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〔性器クラミジア感染症〕


概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 

この疾患の概要です

 〔クラミジア感染症〕は、感染症法の五類感染症に指定された疾患であり、クラミジア・トラコマティスという微生物の感染により発症する感染症の病気です。

 クラミジアは、細菌とウイルスの中間的な病原体で、0.3ミクロン程度の大きさを持っています。

 〔クラミジア感染症〕には〔クラミジア・トラコマチス〕〔オウム病・クラミジア〕および〔クラミジア・ニューモニエ〕という3種類の病気があります。


 〔クラミジア感染症〕は、基本的に性感染症の一つであり、性的接触や性的な接触で感染します。

 この病気は、適切な抗菌薬で完治しますが、放置して自然に治癒することはありません。

 治療に当たっては、パートナーと同時に治療しないと、ピンポン感染してしまうので治療の効果がありません。

 クラミジアの潜伏期間は1~3週間です。潜伏期間を経てもほとんどは症状が出ることがなく、5人に1人くらいしか症状を感じません。

 女性の性器クラミジアで発症する場合の症状は、わずかなおりものが出たり、濃い黄色や緑黄色のおりものが出たり、不正子宮出血や下腹部の痛み、性交痛がでるなどです。

 感染が膣や子宮から尿道にも広がると〔膀胱炎〕と同様な症状を呈することもあります。

 更に、子宮や卵管などに感染が広がり、〔子宮頚管炎〕や〔骨盤内感染症〕を起こすことがあります。

 男性では、尿道にほとんど自覚症状も出ない程度の軽い炎症が起こります。

 症状としては、軽度の排尿痛や不快感を伴いながら、尿道から薄いクリーム状の少量の膿がでます。

 〔クラミジア感染症〕の罹患率では、女性が男性の2~3倍の発症率です。

 感染率の最も高いのは、20~24歳の女性層で16人に1人が感染し、15~19歳代では21人に1人が感染しているといわれています。

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どんな病気ですか?
〔クラミジア感染症という病気〕

 クラミジア感染症は、クラミジア・トラコマチスという病原菌により炎症を引き起こされる病気で、通常、性的接触によって感染します。

 そのため、「性器クラミジア感染症」とも呼ばれます。

 クラミジア感染症は、性的接触感染症(性感染症)ということで「STD(Sexually Transmitted Diseases)」の一つとなっています。

 クラミジア・トラコマチス病原体の種類は、A・B・Bs・C・D・D7・E・F・G・H・I・I’・J・K・L1・L2・L2’・L3の18種類があります。

 この内、D~K型がのクラミジア・トラコマチスが性器クラミジア感染症を引き起こします。A~C型とL型は別の疾患の原因となります。

 現在の日本ではあまり起こりませんが、衛生環境の悪かった戦後などには、クラミジア・トラコマチス病原菌による結膜炎が蔓延し、「トラコーマ」と呼ばれていました。

 クラミジア感染症の罹患率では、女性が男性の2~3倍の発症率となっています。

 感染率の最も高い年齢層は、20~24歳の女性層で16人に一人、15~19歳代では21人に一人が感染しているといわれています。

〔クラミジア感染症の種類〕

 クラミジアは、細菌とウイルスの中間的な病原体で、0.3ミクロン程度の大きさを持っています。

 クラミジア感染症には、3種類の病気があります。

 ・クラミジア・トラコマチス
 ・オウム病・クラミジア
 ・クラミジア・ニューモニエ

クラミジア感染症の種類と症状
クラミジア・トラコマチス  クラミジア・トラコマチスは、性感染症の一つで、比較的軽い症状のものが多いですが、放置すると重大な病気へと進展することがあります。

 治療には抗生物質が確実に効果がありますが、いったん治癒しても、性的接触などですぐに再感染するので、パートナーと同時に治療する必要があります。

 女性がクラミジア・トラコマチスに感染し放置すると、クラミジアによる炎症が、まず子宮頚管に起こります。

 その後、子宮内膜、卵管、腹膜へと症状が進行し、最終的に不妊症の原因となります。

オウム病・クラミジア  オウム病・クラミジアは、オウムやインコ、ハトなどの鳥類からヒトに感染し炎症を引き起こします。

 症状は、比較的経度の上気道炎程度のものから、重度な肺炎のようなものまで起こり、呼吸困難や意識障害をきたすものまであります。

 突然に38度C以上の発熱で発症し、粘液性の痰を伴う咳がでるようになります。

 全身の倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛、頭痛などのインフルエンザと類似の症状が現れます。

