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〔女性の病気〕

乳腺炎


 女性の乳房は、鎖骨の下あたりにあり、その構造は下図に示すように多くの組織からできています。

 乳房の主要部分は、お乳を溜める「乳腺」や「乳管」「乳頭」および「乳輪」などであり、妊娠するとこれらの部位が活性化してお乳を作り赤ちゃんに飲ませるようになるのです。

 〔乳腺炎〕は、授乳中の女性に起こる病気で、何らかの原因で乳腺が炎症を起こす疾患です。


 通常、出産後1~2週間以内に、何らかの原因で乳房が硬く腫れて激しい痛みを生じます。乳首に出来物が出来たりします。

 授乳時にできた乳首の傷などから侵入した細菌による細菌感染で起こる「急性化膿性乳腺炎」と、授乳が順調に出来ず、乳房に母乳が溜まりすぎて起こる「停滞性乳腺炎」とがあります。


 急性化膿性乳腺炎は、細菌感染によって乳房が赤く腫れ、発熱し激しい痛みを伴います。この場合は直ちに授乳を中止し、抗菌薬による治療などをしなければなりません。

 停滞性乳腺炎は「急性うっ血性乳腺炎」とも呼ばれ、乳汁が溜まったままになった乳房が赤くなり、硬く腫れて痛みが生じます。この場合は、揉みほぐすなどで乳汁が溜まらないようにすれば治ります。


乳腺炎はどんな病気ですか? ◆「乳腺炎」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
乳腺炎は
どんな病気ですか?

 子供を出産すると、新生児にお乳を飲ませるために、乳房は活性化して盛んにお乳を作るようになります。お母さんがおっぱいを作り、赤ちゃんがおっぱいをどんどん飲んでくれれば順調に生育してくれます。

 赤ちゃんがおっぱいをかじるなどして、乳首(乳頭)や乳輪などに傷を作ると、そこから乳房内部に細菌が侵入し炎症を起こすことがあります。こうなると乳房が赤く腫れて激しく痛みます。これを「急性乳腺炎」とか「急性化膿性乳腺炎」と呼んでいます。

 また、出産後に赤ちゃんが順調におっぱいを飲んでくれればいいのですが、赤ちゃんがしっかり飲んでくれない、授乳がうまくいかないで乳汁が乳房内に溜まってしまい、乳房が赤くなり硬く腫れて痛みを生じるようになります。これを「停滞性乳腺炎」とか「急性うっ血性乳腺炎」などと呼んでいます。

乳房の構造と働き

 乳腺炎をより正しく理解できるように、乳房の構造と働きを簡単にご説明します。

 乳房は男女共に、左右の胸壁にひとつずつあり、女性の場合には性的に成熟すると膨らみをもつようになります。女性の乳房の状態を決めているのは、卵巣ホルモンや黄体ホルモンという女性ホルモンです。乳房を構成する部位は、乳頭(乳首)、乳輪、乳管、乳腺葉、乳腺などです。

乳房の構造・働き
乳頭

 乳頭とは乳房の先端部分のことで、乳首とも呼ばれます。乳頭には15~20本の乳管が開口していて、そこから乳汁・おっぱいが分泌されます。

乳輪

 乳頭の周囲を取り囲む輪状の部位で、やや赤みがかった色素にとんだ色をしています。この部位には、「乳輪腺(モントゴメリー腺)」、「汗腺」、「脂腺」といったものが通っています。

乳腺葉

 乳房内に無数にある乳汁を分泌する部分のことです。

乳腺

 乳腺葉で分泌された乳汁は乳細管(乳管)を通り、乳管、乳頭(乳首)へと至りますが、これらの部分をまとめて言います。

 乳房は、女性が妊娠し出産するタイミングに応じて、「月経期」「妊娠期」および「授乳期」という三つの異なる働きをします。

乳房の働き
月経期

 黄体ホルモンの作用で月経前の排卵期には乳房が張り、触ると軽く痛むことがあります。

妊娠期

 妊娠すると、授乳の準備期間に入ります。黄体ホルモンの分泌で乳腺や乳腺葉が増殖しはじめ、乳房は更に大きく膨らみます。

授乳期

 出産後、乳乳がつくられ赤ちゃんの栄養源となります。乳汁は下垂体の乳汁分泌ホルモン(プロラクチン)の作用で乳腺葉から分泌されます。赤ちゃんが乳頭(乳首)に吸い付くと間脳から下垂体後葉に刺激が伝わり、ホルモンが分泌され、乳腺周囲の筋肉が収縮して乳汁が分泌されます。



