酵素の利用分野による分類
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日常生活でも酵素は頻繁に利用されています。その利用法には、食品加工業のように酵素自体をそのまま活用するものと、医療や製薬業などのように生体が持っている酵素を観測したり制御したりするものです。
人類は、有史以前のはるか昔より、生物の有する醗酵作用を利用してきました。味噌や醤油、酒などの製造では、麹や麦芽などの生物がもつ酵素を間接的に利用してきました。人類が酵素を最初に発見したのはジアスターゼであり、消化剤として用いられています。
酵素反応は、加工食品の製造工程で積極的に利用されるばかりでなく、でん粉を原料とする多くの糖類の製造にも使われています。また、肉類の軟化などのような品質改良などにおいても酵素が利用されます。
多くの分野で利用される酵素には、「プロテアーゼ類」「アミラーゼ類」「セルラーゼ類」「イソメラーゼ類」などがありますが、それぞれの利用分野は次のようになっています。
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プロテアーゼ類
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基本機能
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・タンパク質を分解
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化粧品・日用品
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・アルカリプロテアーゼ
・セリンプロテアーゼ
・パパイン
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・パパインはケラチン分解酵素で脱毛剤に添加し無駄毛処理に使用
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食品工業
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・グルタミナーゼ
・パパイン
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・L-グルタミン酸への変換による味質向上
・食肉の軟化
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醸造工業
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・プロテアーゼ全般
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飼料用
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洗剤用、線維加工用
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・アルカリプロテアーゼ
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アミラーゼ類
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基本機能
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・でん粉類を分解
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化粧品・日用品
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・デキストラナーゼ
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食品工業
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・α-アミラーゼ
・β-アミラーゼ
・アミロプルラナーゼ
・グルコアミラーゼ
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・水飴の製造
・麦芽糖の製造
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・ブドウ糖の製造
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醸造工業
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・α-アミラーゼ
・β-グルカナーゼ
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飼料用
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・α-アミラーゼ
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洗剤用、線維加工用
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・アミロプルラナーゼ
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セルラーゼ類
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基本機能
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・セルロース、木質を分解
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化粧品・日用品
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食品工業
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・ヘミセルラーゼ
・アラバナーゼ
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・パンの改質(澱粉とグルテン相互作用でのパンの老化低減)
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醸造工業
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・セルラーゼ全般
・ヘミセルラーゼ
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飼料用
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・セルラーゼ全般
・ヘミセルラーゼ
・ペクチナーゼ
・フィターゼ
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洗剤用、線維加工用
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・セルラーゼ全般
・プロトペクチナーゼ
・ペクチナーゼ
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紙・パルプ用
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・キシラナーゼ
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イソメラーゼ類
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基本機能
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・成分を変換
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化粧品・日用品
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食品工業
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・イソメラーゼ全般
・グルコースイソメラーゼ
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・異性化糖(果糖)の製造
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醸造工業
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飼料用
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洗剤用、線維加工用
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その他の酵素
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基本機能
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化粧品・日用品
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食品工業
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・レンネット
・ペクチナーゼ
・卵白リゾチーム
・トレハロース生成酵素とトレハロース遊離酵素
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・チーズの製造
・果汁・果実酒の清澄化
・保存性の向上
・トレハロースの製造
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醸造工業
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飼料用
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洗剤用、線維加工用
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・リパーゼ
・ペルオキシダーゼ
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・油脂分解
・漂白
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紙・パルプ関連
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・リパーゼ
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・エステル交換
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