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〔五類感染症〕
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薬剤耐性アシネトバクター感染症
薬剤耐性緑膿菌感染症
 

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〔風しん〕

概要病気症状原因診断
治療予後合併症情報書籍
 
この疾患の概要です

 〔風疹〕は、風疹ウイルスによる病気で、比較的小さなバラ色の発疹ができ、微熱をともないながらリンパ節が腫れる症状がでます。

 風疹は顔面、耳後部から現れ全身に広がってゆきます。

 症状がはしかの症状と似ていて、通常3日くらいで治るので、三日はしかとも呼ばれています。


 〔風疹〕に対して免疫のない女性が妊娠初期に罹患すると、風疹ウイルスがお腹の胎児に感染してしまい、出生児に〔先天性風疹症候群(CRS)〕と総称される重大な障害を引き起こすことがあります。

 この障害を予防するために、若年時に風疹に罹ったことのない、妊娠可能年齢およびそれ以前の女性はワクチンの接種が必要です。

 日本における〔風疹〕の流行は、2~3年くらいの周期であり、しかも6~10年毎くらいで大流行がみられます。

 近年の大流行は1976年・1982年・1987年・1992年、2013年にありました。傾向としては春から初夏にかけての流行が多いですが、冬にも多少発生することがあります。

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どんな病気ですか?
〔風疹という病気〕

 風疹は三日はしかといわれるように、感染し発症してもそれほど重篤な症状はみられないウイルス性の発疹症です。

 感染してから2~3週間くらいの潜伏期の後、風疹特有の三徴候として、「発熱」「発疹」および「リンパ節腫脹」がみられる病気です。

 風疹は伝染病ですが、伝染力はそれほど強くはなく、水痘や麻疹よりも弱いとされます。

 また、一度、風疹に罹った人は、ごく稀な例外を別として、しっかりとした免疫ができ、二度と罹ることはないといわれます。

 妊娠初期の女性が風疹に罹ると、胎児に感染し先天性風疹症候群という重篤な問題を起こすことがあります。

 風疹に感染したことがなく免疫を持たない、妊娠可能年齢の女性はワクチンの接種が不可欠です。

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どんな症状ですか?
〔風疹の主な症状〕

 風疹の初期症状は、鼻水、咳を伴う、特に痛みのないばら色の斑点が口蓋にできて発症し始めます。

 その後、風疹の三大徴候とされる「発疹」「リンパ節腫脹」および「発熱」がみられるようになります。

 赤く小さい発疹が、皮膚面よりやや隆起して全身にみられます。特に顔が赤くなり、頚部、体幹に点状の紅斑として広がります。

 発疹は、通常は3日程度で消滅しますが、軽度の色素沈着が残る場合があります。発疹が強度の場合には、色素沈着のほかに落屑を伴うこともあります。

 リンパ節腫脹は、発疹のできる数日前から腫れ始め、特に耳介後部、後頭部、頚部に現れます。

 発疹消滅後、1か月程度続くこともあります。また、「カタル症状」と呼ばれる、軽度の咳、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなど局部症状が見られます。

 発熱は風疹患者の半数程度の人にみられるだけで、発熱を伴わないことも多いですが、発熱がある場合は38~39度C前後が3日程度続きます。

〔先天性風疹症候群(CRS)〕

 風疹自体は滅多に重篤な症状になることはなく、軽度な症状だけで済みますが、風疹の最大の問題点は、風疹に伴う「先天性風疹症候群(CRS)」の問題です。

 妊娠前半期の妊婦が風疹に初感染すると、風疹ウイルスがお腹の胎児に感染し、先天異常を含むさまざまな症状を呈する先天性風疹症候群がかなり高い率で出現します。

 胎児に及ぼす先天異常は、母親が妊娠中のどの時期に風疹に感染したか、風疹の重症度や症状の程度がどれほどであったかなどにより異なります。

 生まれた子供の典型的な先天性異常は、先天性心疾患、難聴、白内障、網膜症などです。

 また、先天異常以外にも、低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、間質性肺炎、髄膜脳炎などの症状が新生児期に出現することもあります。

 幼児期以降、進行性風疹全脳炎、糖尿病などが発症することもあります。

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原因は何ですか?
〔風疹の感染原因〕

 風疹の直接原因は、飛沫感染による風疹ウイルスの感染です。風疹患者の上気道粘膜より排泄されるウイルスが空気中に飛沫拡散し感染してゆきます。

 既に感染している人との接触でも感染します。風疹の伝染力は麻疹、水痘よりは弱いとされています。

 ウイルスが排泄される器官は発疹が出現する前後1週間とされています。解熱するとウイルスの排泄量は激減し、感染力は急速に消失します。

〔風疹ウイルス〕

 風疹の病原体である風疹ウイルスは「トガウイルス科のルビウイルス属」に属するウイルスで、直径50~70nmの一本鎖RNAウイルスです。

 正十二面体のカプシド構造を有しています。

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診断はどうやりますか?
〔風疹の病原診断〕

 風疹の病原診断を行う場合は、「ウイルス分離法」が基本的ですが、保険適応もされないため、通常の患者の場合でここまで行うことはありません。

 一般的に用いられている方法は、保険適応でもある「血清診断法」です。

 赤血球凝集抑制反応(HI)、中和法(NT)、補体結合法(CF)、酵素抗体法(ELISA)などの方法があります。以前にはHI法が主流でしたが、最近はELISA法が使われています。

〔風疹の鑑別診断〕

 風疹の三大徴候である「発疹」「リンパ節腫脹」および「発熱」のいずれかの症状が出現しない合には、臨床診断は困難となります。

 溶血性レンサ球菌による発疹や伝染性紅斑などでも同様な症状が出るため、これらとの鑑別(区別)を要することもあります。

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治療はどうやりますか?
〔風疹の治療方針〕

 風疹に対して特別に有効な特異的治療法はなく、風疹ウイルスに効く薬もありません。対症療法での治療となります。

 発熱や関節炎などの症状に対しては解熱鎮痛剤を使用します。

〔風疹生ワクチン〕

 弱毒性のワクチンが実用化され、日本では、平成6年の予防接種法改正で、生後12か月以上~90か月未満の男女は、予防接種法の定期接種として風疹生ワクチンの接種を受けるようになりました。

 風疹ワクチンを接種する目的は、風疹の罹患や流行の防止です。

 風疹に対する免疫を持たない女性が妊娠した後で、風疹の初感染を受けると、先天性風疹症候群発生の危険性が極めて高くなるので、幼児期だけでなく、中学生以上でも風疹ワクチン接種を積極的にすすめる必要があると考えられています。

 しかし、生まれる子供が先天性風疹症候群にならないようにするために、妊娠の可能性のある女性に対しての風疹ワクチンの接種は禁忌となります。

 成人女性が風疹ワクチンを接種を受ける場合には、接種後1か月以上は絶対的で確実な避妊をしなくてはなりません。

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予後はどうですか?
〔風疹の予後〕

 風疹は一般的に予後は良好な疾患です。確かにいくつかの合併症が知られていますが、「血小板減少性紫斑病」では3千~5千人に一人、「急性脳炎」では4千~6千人に一人程度の低い率です。

 成人の場合にほとんど一過性の問題として、手指のこわばりや痛み、関節炎などがでることがありますが軽度です。

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