どんな症状ですか? ◆「乳腺炎」の症状の説明です。
乳腺炎の症状

 基本的に乳腺炎は、乳首や乳輪部などにできた傷口からの細菌感染で起こるものと、出産後、乳汁ができるのにうまく排出できず乳腺内に溜まってしまい炎症を起こすものとがあります。

 乳腺炎のうち、細菌感染による乳腺炎には「急性乳腺炎」と「乳輪下乳腺炎」という二つの種類があります。そして、乳汁が乳腺内に溜まってしまう乳腺炎に「うっ帯性乳腺炎」があります。

 乳腺炎には一般的な症状として、身体にでる症状と母乳にでる症状とがあります。これらの症状のひとつでも思い当たることがあれば、乳腺炎になっている心配がありますので、早めに受診することをお勧めします。

乳腺炎の一般的症状

 乳腺炎の一般的症状として「身体にでる症状」と「乳汁にでる変化」とがあります。

乳腺炎の一般的症状
身体にでる症状

 乳腺炎になると症状は先ず身体にでます。赤ちゃんにお乳を吸わせると、おっぱいがチクチク痛む程度から気づくことが多いですが、この程度ならまだ軽症で乳腺や乳管の軽い詰まりの始まりです。

 この程度なら、赤ちゃんにマメに飲ませるようにしたり、おっぱいのマッサージなどで解消できる段階です。

 おっぱいの膨らみ部分のどこかが痛むときは、軽度の詰まりの状態から、乳腺の中に古い乳汁が溜まってしまい、細菌感染を起こしている可能性があります。

 授乳後少し経ってから乳首から背中にかけて激痛が現れ、30分以上も痛みが続くことも多々起こります。このようなときは、乳首に白斑などの症状が起きている可能性があります。

 白斑というのは、乳首に白色または透明の小さなおできや水疱ができたものです。これは乳腺やおっぱいの出口が詰まってしまい、母乳が乳首の外にでられなくなって起こります。吸われると乳首が痛むことがあります。

 この段階でも乳房のマッサージで良くなることもありますが、炎症を抑えるための抗生物質の投与が必要になるかも知れません。

 身体に現れる具体的な症状には次のようなものがあります。

 ・乳房の一部が固くなりしこりができる。
 ・乳房の一部が押さえると痛む。
 ・乳房の一部が熱を持つ。
 ・乳腺が赤く腫れて痛む。
 ・乳首に白斑が現れる。
 ・発熱や肩の凝り、頭痛、寒気がすることがある。
 ・膿瘍を形成し、乳汁に膿が混ざることがある。
 ・乳房に近い腋窩リンパ節に腫脹ができる。
 ・赤ちゃんを抱っこすると乳房が痛む。歩くと響いて痛む。
 ・腕を上げると痛む。

乳汁の変化

 乳汁にも変化がでて、赤ちゃんが飲まなくなることがあります。古くなった乳汁が細菌感染などで乳房内で変質することがあるからです。

 ・搾ると半透明の白い母乳ではなく黄色みがかった母乳が出る。
 ・味を確かめてみると、しょっぱかったりして美味しくない。


急性乳腺炎

 急性乳腺炎は、主にはじめて赤ちゃんを出産した女性が授乳を始めてから1~3週間後に発症することが多いです。赤ちゃんが吸い付いたり、かじったりして、乳頭(乳首)や乳頭周辺の乳輪部の皮膚が傷つき、そこから細菌が侵入して乳腺・乳管に炎症を起こすのです。

