白血病の治療方法の基本は化学療法である点は変わりませんが、具体的な治療方法は、白血病の種類によっても、その進行度によっても異なります。特に、急性と慢性ではかなり異なります。
急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病の治療は、診断確定後直ちに治療を始めないと生命の危険度が高まります。
急性白血病治療では、化学療法として「寛解導入療法」と「寛解後療法」の二段階が行われます。化学療法では、複数の抗がん薬を組み合わせて投与する併用化学療法が使われるのが普通ですが、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病では、使用される医薬の種類や投与スケジュールは異なります。
寛解とは、病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態、あるいは見かけ上消滅した状態をいいます。安定状態ではあっても完全治癒とまではいえない状態であり、再発の危険性がある状態をいいます。
尚、これらの急性白血病では、化学療法に続いて、造血幹細胞移植が行われることもあります。
寛解導入療法 |
複数の医薬を併用して、白血病細胞を100分の1以下、願わくはゼロ(完全寛解)にまで減少させることを狙います。
現状では、急性骨髄性白血病では65~80%、急性リンパ性白血病では70~90%の患者で、白血病細胞を100分の1以下まで低下させることができます。
寛解時には、白血病細胞はゼロに近くなりますが、抗がん薬は、白血病細胞だけでなく正常細胞をも攻撃するので、副作用として正常な血液細胞も産生されない状態に陥ります。
寛解を達成したら、輸血により正常な血液を補充したり、感染症の予防をして身長に経過を見守ります。
|
寛解後療法 |
寛解導入療法に成功すると、正常造血は回復し、白血病細胞は消滅したように見えますが、白血病細胞が完全にゼロとなったわけではなく、体内にはまだ1億個ほどもの白血病細胞が残っています。
このため、残存する白血病細胞の根絶、再発防止を目指して抗がん薬による治療を継続します。これは、半年~2年間ほど行います。
急性白血病の種類や寛解の状態、患者の年齢や体力など考慮し、化学療法を継続するか、化学療法に加えて造血幹細胞移植をするかを検討します。
|
慢性骨髄性白血病の治療では、「急性転化」してしまうと治療は非常に困難となるため、「慢性期」に確実な治療をすることが大切です。
以前にはインターフェロンなどによる治療が行われましたが、ほぼ全部の場合に急性転化を起こしてしまい、造血幹細胞移植以外に助かる方法はありませんでした。
しかし、現在では特効的治療薬「イマチニブ」が登場して状況は一転しました。この医薬は、慢性骨髄性白血病特有の「BCR/ABL融合遺伝子」に由来するたんぱくを阻害するもので、著しい抗腫瘍効果を発揮します。
この薬は、白血病細胞のみに作用し、正常細胞にはほとんど影響しない特性を持っています。
不運にも急性転化してしまった場合には、急性白血病と同様な治療を行います。化学療法だけでなく、可能ならば造血幹細胞移植も行います。
慢性リンパ性白血病の場合、抗がん薬はほとんど効果がなく、寛解は非常に困難とされます。
身体症状が認められない内は、定期的な経過観察を行います。リンパ節の腫大や貧血、血小板減少などの症状が現われた場合には、白血球数を正常に保つための治療だけでなく、これらの症状を抑えるための抗がん薬治療を行います。
|