〔A群溶血性レンサ球菌咽頭炎〕は、感染症法の五類感染症に指定された疾患であり、A群溶血性レンサ球菌の感染によって引き起こされる急性の〔咽頭炎〕です。 原因菌であるA群溶血性レンサ球菌は、グラム陽性球菌であり、〔咽頭炎〕だけでなく次のような〔上気道炎〕や〔化膿性皮膚感染症〕など多様な疾患を引き起こす病原菌です。
・しょう紅熱 ・中耳炎 ・肺炎 ・化膿性関節炎 ・髄膜炎
この病気は、感染患者の唾液や鼻汁、くしゃみなどの飛沫を吸い込むことによる飛沫感染・経気道感染で感染します。 また、菌が付着した飲食物などの摂取による経口感染、および患者との接触感染などでも感染します。 〔A群溶血性レンサ球菌咽頭炎〕の潜伏期間は2~5日ほどで、38~39度Cの突然の発熱と全身倦怠感、喉の痛みによって発症し、しばしば悪心や嘔吐、腹痛を伴います。 咽頭壁や扁桃粘膜に発赤が見られ、軟口蓋の小点状出血、舌にイチゴのような赤いブツブツができる苺舌がみられます。 進行して〔猩紅熱〕を起こし、顔や体に点状紅斑や皮疹等が出現することもあります。 また、合併症として、菌の直接作用による〔中耳炎〕〔肺炎〕〔髄膜炎〕〔敗血症〕があります。菌の直接作用によらない免疫異常反応によって〔リウマチ熱〕〔急性糸球体腎炎〕などが起こることもあります。 〔咽頭炎〕は4~9歳の小児に最も多く発生し、小児の代表的な病気のひとつです。 〔A群溶血性レンサ球菌咽頭炎〕の患者数は、2003年の調査によれば、年間約11万人の患者が発生しています。