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心の病気
 

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〔ナルコレプシー〕

 〔ナルコレプシー〕は、日中において場所や状況を選ばず生ずる、非常に強い眠気発作を起こす睡眠障害です。

 〔ナルコレプシー〕になると、自分の意思とは関係なく、居眠りは一日に何度でも繰り返し起こってしまいます。

 この疾患は、いわゆる精神疾患の中で〔過眠症〕と呼ばれる典型的な疾患のひとつでです。


 突発的に眠りが起こる症状から、〔居眠り病〕〔発作性嗜眠症〕〔発作性脱力症〕などと呼ばれることもあります。

 自分の意思ではどうしても瞬間的な睡眠を止めることができず、重要な会議中でも、人との会話中でも、自動車の運転中でも発作的に眠ってしまいます。

 このような〔ナルコレプシー(narcolepsy)〕の具体的な症状などは、このページの下部の解説部分に示しています。

 〔ナルコレプシー〕の発作はところかまわず襲ってくるので、複雑な機械の操作や自動車の運転中などに発作が起きれば、重大な事故を誘発する危険性もあります。

 適切な治療を受ければ、日常生活に特別な支障をきたすことはないのですが、知名度の低い病気のため専門医の数も少なく、診断や治療が受け難い状況にもあります。

 この病気の患者は、どの国にもいますが、日本での発症率は世界で一番高く、600人に一人くらいで、特に若年層の男性に多いとされます。欧米では4000人に一人くらいの発症率といわれています。


ナルコレプシーはどんな病気ですか? ◆〔ナルコレプシー〕とは、一体どんな病気なのかご説明します。
ナルコレプシーは
どんな病気ですか?

 ナルコレプシーは、自分の意思とか関係なく、昼間において突然睡魔に襲われる病気です。重要な会議中でも、車の運転中でも、自分が主催する会議中でも、数秒~数分間にわたって突然眠り込んでしまいます。

 ナルコレプシーになると、大喜びしたり、笑ったり、怒ったりなど、喜怒哀楽の感情変化が激しいときなどに、突然に顔や首、手足の力ががくんと抜けるような、情動脱力発作を伴う人が多いです。この場合、身体の力は抜けてしまうのですが、意識的には正常で周囲の状況は理解できています。

 ところかまわず眠り込んでしまう症状と、突然、手足などの力が抜けてしまう情動脱力発作の症状が長い期間続くようであれば、ほぼ確実にナルコレプシーの疑いがあります。

 また、ナルコレプシーの患者には、他の症状として、寝入りばなや起床時に鮮明な怖い夢を見たり、金縛り、幻覚、幻聴を経験する人が多いです。金縛りとは、夢の中で逃げようとしても身体が動かせない、叫ぼうとしても声が出せないなどの状態になることをいいます。

 夢を見ることも多く、何か恐ろしいもの、幽霊とか自分の想像上の先祖とかが、身体に覆いかぶさってきたりするような、不気味で怖い夢を見たりしますが、見た夢はとても鮮明に記憶していることが特徴です。夢を見始めるとき、一瞬、意識がはたらき、「あっ、またあの夢だ!」という風に自分でこれから見る夢を予感してしまうことが起こります。

 夢を見、必死になって金縛りと戦っていると、突然、金縛りが解け、声が出せるようになる瞬間がきます。大きな声で「貴様、一体何なんだ!」などと叫び、覆いかぶさるものを振り払おうと拳骨の腕を振り下ろします。その瞬間、たったいままで、あれほど鮮明に見えていたあの不気味なものが一瞬にしてパッと消え失せます。意識が戻ったのです。しかし、その夢の一部始終は鮮明に記憶しているために、それからの数日間は夜間に眠ることに大きな恐怖心と不安とを抱くようになるのです。


ナルコレプシーはどんな症状ですか? ◆〔ナルコレプシー〕の症状はどのように現れるかご説明します。
ナルコレプシーの種類

 ナルコレプシーの基本的特徴には、次のようなよく知られた三つの発作症状があります。第一は〔睡眠発作〕で、耐え難い居眠り発作が三ヶ月以上も繰り返し出現します。第二は〔情動脱力発作〕で、感動したさいにがくんと力が抜けてしまう発作が出現います。そして、第三の発作は、眠りから目覚めや目覚めから眠りに入る変わり目に、レム睡眠が繰り返し出現する発作です。

