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〔RSウイルス感染症〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔RSウイルス感染症〕は、感染症法の五類感染症に指定された疾患であり、乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。

 病原体は「RSウイルス(RSV)」です。

 この病気は、呼吸器飛沫と呼吸器からの分泌物に汚染された手指や物品の接触により感染します。

 特に濃厚接触を介して感染します。この病気は、毎年、冬季を中心に流行し、乳児の半数以上が1歳までに感染します。

 2歳までにはほぼ100%の乳幼児が感染し、その後も一生にわたって再感染を繰り返します。


 RSウイルスは、Mononegavirales門パラミクソウイルス科のPneumovirus属に分類されるウイルスで、自然宿主はヒト、チンパンジー、ウシなどです。

 仲間のウイルスには、古くから知られるパラインフルエンザウイルス、麻しん(はしか)ウイルス、ムンプス(おたふく風邪)ウイルスなどがあります。

 最近、やはり呼吸器感染症の原因となるメタニューモウイルスも見つかりました。

 RSウイルスにはA型、B型という二つの血清型があり、A型の方が重症になります。

 両者とも環境中では不安定で、石けんや消毒薬などで容易に感染力を失うことが分かっています。

 〔RSウイルス感染症〕の潜伏期間は2~8日であり、発熱を伴う咳や鼻水などの上気道症状で発症します。

 3割ほどの患者では炎症が下気道にまで達して、気管支炎や細気管支炎を発症し、強い咳、ゼーゼー、ヒューヒューする喘鳴、多呼吸などの症状が現れてきます。

 通常は数日~1週間で軽快しますが、心肺に基礎疾患を持つ小児の場合など、感染患者の1~3%は重症化し、入院治療を必要とします。

 新生児でも感染、発症し無呼吸症状を起こすことがあります。

 RSVの再感染は普遍的に起こり、調査の結果で異なるものの毎年6~83%の小児が再感染を経験しているとされます。

 通常は軽度の上気道炎や気管支炎で済みますが、20~50%の幼児では下気道疾患が認められます。

 RSウイルス感染症は世界中でみとめられ、日本では冬季を中心に乳幼児の間で流行します。

 日本では2歳までにほぼ100%が初感染を受け、麻しんやムンプスとは異なり一度の感染だけでは感染防御免疫が確立せず何度も感染し発症します。

 尚、病原体のRSウイルスは英語では、「RSV:Respiratory Syncytial Virus」と呼ばれます。


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