〔脳腫瘍〕は、頭蓋骨内に発生するすべての腫瘍の総称です。脳腫瘍には脳実質だけでなく、頭蓋内に存在する骨や髄膜(硬膜・くも膜・軟膜)、血管、下垂体、脳神経、先天性遺残組織などから発生する原発性の腫瘍のほか、身体の他の臓器で発生した腫瘍が転移してきて生じた腫瘍も含まれます。
このように、脳腫瘍には脳自体から発生した〔原発性脳腫瘍〕と、他の身体臓器で発生した腫瘍が脳に転移してきた〔転移性脳腫瘍〕の二種類があります。
脳本体の細胞は「神経細胞」と「膠細胞」の二種類から構成されていますが、神経細胞から発生する原発性脳腫瘍は極めて稀であり、多くの原発性脳腫瘍は膠細胞から発生し脳腫瘍全体の40~45%を占めるとされます。
脳腫瘍には先天的脳腫瘍や血管性脳腫瘍というものもありますが、これらも含めて、硬膜やくも膜、軟膜などの膜、下垂体、および脳から外部に接続される神経などから発生するものが全体の脳腫瘍の50%ほどを占めるとされます。
残りがいわゆる転移性脳腫瘍で他の臓器での腫瘍が転移してきて生じます。
神経膠腫 |
約40%
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髄膜腫 |
約18%
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下垂体腺腫 |
約10%
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神経鞘腫 |
約10% |
脳腫瘍は成人では大脳に多く発症し、子どもでは小脳や脳幹に多く発生する傾向があります。
脳腫瘍は、どの年代でも発生しますが、年少者では10~15歳くらいに多く発症し、成人では35~40~50~55歳が一番多く、それ以降は減少して80歳代以降ではほとんど見られなくなります。
また、男女差は脳腫瘍の発生にはあまり関係ないとされています。
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