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心の病気

 

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〔心の病気〕

◇睡眠障害◇

人間の睡眠


 人間はある意味で「眠る動物」であるということができます。

 逆にいうと睡眠を取らなければ生命を維持することは不可能です。

 人間の睡眠は、身体の恒常性(ホメオスタシス)の調節に不可欠な要件なのです。


 ホメオスタシスというのは、生体機能の一般的原理であり、身体内部環境のさまざまな変化に応じて、形態的、機能的状態を一定の範囲に保持することをいいます。

 ホメオスタシスがあることで人間は体温などを適度な範囲に保つことができるのです。

 人間は、睡眠することで心身のリフレッシュや恒常性を保っているのですが、睡眠中でも身体各部は動いています。脳は休んでいるように見えても生きる上で必要なさまざまな活動が行われています。

 人は眠りにつくと、急速に「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い睡眠、眠りに落ちていきますが、しばらくすると「レム睡眠」と呼ばれる浅い睡眠状態になります。この状態は大体90分単位で反復します。

 この「ノンレム睡眠・レム睡眠」サイクルは、通常では、8時間ほど眠る間に、5サイクル程度繰り返されます。


ノンレム睡眠とレム睡眠
レム睡眠  レム睡眠(REM睡眠)は、睡眠としては浅い状態で、「Rapid Eye Movement」(急速眼球運動)から名づけられたもので、「寝ているはずなのに眼球がキョロキョロ動いている」状態です。

ノンレム睡眠  レム睡眠に対してノンレム睡眠は、急速眼球運動を伴わない深い睡眠のことをいいます。入眠時には先ずノンレム睡眠が現れ深い眠りになります。


睡眠パターン ◆〔健常者の睡眠パターン〕についてご説明します。
睡眠のパターン
健常者の睡眠パターン  健常者の場合の睡眠パターンを図で示します。通常は睡眠に入ると短時間の間に、「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い眠りの状態に入ります。

 しかし、睡眠開始から1時間ほどで睡眠は急速に浅くなり、わずかな時間だけ「レム睡眠」と呼ばれる夢うつつの状態になります。

 このようなパターンは90分くらいのサイクルとなり、それが何度か繰り返されながら、朝になると熟睡感に満ちて気持ちよく目覚めます。


眠りのサイクル

 睡眠は、一日の活動を終えて、活動しなくてよい、あるいは活動できない時間帯に、無駄なエネルギーを消費しなくてすむように身体を不動化するのだとの説があります。睡眠の目的のひとつはこういうことなのでしょう。

 既に上に示した図でご説明をしていますが、人の睡眠には「レム睡眠(REM睡眠)」と「ノンレム睡眠(NonREM睡眠)」という二つの睡眠状態があります。

 ここで「REM」は「Rapid Eye Movement」という英語の略語であり、日本語としては「急速眼球運動」を意味しています。これは、眠っているのに眼球がキョロキョロと動いている状態です。小さな子供が昼間に眠っているとき、このような光景を見た方は多いと思います。この現象は子供に限らず大人でも同様に起こります。

 眼球が急速に急速に動いている睡眠を「REM睡眠」といい、逆に眼球の動きがない状態を「NonREM睡眠」と呼んで区別します。REM睡眠は浅い睡眠状態であり、NonREM睡眠は深い睡眠状態です。

 人は眠りに付くと、急速にノンレム睡眠に落ちてゆきます。上の図で〔覚醒〕の状態から、一瞬の〔REM睡眠〕状態を経由して、最終的に〔NonREM:ステージ4〕という深い睡眠状態に落ちてゆくのです。

 睡眠の状態によって脳波には特有なパターンが現われることが知られています。逆にいえば、脳波のパターンから眠りの深さを知ることもできます。

入眠からレム睡眠までの睡眠パターン
覚醒 ・脳が覚醒している状態、起きている状態。
・急速眼球運動、高振幅筋電図。

・脳波にはα波が出ている。低振幅速波。

ノンレム睡眠:Stage 1 ・入眠期:眠り始めた状態。
・遅い眼球運動、筋緊張はやや低下。

・脳波には、覚醒時に現れるα波が減少し50%以下となり、θ波が出現する。低振幅の種々の周波数の波が混在、瘤波。

ノンレム睡眠:Stage 2 ・軽睡眠期(浅眠期)

・脳波には、紡錘波が出現し、低振幅不規則θ~δ波、高振幅徐波なし。

・瘤波、紡錘波、K混合波と混在。

ノンレム睡眠:Stage 3 ・中等度睡眠期(中睡眠期)

・脳波には、2Hz以下、75μV以上の徐波(δ波)が20~50%。
・紡錘波とδ波の混在。
・紡錘波は周波数が遅くなり、より広範囲に出現する。

ノンレム睡眠:Stage 4 ・深睡眠期(深眠期)

