実際に発症の起点となる出来事としては、外的環境の変化や興奮するような出来事、循環器系疾患などの病気、心配事や不安、あるいは薬物による興奮などが挙げられます。
この〔不眠症〕になると、夜間に就寝しようとしても寝付けなくなり、それ以来また眠れないのではないかという不安感が高まります。入眠を極度に意識し、早く眠りたいと焦りすぎるためにますます興奮状態になって寝付けなくなるという悪循環が繰り返されます。
夜間に十分な睡眠がとれないので昼間の生活においても疲労感が残ります。気力や注意力、集中力が低下するなど悪影響がみられます。
〔原発性不眠症〕の患者では、夜間に自宅の寝室では寝付けない反面、昼間テレビを観てリラックスしているときや会議中などには自然に居眠りがでてしまうことがしばしばあります。
また、旅行中や睡眠状態の検査室など自宅以外の場所など非日常的な場面では、夜間でも熟睡できたりします。逆に言えば、自宅の寝室以外ならよく眠れるという場合には、この〔原発性不眠症〕である可能性が高くなります。
この疾患の治療では、多くの場合に、不眠に対する不安や緊張感を取り去るため精神安定剤や睡眠導入剤などの薬物療法が用いられます。
最近の睡眠導入剤などは習慣性もなくよく眠れるようになり優れているのですが、患者自身の心理状態としては薬がないと不安で眠れないと考えるようになり、薬剤依存症になる可能性はあります。
本質的にこの不眠症を治療するには、精神療法により睡眠習慣の見直し指導を受けるのがよいとされています。
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