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〔クリプトスポリジウム症〕


概要病気症状原因診断
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この疾患の概要です

 〔クリプトスポリジウム症〕は、感染症法の五類感染症に指定された疾患であり、胞子虫類に属する病原性原虫であるクリプトスポリジウムの感染により起こります。

 クリプトスポリジウムは、従来よりウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ネズミなどの腸管寄生原虫として知られていましたが、ヒトへの感染もします。

 この原虫は、後天性免疫不全症候群(エイズ)患者での致死性下痢症病原体として知られていますが、健常者においても水様下痢症の原因となります。


 牛馬や豚、イヌ、ネコ、ネズミなどに寄生しているクリプトスポリジウム原虫が、嚢包体(オーシスト)となってヒトに感染します。また、患者から排出された嚢包体が飲食物や手指を経由して経口摂取により感染します。

 自然界でクリプトスポリジウムは、嚢包体の形で存在しています。嚢包体が哺乳動物に経口的に摂取されると、3~10日の潜伏期間後に発症します。

 症状は、健常者の場合とエイズ患者の場合とでは異なります。健常者では、水様性下痢、腹痛、倦怠感、食欲低下、悪心などの症状が現れ、軽度の発熱を伴うこともあります。

 下痢の程度は1日数回から20回以上もの激しいものまであり、この状態が数日~2、3週間持続し、やがて自然治癒します。健常者での感染部位は小腸付近に限られます。

 一方、免疫不全患者(エイズ患者)では、重症難治性、再発性、致死性の非血性下痢を発症させます。下痢の程度は軟便・泥状~水様便までいろいろです。症状は免疫不全の進行とともに重症化する傾向があります。

 エイズ患者での感染部位は、胆嚢、胆管、呼吸器系など多様です。コレラのように大量の水様便が出るような場合、死に至ることもあります。

 一般に免疫不全患者では慢性化したり、重症化します。初感染では症状が重く、半年~1年以内の再感染では軽症か無症状となります。

 〔クリプトスポリジウム症〕の好発年齢は学童・生徒、成人ですが、男女差はありません。アフリカや中南米では感染率10%以上もありますが、日本では過去10年間で患者数は1万数千人程度でした。


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