病原体であるアデノウイルスには、51種類の血清型が知られていて、次のように多彩な疾患を引き起こします。
・呼吸器疾患
・咽頭炎
・扁桃炎
・肺炎
眼疾患
・咽頭結膜熱
・流行性角結膜炎
消化器疾患
・胃腸炎
泌尿器疾患
・出血性膀胱炎
肝炎
・膵炎
・脳炎
それらの中で、〔咽頭結膜炎〕の原因となる主な血清型は、アデノウイルス3型ですが、アデノウイルス7型が原因となることもあり、この場合には症状が重症化することがあります。
アデノウイルスは感染力が非常に強力であり、口や鼻、喉、目の結膜などから容易に体内に侵入し感染します。
主な感染経路は保育園や幼稚園、学校などのプールでの感染ですが、感染患者のくしゃみを吸引することによる空気感染、感染者の使用したタオル、食器などに触れることによる接触感染などがあります。
〔咽頭結膜熱〕〔プール熱〕の潜伏期間は4~7日間です。
その後、38~40度Cの突然の発熱で頭痛、寒気、食欲不振、咳、鼻水、リンパ腺の腫れ、全身倦怠感を伴いながら発症します。
さらに〔咽頭炎〕や〔結膜炎〕などの諸症状がでてきます。
乳幼児では嘔吐や下痢などの症状がでることもありますが、全部の症状が揃わないこともあります。
日本での〔咽頭結膜熱〕は年間を通じて発症するものの、毎年6月頃から徐々に増加し始め、7、8月の夏季がピークとなります。
高熱 |
38~40度C程度の高熱が4~5日前後続きます。
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咽頭炎 |
喉が赤く腫れ痛みを伴います。扁桃腺炎に進行することもあります。
食欲不振となり尿用事では不機嫌になります。これらの症状は5~7日間ほど持続し軽くなります。
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結膜炎 |
一般的に眼症状は片方の眼の結膜が赤く充血する結膜炎が始まり、その後他方の眼にも出現します。
結膜充血の他、眼の痛み、まぶしさ(羞明)、流涙、めやに(眼脂)の症状がでます。
結膜炎の症状は、上眼瞼結膜よりも下眼瞼結膜に強く現れます。
これらの症状が出現してくると、後頚部のリンパ節が腫れ、圧痛を感じることがあります。
これらの症状は3~5日ほど持続して軽減していきますが、眼に永続的な障害を残すことはありません。
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