 第三の〔睡眠変わり目症候群〕とでも呼べるものには、〔入眠時幻覚〕や〔睡眠麻痺・金縛り〕〔夜間熟眠障害〕〔自動症〕、その他〔ナルコレプトイド性格変化症状〕などがあります。

 なお、これらの症状は、すべてが同時に全部発症するわけではなく、単独に、あるいはいくつかが同時に時間をおいて発症するのが普通です。

ナルコレプシー発作の種類
睡眠発作  日中、突然の耐え難い眠気発作。居眠りの繰り返し症状。場所や状況を選ばず、突然に眠り込んでしまう。

情動脱力発作  カタブレキシー症状。喜びや幸福感、愛情といった主に「陽性の情動」で感情が高ぶったときに起こる突然の脱力症状発作。全身の力が抜けてしまう症状で、身体が崩れ落ちるような状態になることもあるが、数分間で収まることが多い。

入眠時幻覚  睡眠直後に突然幽霊などが襲ってくるような幻覚。

睡眠麻痺・金縛り  睡眠中、恐ろしい悪夢を見て、心は目覚めているのに体が動かない、叫べないような発作。夢は鮮明に記憶される。

夜間熟眠障害  昼間は直ぐ眠るのに夜間に熟睡できない症状。

自動症  眠さを我慢していて、一瞬眠っても体はまだ直前の行動を続ける症状。

その他  眠気を我慢しているときの頭重や頭痛など。頻度が多くなると、ナルコレプトイド性格変化症状がでてくる。


睡眠発作

 ナルコレプシー発症時の典型的症状が睡眠発作であり、日中、突然に耐え難い眠気に襲われ眠り込むようになります。「居眠りの繰り返し」症状は、社会生活に少なからぬ影響を与えます。

 健常者が、自分の意思である程度睡眠をコントロールできるのに対して、ナルコレプシーの患者は、激しい睡魔のために、自分の意思とは関係なく発作的に眠りこんでしまいます。その時間は、ほんの数秒から、2、3分、10~30分などと様々で、一日に何回でも繰り返し起こります。

 自分では目覚めていると思っていても、ほんの一瞬、2~3秒から1分以内ほど眠りに陥ることがあります。ほんの瞬間のことで、本人は眠ったという自覚はないのに、その間の記憶が飛んでしまい、何があったのか分からなくなることがあります。車を運転していて、気づいたら20メートル先を走行していたなどという感じになります。

 極端な例では、歩いている時、食事中、車の運転中、上司との面談中、電話の最中、試験の最中、歯の治療時、床屋で散髪時などにも、短時間眠り込みます。

 散髪時に居眠りする人は多くいますし問題とはなりませんが、会話中の上司が突然居眠りしてしまうと、この上司は部下の話を本気で聞いてくれているのかと不信感をかうこともあります。

情動脱力発作
(カタプレキシー)

 情動脱力発作は、カタプレキシーとも呼ばれる症状で、嬉しさや怒りなどの感情が昂ぶった瞬間に突然起こる、脱力症状です。首・全身・ひざ・腰・ほほ・あご・まぶたなどの姿勢筋の力が急に抜けたようになります。

 症状的には、周囲の人には気づかれない程度のちょっとした脱力感から、身体が崩れ落ちるような重症のものまであります。脱力発作自体は、数秒から数分で自然に回復しまが、そのまま眠り込んだり、幻覚を見たり、金縛りにあったりもします。発作の頻度はさまざまで、一日に数回から毎週数回などです。

入眠時幻覚

 入眠時幻覚は、睡眠発作により睡眠に陥った際などの寝入りばなに、本当に体験しているような鮮明で現実感の強い幻覚を見る症状です。

 入眠時幻覚では、幽霊などが突然身体の上に覆いかぶさってきたり、窓から忍び込んだ何者かが襲い掛かってきたり、化け物などの不気味なものが身体に擦り寄ってくるなどの幻覚が起こります。

睡眠麻痺・金縛り

 恐ろしい悪夢は、強い恐怖心や不安感を誘引するので、心は逃げようともがいても、身体は麻痺してしまいどうしても動かすことができません。しかも、叫ぼうとしても声も出せなくなります。これが睡眠麻痺と呼ばれる金縛り状態です。金縛り状態では、意識があるのに随意筋を動かすことができないのです。

