普通の人の場合、乳幼児期から学童期にかけての〔分離不安〕を特別大きな問題もなく過ごして、思春期の成長・発展段階を経験しながら、母親やそれに代わる対象者から心理的にも物理的にも自然と分離し、自立した大人へと成長を遂げてゆきます。
しかし、乳幼児期から学童期あるいはそれ以降になっても、母親やそれに代わる依存対象者から分離することを極度に恐れる子どもも多くいます。このような不安感は乳幼児に限らず、大学などへの入学を期に初めて家族から離れた人が〔ホームシック〕になるのと同じようなことで当然のこととも考えられます。
母親などと分離された状態、母親などが不在の状態下で、心理的あるいは物理的に極端な「分離不安反応」を引き起こし、本人や家族などが日常生活に支障をきたす場合を〔分離不安障害〕と呼んでいます。
〔分離不安障害〕になると典型的な身体症状として頭痛や腹痛、吐き気などの自律神経系の症状が多く現われます。また、心理的症状としては、赤ちゃん帰りのような執拗な甘えやおねしょ、遺尿(いにょう)などが起こります。
更に、抑うつ状態や無気力になったり、逆に多動や乱暴行為を起こしたり、不登校などになることもあります。
尚、子どもが〔分離不安障害〕になるのと同様に、母親の方が同様な症状を起こすこともあり、この場合には「過保護な母親」あるいは「子離れができない母親」などとも呼ばれます。
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