・脳波には、2Hz以下、75μV以上の徐波(δ波)が50%以上。
・紡錘波が消滅しδ波が優勢になる。

レム睡眠 ・レム睡眠期

・脳波は、高振幅だったものが低振幅のθ波とβ波に変わる。


 しばらく〔NonREM睡眠:ステージ4〕が続いた後、今度は逆の経過を辿って、やがて〔REM睡眠〕状態に戻ってゆきます。

 〔レム睡眠〕と〔ノンレム睡眠〕はセットで発生しますが、このような〔レム睡眠〕から次の〔レム睡眠〕までのサイクルは、大体90分位で繰り返されます。このワンサイクルが90分程度というサイクルパターンは、5~10歳くらいの子供時代に形成されます。

 夜寝てから朝目覚めるまでに、普通の人はこのサイクルを4~5回繰り返し、その間の睡眠時間は6時間から8時間程度となります。

 眠りに付いてから最初の3時間くらいはノンレム睡眠の割合が多いですが、それ以降にはノンレム睡眠パターンはほとんどなくなり、若干の波をもったレム睡眠が主体となり、やがて覚醒し起床します。

ノンレム睡眠とレム睡眠

 睡眠が頭脳を休めるだけの目的なら、ノンレム睡眠が長く続けばいいわけですが、現実にはそうなってはいません。この理由として、頭脳を適度に回転させておかないと脳内部が冷えてしまい、起床時以降に脳が温まるまでの時間、すぐに覚醒し活動できる状態にならないからという説もあります。

 また、レム睡眠は、脳に蓄積された情報を整理し、固定する貴重な時間であると考えられていて、そのために必要不可欠な働きなのだと考えられています。

レム睡眠とノンレム睡眠の意味
レム睡眠  レム睡眠は、「急速眼球運動(REM:Rapid Eye Movement)」に由来する言葉で、この言葉から分かるように、「見た目には寝ているのに、眼球だけはキョロキョロと動いている」状態の睡眠です。目を瞑っていても眼球の動きが分かるほどです。

 レム睡眠時の脳波を調べてみると、脳波は起きているときとほとんど同じパターンを示します。身体の骨格筋は弛緩していて動きませんが、眼球だけが盛んに動いています。この状態の脳波には、覚醒時とほとんど同じθ波(シータ波)が観測されます。

 見た姿は眠っているのに、脳波的には起きているのです。このような事実から、レム睡眠のことを「逆説睡眠(パラドックス・スリープ)」と呼ぶこともあります。

 レム睡眠期には、頭脳は活動しているのですが、いった何をしているのでしょうか、有名な仮説は、人はレム睡眠気に、一日の活動で獲得した膨大な情報を整理、処理して不要な情報を捨て去り、重要な情報を記憶・固定しているとされています。

 また、このレム睡眠期には、人の身体は不動の状態ですが、頭脳は活動状態にありエネルギーも覚醒時なみに消費し夢も見ます。夢は、情報整理の一段階なのかも知れません。夢を見た直後に覚醒すると、夢の内容を覚えていることが多いです。

ノンレム睡眠  急速眼球運動を伴う「レム睡眠」に対して、急速眼球運動を伴わない睡眠を「ノンレム睡眠」と呼びますが、入眠してから30~60分するとノンレム睡眠のステップ4と呼ばれる最も深い眠りの状態に到達します。この眠りの状態は「徐波睡眠」とも呼ばれています。

 レム睡眠では、眼球以外の骨格筋は弛緩していても脳は活動状態にあるのに対し、ノンレム睡眠では脳は休止状態となるので、この状態は「脳が眠っている」状態だといえます。ノンレム睡眠時にも夢を見ることがあるとされますが、どんな夢だったのか覚えていないことがほとんどです。

 ノンレム睡眠時に強制的に起こされてしまうと、脳が休息状態にあったために、人体はすぐに活動することができません。脳の中でも大きな部分を占める大脳が休息状態から活動状態になるには、それなりの時間が必要となるのです。急に起こされた直後には、いわゆる「寝ぼけ状態」が見られます。

 ノンレム睡眠時には、成長ホルモンの分泌が盛んになったり、細胞の新陳代謝が高まり、免疫力が強化されるようになります。呼吸や脈拍が少なくなり体温や血圧も低下します。

 尚、誰でもご飯を食べた後や肉体労働の後などでは、昼寝とか居眠りをしますが、このような睡眠はパターンとしてはノンレム睡眠です。このため、短時間の昼寝や居眠りでも、目が覚めたときには頭がスッキリして熟睡感が得られます。