 睡眠麻痺・金縛りでは、心と身体とが分離した状態となります。いま金縛りにあって、身体が動かないんだと自分で判る場合もあります。

 ナルコレプシー患者では、就寝するとすぐに「レム睡眠」に入るため、身体は眠っているのに、脳はまだ起きている覚醒状態に近いのです。このため、脳は活動して夢を見ているけれども、脳からの指令は筋肉には伝わらず、身体は動かせません。こうして金縛りになるのです。

 突然的に身体が動くようになり、悪夢に登場した幽霊などを追い払うような動作ができるようになりますが、その瞬間には幽霊などは消え失せてしまいます。

夜間熟眠障害

 ナルコレプシーの患者の夜間の眠りは、寝付きはよくても途中で目が覚めやすく、健常者に比べると、日中に居眠りをする反面、夜間に熟睡できない等の障害が起こります。

自動症

 眠さを我慢しているとき、ほんの一瞬だけ眠りに入っても、身体の方はその直前に行っていたこと、普段行っていることを無意識に実行してしまうのが、自動症あるいは自動行為です。

 授業中、ノートをきちんと取っているつもりでも、後で見たらミミズが引きずったような意味不明のことが書いてあったり、パソコンで仕事中にマウスを押そうとしていないのに手の方が勝手に動いてしまったりします。極端な例では、家に帰ろうとしているのに、自宅を通り過ぎてしまったり、知らない駅で途中下車してしまったりします。

その他

 眠気を我慢しているとき、頭重、頭痛がします。また、肥満、多汗症、糖尿病が合併することもあります。

 学校や職場で居眠りによる失敗が続くと、自信喪失となり、消極的、受動的、内向的になり、対人関係を嫌うような「ナルコレプトイド性格変化」と呼ばれる症状がでてきます。


ナルコレプシーの原因は何ですか? ◆〔ナルコレプシー〕の原因や発症の仕組みをご説明します。
ナルコレプシーの原因

 ナルコレプシーの病因として「オレキシン」という物質の欠乏が明らかになっています。オレキシンは、脳の視床下部から分泌される神経伝達物質で、通常は食欲をコントロールする作用があります。

 また、ナルコレプシーになりやすい遺伝的体質と、ストレスなどの環境因子が重なって起こるとも考えられます。大部分は特別のきっかけは分かりません。頭部外傷、手術、大出血、睡眠不足などの大きな身体的ストレスを経験した直後に発症することがあります。


ナルコレプシーの診断はどうなりますか? ◆〔ナルコレプシー〕の検査方法や診断方法をご説明します。
ナルコレプシーの診断

 病院で行われる睡眠障害の検査には次のようなものがあります。

ナルコレプシーの診断
問診  日常的に突然眠くなるかどうかなどの質問をします。また、金縛りの経験があるか、悪夢に悩まされたりするかなども重要な手ががりになります。

日中の睡眠ポリグラフ検査

終夜睡眠ポリグラフ  一晩中の睡眠ポリグラフを検査します。

睡眠潜時反復検査  日中の眠気の強さを測定するもので、2時間ごとに一日4回30分づつ睡眠ポリグラフを測定します。

覚醒維持検査  眠気を我慢できる程度の検査で、2時間ごとに一日4回30分づつ睡眠ポリグラフを測定します。

血液検査  HLA(ヒト主要組織適合抗原)を検査します。HLA-DR2とDQ1の陽性、陰性を判別します。日本人ナルコレプシー患者では全例でHLA-DR2とDQ1が陽性です。

睡眠記録表  睡眠記録表とは、24時間の覚醒、睡眠の状態を専門の用紙に記録します。医師はナルコレプシーの診断や治療効果の判定に用います。また、自分でも睡眠生活が不規則であるかどうかを自覚する上で大切です。

Epworth Sleepiness Scale  8つの社会生活場面で眠気がどの程度の頻度で起こるかを自分で記入する調査用紙です。過去1週間の平均的な眠気の状態を記入します。



ナルコレプシーの治療はどうやりますか? ◆〔ナルコレプシー〕の治療方法をご説明します。
治療方針・予防

 現状では、ナルコレプシーの根治的治療方法はなく、その症状に合わせた対症療法となります。治療には、薬物療法と、生活習慣を改善する療法が重要です。

 昼食後に「眠りの錨をおろす」という意味で「アンカースリープ」と呼ばれる方法が治療の補助的手段として推奨されています。

 薬物療法では、夜の眠りを安定させ、更に精神賦活剤の朝昼時服用で、日中の居眠りを防止できるようになり、社会生活は普通にできるようになります。症状が安定してくれば薬の量も減らせるようになります。