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心の病気

睡眠障害の診断

 〔不眠症〕に代表される〔睡眠障害〕ですが、他にも多くの種類があります。

 夜間になって寝ようとしても寝付けなかったり、やっと眠れたのに夜中や早朝に目覚めてしまい、それから朝まで眠れない、睡眠時間は十分あった筈なのに熟睡感がない、あるいは日中の眠ってはいけない時間帯に強い眠気に襲われるなどの症状があれば、〔睡眠障害〕の可能性が大きいです。


 このような〔睡眠障害〕があると、日常生活面でもいわゆるQOL(生活の質)を落としますし、仕事や学業などにも悪影響を及ぼします。車の運転中に眠ったりすれば大きな事故を招くかも知れません。

 人が起きている間、脳は一日中休むことなく働いているので、眠るべき時間がくれば眠って休めなければ疲れを癒し回復することができません。しっかり眠ることでしか、リフレッシュはできないのです。

 〔睡眠障害〕の多くは、適切な治療を行えば、完治は無理としても日常生活に支障をきたさない程度には改善できる可能性がありますので、睡眠について悩みのあるときは専門医の診断を受けることをお勧めします。

 〔睡眠障害〕の専門科は、総合病院などでの精神科や精神神経科、心療内科などですが、精神科に行くのは抵抗がある方は、かかりつけの医師に相談するのがよいでしょう。日常生活での注意点やアドバイスを受けられるほか、必要なら睡眠導入剤や精神安定剤、あるいは睡眠薬を処方してもらうことができます。症状に改善が見られないときは、専門医を紹介してもらうこともできます。

 このコーナーでは、〔睡眠障害〕の一般的な問診内容や検査方法などをご紹介します。

 また、典型的な〔睡眠障害〕である〔不眠症〕については、その症状からある程度は自己診断もできますので、世界的に知られている自己診断法についてご紹介しています。

睡眠障害の診断法 ◆〔睡眠障害〕の一般的な診断法についてご説明します。
睡眠障害の問診  精神科や心療内科などでの睡眠障害の診断は、先ず日常生活における環境や睡眠状態についての詳しい問診から始まります。

 正しい診断をしてもらい、適切なアドバイスや治療をしてもらうためには、日ごろからの睡眠状況はもちろんのこと、それ以外の生活習慣や生活状況などについても、医師に詳しく伝えることが大切です。何よりも大切なことは、自分の睡眠についての悩み、症状を詳しく話すことです。

 問診において、医師は睡眠の状態を詳しく話すように訊ねるので、最低でも1週間程度の就寝時刻や起床時刻、夜中に目覚めたりしたかどうかなどをまとめておくと役にたちます。

 ここでは、睡眠状況や日常生活での環境などの問診例を示します。また、医師が睡眠障害の原因を探るために必要な問診例も示します。

睡眠状況についての問診例
問診項目 区分 症状
生活習慣 1 日ごろから何か運動をしているか?
2 家に閉じこもってばかりいないか?
3 脚がムズムズしたりしないか?
4 毎日を活動的に過ごしているか?
睡眠状態 1 いつ頃から症状が出るようになったか?
2 その症状に心当たりの原因はあるか?
3 寝付くまでどのくらいの時間がかかるか?
4 眠れないという以外の症状もあるか?
5 いびきが酷いといわれたことはないか?
6 眠っている間に呼吸してないといわれたことはないか?
睡眠症状の型 1 寝付くまでに時間がかかるか?
2 夜中に何度も目が覚めるか? その後眠れるか?
3 早朝、早すぎる時刻に目覚めてしまわないか?
4 十分眠ったという熟睡感はあるか?

何が原因なのか調べる問診例
身体的状況 ・慢性的な消化器疾患や高血圧、心疾患などないか?
・がんなどの重大な病気はないか?

生理学的状況 ・深夜勤務などでの不規則生活、一時的な時差ボケはないか?
・昼夜逆転的な悪い生活習慣はしていないか?

心理学的状況 ・家族や仕事のことなどで、人間関係の悩みやストレスを抱えていないか?
・その他、生活上の不安や精神的問題などを抱えていないか?

精神医学的状況 ・統合失調症や不安性障害、抑うつ障害などないか?

薬理学的状況 ・特殊な医薬やカフェインなどを摂取していないか?
・アルコール依存症やニコチン中毒などではないか?


