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心の病気

 

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〔心の病気〕

◇幼児期・小児期・青年期障害◇

広汎性発達障害

(レット障害)


 〔広汎性発達障害〕あるいは〔PDD〕と呼ばれる一連の発達障害は、生まれつきの脳の器質的異常により発症しますが、〔レット障害〕はその中のひとつです。

 一般に〔広汎性発達障害〕には、次のような三つの特徴があります。

 ・「対人関係の異常」
 ・「コミュニケーションの異常」
 ・「特徴的なこだわり」


広汎性発達障害の特徴
対人関係の異常  他人と視線を合わせることもなく、友達関係ができない、他人と興味を共有できない、感情を伝えあうこともない。

言葉やコミュニケーションの異常  言葉の遅れがあったり、まともな会話が成立しない。オウム返しのような特有な応答をする。また、遊びのルールや役割を理解できない。

特徴的なこだわり  非常に限定されたものにのみ興味を示し、周囲から見ると意味の無い習慣に極度にこだわる。体をくるくる回るなどの常同的行動を行う。


 レット障害は、遺伝子の異常が原因で女児にだけ起こる進行性の神経疾患で、知能や言語・運動能力の遅滞、特定の動作を繰り返すようになるなどの特徴があります。この障害は、子供の育て方によって発症するような障害ではありません。

 レット障害は、生後2~3歳くらいまでは正常に成長を遂げてきた子どもが、それ以降になって、進行性の脳障害を発症し最終的に重度の精神遅滞をともない、生涯にわたって車椅子での生活を余儀なくされるような障害です。

 この障害の原因は、性染色体のX染色体上に存在する「MECP2遺伝子」の突然変異によって起こることが知られていて、女児だけにしか発症しません。

 MECP2遺伝子は重要な遺伝子で、少なくともひとつは正常でないと発生初期で死んでしまいます。

 従って、性染色体の型が「XY」である男子では、X染色体をひとつしか持たないため、ここに異常が起こると発生初期で死んでしまい誕生することがありません。

 一方、「XX染色体」を持つ女子の場合には、一方のX染色体に異常があっても、他方のX染色体が正常であれば、成育して生まれてきます。このため、レット障害は女児だけにしか発症しない特徴があるのです。

 レット障害の発症率は、女児10万人に対して6~7人程度とされています。