クラミジア・ニューモニエ  クラミジア・ニューモニエは、クラミジア・ニューモニエ菌の感染により起こる、上気道炎や肺炎などの呼吸器感染症です。

 小児期から高齢者がかかり、咳によりヒトからヒトへ感染しますが、この病気は、大流行することはなく、家族内や学校などの小集団で発生します。

 この病気は、発症しても症状が比較的軽症ですが、逆に感染を繰り返しやすい特徴があります。

 治療には、抗菌薬が効果ありますが、稀にペニシリン系やセフェム系抗菌薬が効かない場合もあります。

 尚、この病気のことを間違えて「クラジミア」だと思い込んでいる人が沢山いますが、正しくは「クラミジア」ですので、念のため。

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どんな症状ですか?
〔クラミジア感染症の症状〕

 クラミジア・トラコマチスによる病気は男女の性的接触により感染し、男性にも症状が現れますが、女性の方がより深刻な症状となって現れてきます。

 また、男女を問わず、咽頭感染による症状もあります。

〔女性の症状〕

 女性の性器クラミジア感染症は、感染初期には極めて軽度な症状しかなく、5人に1人くらいしか症状を感じません。

 症状は、わずかなおりものが出たり、濃い黄色や緑黄色のおりものが出たり、不正子宮出血や下腹部の痛み、性交痛などを感じることもありますが、気づかないことも多いです。

 また、感染が膣や子宮から尿道にも広がると膀胱炎と同様な症状を呈することもあります。

 精液中に存在したクラミジアが子宮頚管から感染し、そのまま治療せず放置しておくと、1~3週間でクラミジアによる炎症は、まず「子宮頚管炎」となって発症します。

 炎症は、さらに子宮内膜、卵管、腹膜へと広がり、「子宮付属器炎」や「骨盤内炎症性疾患」を発症するようになります。

 子宮頚管炎になると、静止の通過障害を引き起こすことになり、子宮粘膜炎が発症すると、精子の着床障害を引き起こします。

 卵管周囲の炎症で癒着を起こすと、卵管の詰まりや卵管狭窄などの、卵管障害を引き起こし、次のような重要な問題の原因ともなります。

 ・子宮外妊娠
 ・不妊症
 ・流産
 ・早産
 ・異常分娩

 運よく妊娠し、出産までこぎつけても、切迫出産のために、低体重児が生まれることも多くなります。

 感染が、さらに上腹部にまで拡大すると、「肝周囲炎」となり激しい腹痛を伴います。

 最初の感染から、子宮頚管炎、子宮内膜炎、卵管炎へと広がり、骨盤腹膜炎、肝周囲炎となるまでの時間は、早ければ1か月ほどしかかかりません。

 妊婦が感染している場合には、産道感染により新生児へ母子感染がおこり、新生児が眼瞼結膜炎や中耳炎、重篤な新生児肺炎などを発症して、空咳がでて十分なミルクが飲めないなどの症状が起こります。

 最悪の場合には死に至ることもあります。

〔男性の症状〕

 男性が感染すると、感染後1~3週間で尿道に炎症が現れますが、ほとんど自覚症状も出ない程度の軽い症状に留まります。

 炎症としては、軽度の排尿痛や不快感を伴いながら、尿道から薄いクリーム状の少量の分泌物(膿)がでます。

 しかし、放置すると、クラミジア・トラコマチス病原菌は消滅することはなく、当然ながら、いつまでもパートナーへの感染源となります。

 また、自分自身の症状も「尿道炎」から、進行して「精巣上体炎」や「腹睾丸炎」「慢性前立腺炎」「血精液症」へと進行してしまいます。

〔咽頭感染の症状〕

 近年のオーラルセックスの流行により、男女共に性器から咽頭への感染が起こり、咽頭炎や扁桃腺炎などを起こします。

 目だった痛みはないものの、咽頭の腫れや痛み、発熱などの症状を呈することがあります。

 性器クラミジア感染症の女性のうち、10~20%は咽頭からもクラミジアが検出されます。咽頭クラミジアの治療は、性器感染よりも時間がかかります。

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原因は何ですか?
〔クラミジア感染症の原因〕

 クラミジア感染症の原因は、クラミジア・トラコマチス病原体が性器に感染することで起こります。

 主な感染経路は、性的接触ですが、オーラルセックスやディープキスなどにより粘膜に感染することもあります。

 感染部位は、男性では尿道、女性では膣内、男女共通しては咽頭などです。

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診断はどうやりますか?
〔クラミジア感染症の診断〕

 クラミジア感染症の診断は、男性の場合は泌尿器科・性病科、女性の場合は産婦人科・性病科を受診して行います。

 基本的に、性器感染の場合は患部から体液を採取し、クラミジアの有無を調べます。咽頭感染の場合は耳鼻咽喉科で受診します。

 クラミジア感染症の診断は、尿などから病原体であるクラミジア・トラコマチスが検出されるかどうかによります。

 尿道炎があり疑われる患者から、想定される感染部分から分泌物を綿棒で採取する罹患部スワブや、初尿を検体として、PCRと呼ばれる方法などによりクラミジアを検出します。

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治療はどうやりますか?
〔クラミジア感染症の治療〕

 クラミジア感染症の治療は、感染部位がどこであっても、次の抗生物質・抗菌製剤が有効です。

 ・テトラサイクリン系製剤
 ・マクロライド系製剤
 ・ニューキノロン系製剤

 治療を開始すると、数日で症状がなくなることが多いですが、病原菌が完全に死滅していないこともあるので、通常は2週間程度の投与が必要です。

 尚、マクロライド系製剤の「アジスロマイシン」は、子宮頚管炎の治療薬として認可されていて、1回の経口投与で治療が可能です。

 治療上で二つの重要なポイントがあります。一つ目は、治療期間ですが、医師から投与された治療薬は、必ず最後まで服用しなくてはなりません。

 症状がなくなったからといって、治療薬の服用を途中で止めると、症状がぶりかえしたり、病原菌に耐性がついてしまって、その後の治療が困難になることがあるからです。

 二つ目の注意点は、性器クラミジア感染症は、パートナーと同時に治療しなくては効果がないという点です。

 一方だけが治療しても、性的接触の相手が治療しなければ、ピンポン感染してしまうからです。

 クラミジア感染症の中で、妊婦から胎児や新生児への母子感染も重要な問題です。

 新生児にクラミジア・トラコマチス感染「結膜炎」や「新生児肺炎」が発症する場合、早期の治療は不可欠です。

 分娩直後の新生児結膜炎の予防には、エリスロマイシンやテトラサイクリン眼軟膏が有効です。また、新生児肺炎には、マクロライド系のエリスロマイシンなどが使用されます。

 尚、特に、不特定多数の相手と性的接触があるときに、コンドームの着用でかなり予防効果はあるものの、オーラルセックスなどを行う場合には、感染の危険度は極度に高くなります。


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