睡眠障害の検査  問診や診察などによって、深刻な睡眠障害が疑われる場合には、医師はその睡眠障害がの原因が「生活習慣」や「身体的要因」「生理学的要因」「心理学的要因」「精神医学的要因」あるいは「薬理学的要因」などのどれによるものかを検討します。

 睡眠そのものに異常があると想定される場合には、「ポリグラフ検査」により、睡眠障害をより詳しく検査します。

睡眠障害の検査や判断
生活習慣  悪い日常生活や飲酒、タバコなどの中毒症状があるなら、改善を指導します。

身体的要因  慢性的な胃腸障害などがあるなら、それら疾患の治療をするよう指導します。

生理学的要因  仕事上で深夜業などをする場合には、どうすれば睡眠を安定化できるかなど指導します。

心理学的要因  人間関係の悩みなどについては専門医によるカウンセリングを受けるよう勧めます。

精神医学的要因  統合失調症などの精神疾患がある場合には、精神科での治療を勧めます。

薬理学的要因  アルコール中毒やニコチン中毒があるなら、それらの治療を行います。

睡眠自体が問題  睡眠自体に問題があると考えられるケースなので、ポリグラフにより睡眠の質やパターンを詳細に検査します。

 ポリグラフ検査は、一晩中にわたり、さまざまな測定機器を付けて睡眠時の状態を詳細に記録する検査で、睡眠時における次のような項目を検査します。

 ・脳波
 ・心電図
 ・眼球運動
 ・あごや下肢などの筋電図
 ・呼吸運動や換気状況
 ・いびきの状況

 これらの検査により、不眠症や睡眠時呼吸障害、睡眠時随伴症などの診断を正確に行うことができます。



不眠症の自己診断法 ◆〔不眠症〕の自己診断法についてご紹介します。
不眠症診断法  不眠症の自己診断法として、世界で共通的に使用される「アテネ不眠尺度」と呼ばれるチェックシートがあります。これを用いると、自分の不眠の度合いを知ることができます。不眠症の症状のある方は試してみるといいでしょう。

 アテネ不眠尺度は、世界保健機関(WHO)が中心になって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」において作成された世界共通の不眠症判定法です。8つの質問に対する回答を最大24点で数値化し、自分の不眠度を客観的に測定することができます。

 試験の方法は簡単です。下記のA~Hの8つの質問に答えるだけです。

 1.過去1か月間に、少なくとも週3回以上経験したものにチェックをして下さい。

 2.それらの選択肢の先頭にある点数を集計して下さい。

 3.合計点数によって判定して下さい。(判定表は質問表の下に示します。)

アテネ不眠尺度
症状 点数 症状
A
寝つきは(布団に入ってから眠るまで要する時間)
0 いつも寝つきはよい。
1 いつもより少し時間がかかった。
2 いつもよりかなり時間がかかった。
3 いつもより非常に時間がかかったか、全く眠れなかった。
B
夜間、睡眠途中に目が覚めることは?
0 問題になるほどではなかった。
1 少し困ることがあった。
2 かなり困っている。
3 深刻な状態か、全く眠れなかった。
C
希望する起床時間より早く目覚め、それ以上眠れなかったか?
0 そのようなことはなかった。
1 少し早かった。
2 かなり早かった。
3 非常に早かったか、全く眠れなかった。
D
総睡眠時間は?
0 十分である。
1 少し足りない。
2 かなり足りない。
3 全く足りないか、全く眠れなかった。
E
全体的な睡眠の質は?
0 満足している。
1 少し不満。
2 かなり不満。
3 非常に不満か、全く眠れなかった。
F
日中の気分は?
0 いつも通り。
1 少しめいった。
2 かなりめいった。
3 非常にめいった。
G
日中の活動について(身体的及び精神的)
0 いつも通り。
1 少し低下。
2 かなり低下。
3 非常に低下。
H
日中の眠気について
0 全くない。
1 少しある。
2 かなりある。
3 激しい。

不眠症の自己診断判定表
合計点数 判定 備考
4点未満 睡眠障害の心配はありません。
4点~5点 不眠症の疑いが少しあります。 できれば医師に相談してください。
6点以上 不眠症の疑いがあります。 医師に相談することをお勧めします。