 乳管内に溜まったお乳が細菌感染で腐敗し、その部分に膿瘍(おでき)できた状態です。

 このような急性乳腺炎になると、乳房が赤く腫れて、激しい発熱を伴います。直ちに授乳を中止し、受診し、抗菌薬などでの治療を受けなければなりません。

乳輪下膿瘍

 乳首の周囲で色素沈着している皮膚が乳輪ですが、この下におできができることが多く、これを乳輪下膿瘍と呼んでいます。

 この症状は陥没乳頭に合併して起こることが多い疾患です。乳頭が陥没しているとその部分に垢などがたまり、細菌がついて感染するのです。

 陥没乳頭とは、乳頭がへこんでしまっている状態をいい、特に珍しくはなく10%以上の成人女性に片側あるいは両側で発生します。ちょっと刺激すると膨らむ仮性陥没乳頭と、刺激しても突出しない真性陥没乳頭とがありますが、手術で治せます。

 乳輪下膿瘍は、切開排膿で症状が軽減しますが、慢性化することもあるので乳首周囲を清潔に保つなど注意が必要です。慢性化してしまうと乳輪周囲に蜂巣炎、乳頭分泌、乳頭瘻孔というような症状を起こすようになります。

停滞性乳腺炎

 停滞性乳腺炎は、「急性うっ血性乳腺炎」とも呼ばれ、乳汁が溜まったままになり乳房が赤くなり、硬く腫れて痛みが生じます。この場合は、揉みほぐすなどで乳汁が溜まらないようにすれば治ります。


原因は何ですか? ◆「乳腺炎」の原因や発症の仕組みの説明です。
乳腺炎の原因

 先にご説明したように、乳腺炎には細菌感染によるものと、授乳が思うようにできすに乳汁が乳房内に溜まってしまってなるものとがあります。

乳腺炎の発症原因
細菌感染

 乳首や乳輪部にできた傷がもとで細菌が侵入し、乳腺組織に細菌感染して起こる乳腺炎です。授乳開始後1~3週間くらいで起こる急性乳腺炎と慢性化しやすい乳輪下膿瘍とがあります。

 細菌感染の原因菌は、主にブドウ球菌や連鎖球菌などです。

授乳不良

 授乳不良による乳腺炎は、乳汁が乳房内に過剰に溜まりこんで起こる乳腺炎で、停滞性乳腺炎とかうっ帯性乳腺炎とよばれるタイプです。

 赤ちゃんの乳汁の吸引力が弱いために乳汁がうまく排出できない場合と、乳管に詰まりがあり、十分に開いていないために起こる場合とがあります。

 直接原因ではないものの、日常生活における下記のような点にも注意をしましょう。

 ・授乳間隔が開きすぎないようにする。
 ・赤ちゃんの飲み方、姿勢にも工夫が必要かも知れません。
 ・母乳の飲み残しは手で絞って全部排出する。
 ・バランスのよい食事内容に気を配る。
 ・お風呂によく浸かって、乳房を揉み解す
 ・きついブラジャーはしない。
 ・ストレスをためて育児疲れにならないようリラックスする。



診断はどうなりますか? ◆「乳腺炎」の検査方法や診断方法の説明です。
乳腺炎の診断

 乳腺炎の検査・診断では、マンモグラフィーや超音波検査が行われます。また炎症の程度を調べるために血液検査を行います。

乳腺炎の検査方法
マンモグラフィー

 マンモグラフィーは、乳房専用の撮影装置で、乳がんの検査などでよる使われる検査機器のひとつです。

 乳房専用のレントゲン検査機で、乳房を上から見た「頭尾方向」と、乳房を挟み込んでレントゲン写真を撮る「内外斜位方向検査」とで、乳房内のしこりや、小さな白い粒(微細石灰化)がないか調べます。

