮頚部から分泌物を採取し、クラミジア感染症や淋菌感染症に罹っていないか検査します。通常は白血球数の増加がみられるので血液検査も行われます。

 超音波検査機で骨盤部を撮影し、異常の有無を確認します。

 これらの方法で検査しても診断がつかないときや、治療を始めても思うような効果が認められない場合には、臍の近くに小さな穴を開けて、腹腔鏡を挿入し、腹腔内部を直接観察して診断することがあります。


治療はどうやりますか? ◆「骨盤内感染症」の治療方法の説明です。
骨盤内感染症の治療

 一般的に骨盤内感染症の治療は、抗生物質により行います。通常使用される抗生物質はセフェム系、ペネム系、ニューキノロン系、ペニシリン系などです。原因となる病原体により、マクロライド系やテトラサイクリン系などの抗生物質を併用したり、変更したりすることがあります。

 通常、症状が重症でなければ通院し、1~2種類の抗生物質の投与を受けます。多くはこれで軽快します。

 しかし、抗生物質の投与開始後、48時間以内に症状の改善がみられない場合や、発熱や腹痛などの症状が激しい場合、妊娠している場合、および膿瘍が確認された場合には、入院して抗生物質の点滴などにより治療します。

 重症の場合には、特定の抗生物質では効果のないものもあるため、カルバパネム系抗生剤や免疫グロブリン製剤(ガンマベニン、ベニロン等)を使用する場合もあります。

 このような、抗生物質の投与でも効果が見られない場合や、膿瘍の存在や癒着が確認され痛みなどの症状が持続している場合などでは、症状により手術療法が必要となることもあります。

 特に、膿瘍があるときは、開腹手術により膿瘍を除去する必要があるからです。このような手術療法は、症状の急性期ではなく、抗生物質での応急手当が一段落して症状がある程度安定した時点で行われます。

 尚、治療には長期間かかることもありますが、症状がよくなってきて安心して勝手に薬の服用を中止したりすると、再発の恐れがあるので、医師から完治したといわれるまでは治療を続けなければなりません。