海スズメの一種であるアパリアスという海鳥を羽のついたままの姿で、肉や内臓を取り去ったアザラシのお腹に多数詰め込み、数か月~数年もの長期間、土の中に埋めておき乳酸菌発酵させて作ります。(多くのサイトでは、この海鳥をウミツバメとしていますがそれは誤りで、正しくはウミスズメです。)
よく用いられる原料となるウミスズメは、ヒメウミスズメと呼ばれる種類で、現地ではグリーンランド語でアパリアスと呼ばれています。イヌイットたちは、短い北極圏の夏の間に飛来するアパリアスを捕虫網のような道具を使って捕獲します。
捕獲したアパリアスは、内臓が腐ってしまわないように、直射日光を避けた涼しい場所で1日ほど放置し冷却します。
海鳥を詰め込むためのアザラシは、先ずお腹を開いて内臓や肉の部分を取り去り、皮下脂肪部分のみを残します。(冒険家の植村直己さんの書物では皮下脂肪を残すとされていますが、小泉武夫さんの書物では皮下脂肪は残さないとされています。)
次に、数十羽~数百羽のアパリアスを羽がついたままの姿で、このアザラシのお腹に詰め込んだ後、アザラシのお腹を縫い合わせます。縫合部には、ハエが卵を産み付けないようにアザラシの油を塗るなどの処置をします。
準備のできたアザラシを地面に掘った穴に埋め、空気抜きをつけておきます。上部には重い石などをおいて、キツネなど野生の動物に食べられてしまうのを防ぎます。この状態で数か月間~1年間~数年間、放置し、アパリアスが乳酸菌発酵するのを待ちます。
こうして、誕生日の祝いや、重要な来客の訪問を受ける際に、アザラシを掘り出し、発酵したアパリアスを賞味するのです。
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