例えば、睡眠相が毎日1時間ずつ後退する場合、今夜の入眠時刻が夜9時で、明朝の起床時刻が5時の場合、〔Non-24〕の患者にとって、明日の自然な入眠時刻は夜10時となり、明後日の起床時刻は朝6時となります。
このように毎日1時間ずつ全体が遅れていくので、12日後になると、患者が自然に眠りたい入眠時刻は昼夜逆転して朝の9時となってしまいます。
通常、人間は1日24時間周期での昼夜リズムで社会生活をしているので、毎日一定の時刻に就寝し、一定時刻に起床しなければなりません。
このため、〔Non-24〕の患者が一般の社会生活に合わせるため、努力して毎日一定時刻に就寝・起床する場合、約半月のあいだ、患者は著しい夜間での不眠と昼間での過度な眠気を感じるようになります。患者は、周期的な不眠と覚醒困難を訴えるようになるのです。
本人にとって、本来の睡眠時間帯であるべき時期の日中に、無理やり起きて活動しようとする場合、強い眠気のために注意力は低下し、集中持続が困難になり、疲れやすく倦怠感も強くなります。この場合〔慢性疲労症候群〕と診断されることも起こります。
〔Non-24〕では、睡眠相が不安定なために、一般の社会生活には大きな支障をきたし、しばしば深刻な社会的不適応に遭遇します。また、かなりな割合で〔うつ症状〕などを訴える患者がいます。しかし、患者本来のリズムに沿って自由な生活をするなら、これらの症状は消失します。
〔非24時間睡眠覚醒症候群〕の患者は、全盲などの視覚障害者に多く見られると考えられる時期もありましたが、最近では普通の人にも多く見られるとされています。
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