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心の病気

特発性過眠症


 医学では「特発性(とくはつせい)」という言葉が、原因がはっきりしていないことを意味する言葉として使われます。

 そのひとつの例が〔特発性過眠症(とくはつせいかみんしょう)〕です。

 〔特発性過眠症〕は、日中に耐え難い強い眠気に襲われる疾患で、居眠りすると一時間以上も眠り続け目覚めさせるのが難しくなる障害をいいます。


 眠気は急激に襲ってくるのではなく、徐々に強まるような特徴があり、目覚めたときスッキリすることがありません。

 一方で、この疾患では夜間睡眠は質量ともに特に異常はなく正常であり、結局、一日の総睡眠時間は10時間を超えることも珍しくありません。

 通常、この障害は25歳ころに発症しはじめ、徐々に進行する傾向にありますが、発症すると自然治癒することはなく、慢性的な眠気症状が続くようになります。

 〔特発性過眠症〕の有病率はそれほど高くないとされていますが、実数はよく分かっていません。〔過眠症〕の中の〔ナルコレプシー〕が600~2000人に一人くらい発症するのに対して、その十分の一くらいと推定されています。

 この障害では、確たる原因は判明しておりません。


特発性過眠症はどんな病気ですか? ◆〔特発性過眠症〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
特発性過眠症は
どんな病気ですか?
 本来、眠気は動物が本来的に持っている生理的反応のひとつとして、睡眠覚醒中枢が身体の状態や情報を常に監視・統合して、睡眠が必要な状態であるかどうかを判定しています。

 睡眠覚醒中枢は、睡眠不足などによって脳が損傷を受けることを避け恒常性を維持するために、眠気という形でシグナルを出すのです。人は前夜に睡眠不足があれば、それを補うために眠くなりますし、昼食後でも多くの血液を消化器系に送るために眠くなりますが、これらは心身の恒常性を維持するための生理的現象だと考えられます。

 このような生理的現象によるものではなく昼間に過剰な眠気を起こすのが過眠症であり、その代表的なものとして〔ナルコレプシー〕と〔特発性過眠症〕とがあります。

 〔特発性過眠症〕は、1957年にチェコスロバキアの医師(Bedrich Roth)が、〔ナルコレプシー〕とは別の種類の過眠症として初めて発表しました。〔ナルコレプシー〕では短時間の居眠りはするが目覚めるとスッキリと覚醒するのに対して、〔特発性過眠症〕では居眠りを始めると一時間以上も眠り続け、しかも目覚めさせるのが難しい特徴があります。

 特発性過眠症の有病率はそれほど高くないとされています。実数はよく分かっていませんが、〔ナルコレプシー〕が1万人に3~18人くらい発症するのに対して、その十分の一くらいと推定されています。

 男女による発症の差異は見られず、25差異前に発症して、ゆっくり症状が進行し慢性的な眠気状態が続きます。小児での発症はほとんど報告されていません。

 通常、この障害は、自然治癒することはありません。




特発性過眠症はどんな症状ですか? ◆〔特発性過眠症〕の症状をご説明します。
特発性過眠症の症状  〔特発性過眠症〕の典型的な症状は、日中での睡眠発作で、これが1時間以上、時には3~4時間も続き、しかも目覚めさせることは非常に難しく、ようやく目覚めても寝起きはよくありません。

 この障害の患者では、夜間睡眠は質量ともに正常である特徴があり、一日の総睡眠時間は10時間以上となることも珍しくありません。

 また、この障害では過眠発作の他にも頭痛や立ちくらみ、めまい、手足の冷感、頻脈、指先が白くなるレイノー現象など自律神経系の働きが十分ではないことを示す随伴症状が現われます。稀な症状として、重度になると〔見当識障害〕が現われることもあるとされます。〔見当識障害〕とは現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況把握ができなくなる障害です。

 ここで、典型的過眠症である〔ナルコレプシー〕と〔特発性過眠症〕とを比較する表を示します。

ナルコレプシーと特発性過眠症の特徴
睡眠などの状態 ナルコレプシー 特発性過眠症
昼間の過眠 ・ノンレム睡眠からレム睡眠への移行もある。
・耐え難い睡魔だが軽い刺激で覚醒する。
・気づくと眠り込んでいることがある。
・居眠りは30分以内でスッキリ起きるがしばらくするとまた眠る。

・ノンレム睡眠状態で覚醒させるのは困難となる。
・眠気は強いが我慢できなくはない。
・居眠りは1~数時間にもおよぶ起きてもスッキリしない。
・起きた後も睡眠酩酊と呼ばれる寝ぼけ状態となることもある。

夜間の睡眠 ・寝つきは良い。
・中途覚醒する。
・入眠時レム睡眠が多く見られる。

・寝つきは良い。
・夜間睡眠は良好である。
・総睡眠時間は長く、時に10時間以上にも延長する。

過眠の随伴障害 ・情動脱力発作がみられる。
・金縛りや入眠時幻覚などのレム睡眠関連症状が出る。
・肥満やⅡ型糖尿病の頻度が高い。

・頭痛やめまい、立ちくらみ、四肢の冷感など、自律神経症状の頻度が高くなる。


 〔特発性過眠症〕では、睡魔は急激ではなく徐々に襲ってくるので、自動車の運転では眠気を認識してから休息を取ることが可能であるとされています。(でも、車の運転は推奨はできませんが。)


特発性過眠症の原因は何ですか? ◆〔特発性過眠症〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
特発性過眠症の原因  〔特発性過眠症〕では、中枢神経系に原因があると推測されるものの明確な原因は判明しておりません。


特発性過眠症の診断はどうなりますか? ◆〔特発性過眠症〕の検査方法や診断方法をご説明します。
特発性過眠症の診断  〔特発性過眠症〕は、夜間睡眠の「ポリグラフ」検査によって、睡眠時間が正常か10時間異常に延長していること、睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などの夜間睡眠障害もなく正常であることを確認します。

 その上で、日中の頻繁な過眠状態が起こること、発症が徐々であり、そのような状態が少なくとも6か月以上継続していること、多くの場合に25歳未満で発症していることにより判定します。

 この診断においては、他の睡眠障害によって過眠状態が説明できないという診断基準が設定される場合があります。

 現実的な診断では、ナルコレプシーの特徴的症状である「情動脱力発作」がないことや〔睡眠時無呼吸〕や〔むずむず脚〕など他の睡眠障害を示すような特徴的症状がないことが必要です。


特発性過眠症の治療はどうやりますか? ◆〔特発性過眠症〕の治療方法をご説明します。
特発性過眠症の治療  この障害の治療では、夜間の睡眠を正しく確保することが絶対条件となります。その上で、日中に居眠りする症状が残るので、これに対して「精神刺激薬」を用いて過眠を抑えます。

 しかし、これはあくまでも対症療法なので、乱用することはできません。精神刺激薬の効果が夜間にまで及ぶと、夜間睡眠を障害してしまうので、この薬の使用は午後3時以降に使うことはできません。


特発性過眠症にはどんな合併症はありますか? ◆〔特発性過眠症〕の合併症についてご説明します。
特発性過眠症の合併症  この障害に精神刺激薬を用いても効果は限定的で不安定です。その上、頭痛や頻脈、口の渇き、焦燥感、胃炎などの副作用がしばしば現われます。