ヨーグルトの原産地・歴史
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ヨーグルトが作られ始めたのは紀元前3000年ころのブルガリアとされ、その発見は偶然の賜物でした。
気温の高い地域では生のままの牛乳などはすぐに腐ってしまい保存ができません。山羊の皮袋に入れておいた生乳に偶然的に混入した乳酸菌が入り込み、発酵して固形化し、食べてみると美味しくなっていたのです。
これがヨーグルトの発見となり、そのままの食べ方で受け継がれてきました。その後、2世紀ころにはヨーロッパ全域に知られるようになりました。
現在、日本や欧米では「ヨーグルト」という呼び方をしますが、トルコ語でヨーグルトを意味する言葉「ヨウルト」に由来するといわれえいます。ヨウルトの本来の意味は「攪拌する」という動詞です。ヨーグルトの製造でよく混ぜる工程からついたものと想像されます。
ブルガリア周辺国では、100歳以上の高齢者が多いことから、かなり古い時代に、ヨーグルトとの関係が調べられ、ヨーグルトが長生きによいということが分かりました。しかし、乳酸菌のような微生物が詳しく研究され、長生きの理由が解明されたのは、ここ数百年のことです。
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日本への伝来
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実は日本へのヨーグルトの伝来はとても古く、7世紀頃のことでした。日本の古典の医学書に、人間の健康に乳製品が良いという記述があるそうです。しかし、当時は、高貴な人々が薬として使うだけだったため、一般の庶民には存在が知られることはありませんでした。
16世紀になり、酪農が盛んになり、牛乳の効果が知られるようになり、乳製品も広まってきたようです。しかし、日本でヨーグルトが本格的に普及し始めたのは、ごく最近のことです。
1917年(大正6年)に、広島市にあるチチヤス乳業という企業から日本初のヨーグルトが発売されました。しかし、広く一般に普及し始めたのは戦後のことで、1950年に明治乳業が「ハネーヨーグルト」を発売してからです。
ちなみに、明治乳業では、ヨーグルトが長寿の秘訣であると発表したロシアの医学者「イリヤ・メチニコフ」の誕生日5月15日を「ヨーグルトの日」として宣伝しています。
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ヨーグルトの分類
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乳酸菌で作られるヨーグルトとはいっても、乳酸菌の種類は無数にあるので、ヨーグルトの種類も実に多くあります。乳酸菌の種類と同じ数だけヨーグルトも存在するといってもいいほどです。
最近のヨーグルト製品では、パッケージに乳酸菌の種類が表示されています。どの乳酸菌のヨーグルトでもそれほど効果が違わないとも思われますが、人によって効果に差があるという話も多々あります。自分に合ったヨーグルトを見つける必要があいます。
特定のヨーグルトをしばらくの期間食べ続けてみて、身体の疲労が改善したり、腸の調子が良くなり便秘や下痢をしなくなるようなら、そのヨーグルトがあなたに合った乳酸菌のヨーグルトということになるのでしょう。
日本で販売されるヨーグルトは「プレーンヨーグルト」「ハードヨーグルト」「ソフトヨーグルト」「ドリンクヨーグルト」および「フローズンヨーグルト」という5つのタイプがあります。
ヨーグルトは毎日続けて摂取しないと、その効果を発揮することができませんので、自分に合った無理せず食べ続けられるものを見つけましょう。
プレーンヨーグルト
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日本で最初に発売されたヨーグルトでは、砂糖などの糖分を加えた甘いヨーグルトでした。これに対して、プレーンヨーグルトは、甘味料などを何も加えない、ありのままのヨーグルトです。プレーンヨーグルトは発酵前に容器に詰めて作られます。
現在では、多くの種類のプレーンヨーグルトがあり、乳酸菌の種類もことなります。
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ハードヨーグルト
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プリンのように硬い食感のヨーグルトがハードヨーグルトです。食べ易いように砂糖や果物が加えられていて、寒天やゼラチンで固められています。蜂蜜などを加える場合もあります。
ハードヨーグルトは日本独特のもので、給食のデザートによく使われます。
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ソフトヨーグルト
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ソフトヨーグルトはトロトロしているヨーグルトです。乳酸菌による発酵後に、甘味料や果物を加えて容器に納めます。生クリームを混ぜる場合もあります。
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ドリンクヨーグルト
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いわゆる「飲むヨーグルト」です。ヨーグルトを細かい粒にして液体化したものです。大抵は砂糖やフルーツが加えられて飲みやすくなっています。
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フローズンヨーグルト
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フローズンヨーグルトは、その名の通り、冷凍されたヨーグルトです。冷凍しても乳酸菌は冬眠状態になっているだけで、体内に入れば復活して悪玉菌と戦います。
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世界各地のヨーグルト
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世界には非常に多くのヨーグルトがあります。ヨーグルトは種となる乳酸菌の種類や、原料になる乳の種類、容器の種類などで名称や味も出来上がり状態も異なったものとなります。
地域
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原料乳
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呼び名
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インド・パキスタン
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牛乳・山羊乳・水牛乳
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ダヒ、ドイ、タイール、カード
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ネパール
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ダヒ
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スリランカ
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牛乳・水牛乳
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カード
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モンゴル
