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〔性器ヘルペスウイルス感染症〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔性器ヘルペスウイルス感染症〕は、感染症法の五類感染症に指定された疾患であり、単に〔性器ヘルペス〕とも呼ばれます。

 この病気は、ヘルペスウイルス科、アルファヘルペス亜科に属する単純ヘルペスウイルス(HSV)の1型と2型の感染によって引き起こされる〔性感染症(STD)〕です。

 病原体の単純ヘルペスウイルスHSVは、この病気に感染している相手との性的接触によって感染します。

 相手の性器に明らかな病変がなくても、性器の粘膜や分泌液中にウイルスが存在すれば感染します。

 唾液中にウイルスが存在する場合には、キスや口唇性交によっても感染します。性器やその周辺に水疱や潰瘍等の病変を形成するのが特徴です。


 HSVが局所粘膜から侵入すると、増殖し局所に病変を形成すると同時に知覚神経を上行して、神経節に入って潜伏状態となります。

 口腔周辺の感染では三叉神経節に潜伏し、性器周辺の感染では仙髄神経節に潜伏します。

 抗ヘルペスウイルス剤の服用によって病変は治癒しますが、HSVは一度感染すると神経節に潜伏し、終生消滅することはなく、宿主の免疫力が低下するなど何かのきっかけで再活性化し、神経を下行し、以前と同じ場所に病変を形成して、何度でも再発を経験します。

 〔性器ヘルペスウイルス感染症〕の潜伏期間は2~21日間です。

 この病気の発症の仕方には、初めての感染で発症する「初発型(急性型)」、過去に一度感染し治癒したものの潜伏していたHSVウイルスが再度活性化して発症する「再発型」、および過去の感染時には無症状であったが、潜伏していたウイルスが活性化して発症する「非初感染初発型(誘発型)」という3つの種類があります。

性器ヘルペスウイルス感染症の発症パターン
初発型
(急性型)
 初感染では70~80%が無症状といわれますが、急性型として発症する場合には症状は最も重くなります。

 前駆症状として、外陰部の不快感や掻痒感などがあり、その後、発熱があり、全身倦怠感、所属リンパ節の腫脹、強い疼痛を伴いながら、多発性の浅い潰瘍や小水疱が急激に生じます。

 男性では包皮、冠状溝、亀頭に病変が現れ、女性では外陰部や子宮頚部に病変が出現します。

 無治療でも2~4週間で治癒しますが、女性では排尿困難や歩行困難などの症状が出て入院加療が必要になることがあります。

再発型  再発型は、過去に発症経験があり、一度は治癒した人が、何らかの刺激で再発するパターンです。

 再発は、体調の変化や月経、性的接触などの刺激が誘因となって起こります。

 再発型では、一般に症状は軽く1週間以内で治癒することが多いですが、再発頻度は毎月2~3回とか、年に1~2回など様々です。

 年数が経つと再発頻度は減少してきます。

非初感染初発型
(誘発型)
 誘発型は、過去に感染はしても無症状だった人が、後になって免疫力が低下してウイルスが活性化し初めて病変を経験する場合です。

 誘発型では、免疫力の低下状況によっては、かなり高度の症状を呈することがあります。

 この病気の一般的な症状は、男性では、ウイルスが侵入した亀頭や陰茎などがむず痒くなり、数日して水疱が多発してズキズキ痛みます。

 痛みは10日ほど続いて潰瘍ができ、乾いてきてかさぶたとなり一旦治癒します。

 初感染で抗体ができますが、ウイルスは潜伏し、将来の再発を抑えることはできません。

 また、女性では、陰唇、膣、会陰部などに小さな水疱が多発し激しい痛みを伴います。

 水疱はすぐに破れ、潰瘍からかさぶたになり、一旦治癒します。しかし、通常の場合、数週後~数か月後に再発するパターンを繰り返します。

 妊婦が感染した場合には、新生児に感染し死産となったり、脳炎などの重篤な病気を招く危険性があります。

 〔性器ヘルペスウイルス感染症〕は、〔性感染症〕の典型的な病気であり、女性では〔クラミジア感染症〕に次いで二番目に多く発症します。

 また、男性では、〔クラミジア感染症〕〔淋菌感染症〕に次いで三番目に多く発症します。

 尚、〔性器ヘルペスウイルス感染症〕は英語では、〔Genital Herpes Simplex Virus Infection〕と呼ばれます。


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