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〔麻しん〕 |
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〔麻疹〕は、俗称で〔はしか〕と呼ばれる病気です。ウイルス感染症のひとつであり、はしかウイルスの感染により、感染後10日ほどの潜伏期間を経て発病します。 |
はしかワクチンがありますが、流行株が変異するので、ワクチンは必ずしも有効ではありません。ワクチンで獲得した抗体が効かない変異型が流行することがあるからです。 |
麻しん(はしか:麻疹)は、主に小児期の間で流行する急性感染症であり、「麻疹ウイルス」によって引き起こされます。 麻疹ウイルスの感染力は非常に強く、主な感染経路は「空気感染」「飛沫感染」および「接触感染」の三つで人から人へ感染します。 はしかの免疫がない人では、感染したらほぼ全員が発症します。しかし、一生に一度罹れば免疫ができて、通常、二度とは罹りません。 麻疹ウイルスに感染すると、10日程で風邪に似た発熱や咳、鼻水などの症状で発症します。39度C以上の高熱が2~3日続き、発疹が出現します。 1000人に一人くらいの確率で肺炎や中耳炎を発症することがあります。 以前は、大部分の人は、小児期に麻疹ウイリスに感染し治癒とともに自然に免疫を獲得していました。 しかし、最近でははしかの大流行がないことやワクチンを接種する影響で、大人の感染者も増えています。 小児期にワクチンを接種しても、成人するにつれてワクチンの効果が薄れたり、変異型のウイルスが出現するために、成人してから罹患する人も増えています。 残念ながら、日本は「麻疹制圧後進国」の烙印を貼られています。 このため、2007年8月に厚生労働省が「麻疹排除計画」を策定し、2012年までを目処にはしかを制圧しようとしています。
2008年1月1日以降、麻疹は全数把握疾患に設定。 |
はしか・麻疹には、感染から症状が出て回復するまでのパターンにあまり個人差がないという特徴があります。 はしか・麻疹の感染から治癒までには、四つの段階があります。
・潜伏期
はしか・麻疹に感染するとウイルスや細菌の二次感染による合併症も心配されます。 |
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はしかウイルスに感染し、発症から回復し治癒するまでの主な症状の説明です。
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はしか・麻疹に感染し発症すると、一時的に免疫力が低下し、ウイルスなどの感染症に罹りやすくなります。 発熱時の解熱などで適切な治療が行われない場合などには細菌による二次感染も心配され、いろいろな合併症に冒されることがあります。
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はしかは麻疹とも呼ばれる病気で、原因は麻疹ウイルスによる感染です。はしかの感染には、三つの感染経路があります。
・空気感染
はしかは感染力が極めて強く、日本では、はしかの制圧が遅れていることもあって、誰でも一生に一度は感染するといわれている病気です。 |
通常、はしかはその症状などから臨床症状のみで診断されることが多いです。 しかし、流行ウイルス株を確認したり、ウイルスのH抗原の変異などを調べる必要がある場合には、麻疹ウイルスを分離し調べることもあります。 抗体測定方法には、赤血球凝集抑制法や中和法、ゼラチン粒子凝集法、ELISA法などと呼ばれる方法が用いられています。 |
はしか・麻疹はウイルス性なので、効果のある特異的治療法は存在しません。治療は対症療法が中心となります。 対症療法として、解熱剤、鎮咳去痰薬、輸液や酸素投与などの支持療法が行われます。 また、合併症として中耳炎や肺炎などの細菌性の疾患を伴う場合には、抗菌薬の投与が必要となることもあります。 はしかの予防および治療法として、ワクチンによる予防的方法と、免疫グロブリンの予防投与法とがあります。 |
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はしか・麻疹に対しては、100%効果があるといえないまでも、ワクチンによる予防が最も重要となります。 ワクチン接種すれば、95%以上の免疫獲得率があるので、ワクチンによるはしかの予防効果は明白です。 なお、ワクチン接種後には、軽度の発熱、発疹が認められます。 乳児では、母体から受け継ぐ麻疹特異IgG抗体が存在することがあり、生後まもなくワクチンを接種しても、麻疹ワクチンウイルスの増殖が十分となりません。 このため、母体由来の抗体が消滅すると考えられる生後1歳以降になって、速やかにワクチン接種投与を行うのが効果的です。 日本の現行法では、生後12か月~90か月未満をワクチン接種年齢としています。 しかし、強い感染力を持つ、はしか・麻疹に感染した場合の重症度を考えると、母体由来の抗体が消えて接種可能年齢に達したら、生後12~15か月くらいの時期に速やかに接種すべきです。 |
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はしかの原因はウイルス感染なので、特効薬は存在しません。 しかし、はしか患者との接触の機会があり感染した可能性があるとき、その感染機会の後3~4日以内に、γグロブリン・免疫グロブリンを投与する方法があります。 これは血清製剤であるため、原則として適応とされるのは、ワクチン未接種の尿幼児および、免疫不全患者など重篤な症状が予想される場合に限られます。 免疫グロブリンの投与により、症状が軽くなる場合と完全に予防できる場合とがありますが、どちらにしても、免疫グロブリン投与を受けた人は、基本的に麻疹ウイルスの感染源になる可能性は残っているので、他の人に感染させないために注意が必要です。
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