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馬乳
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アイラグ
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中央アジア
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馬乳・らくだ乳
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クーミス
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アフガニスタン
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マースト
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イラン
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牛乳・山羊乳
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レーベン・マースト
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イラク
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リバン
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シリア・レバノン・パレスチナ
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ラバン
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エジプト
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牛乳・山羊乳・水牛乳
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ザバディ
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グルジア
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牛乳・山羊乳・羊乳
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マツオーニ
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アルメニア
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マズーン
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ギリシャ
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ヤウルティ
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トルコ
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牛乳・山羊乳・羊乳
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ヨウルト
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ブルガリア
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牛乳・羊乳
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キセロ・ムリャコ
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ロシア
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牛乳
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ケフィール・スメタナ
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北スペイン
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牛乳・山羊乳
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クァハダ・マミヤ
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スカンジナビア半島
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牛乳・脱脂乳
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テッテ
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ヨーグルトの作り方
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ヨーグルト製造メーカーが本格的に生産するヨーグルトは、乳酸菌の菌種やヨーグルトの仕上げ形状などにより異なりますが、ここでは、一般家庭で簡単にヨーグルトを作る方法をご説明します。
自家製ですので、最初の種になる菌は、出来合いのヨーグルト(味付けしてないプレーンヨーグルトがよい)からもらいます。つまり、市販のヨーグルトを少し残しておいて種にするわけです。菌種によっては、殺菌されたヨーグルトでは使用できませんから、種用に購入する必要があるかもしれません。
原料牛乳の殺菌
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原料とする牛乳1リットルほどを沸騰させ殺菌します。続いて、放冷し温度が30~45度Cになるまで待ちます。
この温度は種とするヨーグルト菌の種類によりことなりますが、大体40度Cくらいで大丈夫です。
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種の仕込み
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牛乳1リットルに対して、古いヨーグルトを大匙2杯ほど加えて、できるだけよく掻き混ぜます。
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発酵
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乳酸菌がうまく発酵を続けられるように30~45度Cの範囲で一晩(5~10時間)置きます。保温ジャーに入れると確実です。適温は菌の種類により異なりますが、暖かい季節なら単に放置するだけでもよいです。
これで発酵熟成が進み、新しいヨーグルトの完成です。発酵が進み過ぎないように完成したら10度Cくらいまで冷やし冷蔵庫で保管します。
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試食と種取り
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完成したヨーグルトはいつでも食べられますが、次の日のために、少量の種を残します。このようにして何度か続けていると、数回~10回程度でヨーグルトの味が変化してしまうので、そのときはまた市販のヨーグルトを種として使うとよいです。
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