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〔膠原病〕

抗リン脂質抗体症候群


 抗リン脂質抗体症候群(APS) は、膠原病のひとつであり、自己免疫疾患のひとつです。抗リン脂質抗体というのは、細胞膜の構成成分であるリン脂質に対する自己抗体です。

 この病気は「抗リン脂質抗体」を持つ人で、血液が固まりやすく、動脈や静脈が詰まる血栓症を発症したり、血小板が減少する症状を呈するような人に発症する病気です。


 この病気になると、血液が固まりやすくなる結果、動脈塞栓や静脈塞栓を繰り返すようになります。女性では、流産や死産をくりかえす習慣性流産や、若年層の脳梗塞発症の原因となります。


 抗リン脂質抗体症候群には、続発性抗リン脂質抗体症候群と、原発性抗リン脂質抗体症候群の二つの種類があります。

 全身性エリテマトーデスを初めとする膠原病である、混合性結合組織病や血管炎症候群、関節リウマチなどの膠原病患者では、抗リン脂質抗体が現れやすく、このような他の膠原病患者がこの病気になったものが、続発性抗リン脂質抗体症候群と呼ばれています。

 また、他に特別な病気がなく単独でこの病気を発症する場合を、原発性抗リン脂質抗体症候群と呼びます。

 抗リン脂質抗体症候群の日本での患者数は、4000人弱とされています。男女比では、女性が男性の1.6倍ほどとなっていて、20歳代の女性に多く発症します。


抗リン脂質抗体症候群はどんな病気ですか? ◆「抗リン脂質抗体症候群」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
どんな病気ですか?

 抗リン脂質抗体症候群(APS:Anti-phospholipid antibody syndrome)は、基本的に免疫異常があって、細胞膜の構成成分であるリン脂質に対する自己抗体を有している人に起こる膠原病のひとつです。

 この抗体があると、どの臓器にでも「血栓」が出きる可能性が大きくなります。しかし、他の膠原病と同様に何故そうなるのか原因がはっきりしていない膠原病の病気のひとつです。


抗リン脂質抗体症候群はどんな症状ですか? ◆「抗リン脂質抗体症候群」の症状の説明です。
抗リン脂質抗体症候群の症状

 この病気の発病のパターンは「静脈血栓」「動脈血栓」および「習慣流産・死産」などで、血栓症は全身のどの部位にも起こる可能性があります。また、網様皮斑、リーブマン・サックス心内膜炎、自己免疫性溶血性貧血などを発症することもあります。

 尚、一度に複数の部位に同時多発的に血栓症が起こり、生命の危険を招くものを「劇症型抗リン脂質抗体症候群」といいます。

抗リン脂質抗体症候群の症状
静脈血栓

 下肢の深部静脈に高頻度で血栓症が起きます。その他にも脳静脈洞血栓症、下大静脈血栓、バッド・キアリ症候群などが起こります。バッド・キアリ症候群とは、肝臓から血液を送る下大静脈や肝静脈にできる血栓症です。

 四肢に発生した血栓が血流に乗って肺に至り、肺血栓や肺梗塞を起こすと、呼吸不全を起こし生命の危険が大きくなります。

動脈血栓

 動脈に血栓ができると、脳梗塞、心筋梗塞、副腎梗塞、胃十二指腸動脈梗塞、腸間膜動脈血栓症などを起こします。脳の血流障害が起こると、片頭痛や意識障害、知能障害、てんかんなどの中枢神経症状が起こることもあります。

 また、末梢動脈の閉塞で皮膚潰瘍や壊死を招いたり、網膜動脈の血栓により視力障害や失明を招くこともあります。

習慣流産・死産

 妊娠中の女性の胎盤に血栓ができると胎盤梗塞となり、胎児に十分な酸素や栄養が届かず、流産や死産を繰り返す習慣性流産症状に陥ることがあります。

 その他、出産はできても胎児仮死があったり、退治の発育遅延などが見られることもあります。



抗リン脂質抗体症候群の原因は何ですか? ◆「抗リン脂質抗体症候群」の原因や発症の仕組みの説明です。
抗リン脂質抗体症候群の原因

 抗リン脂質抗体症候群は1983年に提唱された新しい疾患概念で、血液中に抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体、ループスアンチコアグラント)という自己抗体が出来ることにより、主に静脈や動脈に血栓ができる病気です。