 この検査では、手で触っても分からないような小さな腫瘍(がん)や、しこりを作らない病変などを調べるのに有効な検査機器です。

乳房超音波検査

 乳房超音波検査は、エコー検査といって、超音波を乳腺組織などにあてて、その反射信号を画像として撮影する検査機器です。

 乳房に膿が溜まると、超音波検査で黒く水分を含んだ状態の画像が得られます。腫瘤や乳管拡張の有無なそを検査できます。

血液検査

 乳腺炎の炎症の程度を調べるために血液検査をして白血球の状態などを調べます。細菌による急性感染症がおきていれば、白血球数が増加します。



治療はどうやりますか? ◆「乳腺炎」の治療方法の説明です。
乳腺炎の治療

 乳腺炎の治療は、その発症原因により異なります。細菌感染の場合は、いったん授乳を中止し、抗生物質などでの治療が必要です。また、乳房内に乳汁が溜まっておこる乳腺炎では、乳管などの詰まりをなくす方法がとられます。

細菌感染による乳腺炎の治療法

 乳首や乳輪部の傷から侵入したブドウ球菌や連鎖球菌が、乳房内部でうっ滞した乳汁に細菌感染すると、化膿性乳腺炎となり乳房内部でおできとなり、乳房の腫脹、圧痛を伴うしこりができ、発熱や疼痛、発赤、脇の下のリンパ節の腫れを起こします。

 このような細菌感染による乳腺炎の治療では、先ず、直ちに授乳を中止し、抗生物質の投与を行います。

 乳房内のおできが大きくなってしまったときは、乳房を切開して内部の膿を排出する「ドレナージ」が必要なこともあります。また、症状によっては、膿の溜まっている部位に細い管を挿入して排膿する方法もあります。

 これらの手術療法によっても軽快しない場合は、炎症性乳がんも疑われるので、他の疾患がないか確認する検査が必要かもしれません。

 細菌感染の場合でも乳輪下膿瘍では、通常は切開排膿すれば軽快しますが、清潔に保つなどを怠ると、再発慢性化してしまうので注意も必要です。慢性化するようなら、陥没乳頭の形成手術など根本的な治療が必要かもしれません。

詰まりによる乳腺炎の治療法

 細菌感染が伴わないつまりによる閉塞性乳腺炎ん・うっ滞性乳腺炎は、乳房の腫脹や疼痛、発熱がありますが、基本的な治療法は、とにかく母乳を外に出してやることとなります。

 この乳腺炎は、乳汁が凝固して乳管を閉塞させているものの細菌感染がないものなので、治療としては乳房を冷やしたり、乳房マッサージや搾乳を行ってうっ帯をなくします。すべての乳管に詰まりがないよう搾り出すことが大切です。

 これで改善するようなら、その後はこまめに飲ませるか、残乳がないように搾り出すようにすれば再発の危険性は減ります。

 乳房が赤く腫れて痛くなり、高熱が出るような症状が出るときは、細菌感染型の乳腺炎に進行してしまっていると考えられるので、病院での受診が必要となります。

<軽症:家庭で>
 ・乳房を冷湿布で冷やす。
 ・乳房マッサージをして乳管を開かせる。
 ・手もみや搾乳機で乳汁を搾り出し、乳腺内に乳汁を溜めない。

<重症:受診して>  ・炎症だけの場合には、抗生物質を使用し治療する。
 ・膿瘍形成時は、膿瘍を切除する外科的治療を受ける。

乳腺炎の予防方法

 乳腺炎の予防法には多くのものがあるので、早期にご自分に合った方法を見つけてこまめに実行することが大切です。授乳中の母親にも優しく、赤ちゃんにも優しい方法が見つかるといいですね。

 ・乳房マッサージをする。(専門のマッサージもあります)
 ・頻回授乳をする。赤ちゃんにこまめに飲んでもらう。
 ・手もみをしたり搾乳器で上手に搾り出す。
 ・痛い部分を保冷剤や食物などで冷やす。
 ・入浴時、おっぱいの暖め過ぎに注意する。
 ・葛根湯を飲む。(医師と相談するといい。)
 ・じゃがいもやサトイモ湿布をする。
 ・安静にする。
 ・陥没乳頭があるときは乳頭を清潔に保つよう毎日清掃する。