最近では夜10時前に寝る人は少なくなっていますが、仮に7時間睡眠として、夜11時に床に就き、朝6時に起床する人は、日中も快適に過ごせます。
しかし、〔睡眠相前進症候群〕の人では、夜8時頃になると抗しがたい睡魔に襲われ入眠し、深夜ともいえる午前3時には目覚めてしまい、しかも再び眠ることができません。
〔睡眠相前進症候群〕は、医学的には生体リズムの過剰な前進による障害とされ、慢性的に入眠時間が前進し早眠となり、しかも覚醒時間も前進して深夜覚醒・再入眠困難な状態となります。この障害は若年者には少なく、40歳前後以降の高齢者に多く見られます。
一般的に若年者には、どちらかといえば〔睡眠相後退症候群〕の人が多いのに対して、〔睡眠相前進症候群〕を訴える人は高齢者に多くなります。多くの場合、年寄りは早寝・早起きするものだと考えられているともいえます。
早寝・早起きが慢性化していても、自分自身がそれで悩むこともなく、普通の社会生活にも何の支障もないなら、特に問題ではありません。しかし、この症状のために、自分自身が苦痛を感じたり、社会生活に悪い影響を及ぼすようであれば困ります。
このような〔概日リズム障害〕の治療では、「光療法」と呼ばれる治療法が有効とされています。この治療法では、就寝前の時間帯に非常に明るい光を浴びる「高照度光照射」を受け、逆に午前中には出来るだけ強い光を浴びないようにサングラスなどで光を遮断します。こうして睡眠相を強制的に後退させることができるのです。
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