 原因不明の理由によって、抗カルジオリピン抗体(aCL)、ループス抗凝固因子(LAC)などの抗リン脂質抗体などの抗リン脂質抗体が産生されます。


抗リン脂質抗体症候群の診断はどうなりますか? ◆「抗リン脂質抗体症候群」の検査方法や診断方法の説明です。
抗リン脂質抗体症候群の診断

 抗リン脂質抗体症候群の検査では、抗体の有無を調べる検査が行われます。また、分類基準(診断方法)には、国際抗リン脂質抗体シンポジウム(2004年)があります。

 臨床項目の1項目以上が存在し、かつ検査項目のうち1項目以上が存在するとき、抗リン脂質抗体症候群と診断されます。

国際抗リン脂質抗体シンポジウム(診断基準)
臨床所見 血栓症

 画像診断、あるいは組織学的に証明された明らかな血管壁の炎症を伴わない動静脈あるいは小血管の血栓症(過去の血栓症も、診断方法が適切で明らかな他ほかの原因がない場合は臨床所見に含めてよい。表層性の静脈血管は含まない。)

妊娠合併症

 妊娠合併症として下記の「a」「b」または「c」

a.妊娠10週以降で、他に原因のない正常形態胎児の死亡

b.重症の妊娠中毒症、または胎盤機能不全による、妊娠34週以前の正常形態胎児の早産が1回以上

c. 3回以上連続した、妊娠10週以前の流産(母体の解剖学的異常、内分泌学的異常、父母の染色体異常を除く)

検査基準 検査所見

 抗カルジオリピン抗体が、定められた測定法により6週間以上間隔をあけた2回の検査で中・高抗体値を示す。

IgGまたはIgM

β2-glycoprotein I 依存性抗カルジオリピン抗体を検出し得る標準化されたELISAで

測定

 ループスアンチコアグラント(ルーブス抗凝固因子)が6週間以上の間隔をあけて、2回以上陽性となる。

International Society on Thrombosis and Hemostasisのガイドラインに従って検出



抗リン脂質抗体症候群の治療はどうやりますか? ◆「抗リン脂質抗体症候群」の治療方法の説明です。
抗リン脂質抗体症候群の治療

 抗リン脂質抗体症候群の治療法は、血液の凝固を防止するための「薬物療法」と、物理的に抗リン脂質抗体を除去する「血漿交換療法」とが主体となります。

 また、抗リン脂質抗体を有していても特別な症状がない人は、血栓症発症の予防として、少量のアスピリンなどを服用します。

 尚、喫煙やピルの使用、肥満、高血圧、高脂血症は血栓生成の危険因子となるので、日常生活の改善も必要です。

抗リン脂質抗体症候群の治療方法
薬物療法

 既に血栓症を経験したり、現に発症している場合には、血液凝固の防止のために、抗凝固薬(ヘパリン・ワルファリンなど)や抗血小板薬(アスピリン・ジビリダモールなど)を服用します。

血漿交換療法

 既に血栓症を経験したり、現に発症している場合のもうひとつの方法は、血液中の抗リン脂質抗体を機械的に分離し除去します。

 この方法は、血液の一部を抜き取り、血球成分と血漿成分とに分離し、血漿成分中に含まれる自己抗体や免疫複合体を選択的に除去して、正常になった血漿成分と血球成分とを再び体内に戻す方法です。一回あたりの血液処理量は3~4リットルで、これを定期的に繰り返します。

 この方法は、薬物を使用しないので副作用の心配がないのが特徴です。従って、習慣性流産のある女性が妊娠・出産を希望する場合に優れた治療法となります。