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健康食品

〔紅麹菌〕





 紅麹菌は、微生物学上の分類では、子のう菌類モナスカス属に属するカビ(真菌)であり、菌糸が鮮やかな紅色をしている菌です。

 紅麹菌には「モナスカスパーピュレウス」や「モナスカスアンカ」などの種類があります。

 中国においては古来より、紅麹菌は発酵食品や伝統医療に用いられてきた麹菌のひとつです。


 紅麹から抽出される紅色の色素はモナスコビンと呼ばれ、着色料や天然食品添加物に活用されています。いわゆる健康食品や醸造酢、味噌、パンなどの発酵食品の製造に使われます。


 紅麹に含まれる成分のスタチンには、コレステロールの生成を阻害する高い効果があり、いわゆる悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と中性脂肪を減少させる作用があります。  血圧調整作用のあるγ-アミノ酪酸(GABA)を含み、血圧降下作用があります。そのほか、がん予防にも効くといわれています。

原産地・歴史 ◆〔紅麹菌〕の原産地や歴史をご説明します。。
紅麹菌の原産地・歴史

 紅麹の歴史は古く、中国では2000年以上もの古来より健康食品として使われてきた麹菌の一種です。発酵による健康食品の製造ばかりでなく、伝統医療にも利用されてきました。

 紅麹は古くから中国・台湾地方で紅酒、老酒などの製造原料として利用されていました。また、紅乳腐、肉や野菜の漬物、炒め物などの中華料理に使われてきました。

 また、紅麹は内臓を丈夫にする漢方薬としても珍重されてきましたが、もともと中国の古典「本草綱目(ほんぞうこうもく)」に記されている漢方薬でもあるのです。

 日本では、琉球王朝時代の上流社会で、豆腐の発酵食品「豆腐よう」というものがわずかに生産され、病後の滋養食として珍重されていました。

 紅麹は、お酒や味噌・醤油などを作るための麹の一種ではあるものの、一般の麹とは異なり鮮やかな紅色をしていることから、食品に対しての天然着色料として、あるいは甘い香りを与える着香料としても利用されてきました。

 近年になって、紅麹に含まれるモナコリンKがコレステロールの合成を抑制することでコレステロールの低下作用を有することから、アメリカでは「レッド・イースト・ライス」と呼ばれ、コレステロール対策の定番サプリメントとして人気があります。

麹の種類

 麹というのは、穀類などのでん粉質に麹菌が繁殖したもので、日本酒をはじめ、醤油や味噌、酢などの製造に不可欠な微生物で、日本人には特に馴染み深く根付いています。

 麹には、麹菌を繁殖させる穀物の種類によって米麹、麦麹、豆麹などに分類されています。また、麹菌の胞子の種類によって「黄麹」「紅麹」および「黒麹」に分けられます。

 こららの中で紅麹は、虹色をしていて、これを使った発酵食品は、紅色を呈するようになります。有名な醸造食品には、紅酒や紅老酒、紅乳菌などがあります。

紅麹による発酵食品

 紅麹を利用してつくられる発酵食品には「紅酒」「腐乳」「豆腐よう」赤酒」「紅麹もろみ酢」などがあります。

紅麹を利用した発酵食品
紅酒  紅酒は台湾などで作られる酒で「アンチュ」といいます。餅玄米を蒸して紅麹と水とを加えて発酵させ、米酒を加えてつくります。

 新しい紅酒は、紅色をしていますが、次第に淡黄色から褐黄色に変化し、独特の風味を持つ酒となり、珍重されます。

腐乳  腐乳は、納豆菌で発酵させた豆腐を、紅麹、酒麹、酒かす、塩などを混ぜ合わせたものの中に漬け込んで作ります。

 そのまま酒の肴としたり、鍋物の薬味として使います。おかゆと合わせて食べたり、調味料としても使います。

 この腐乳が明時代の中国から沖縄に伝わり、「豆腐よう」が作られるようになったとされています。

豆腐よう  豆腐ようは、琉球王朝時代に明から伝来した沖縄の郷土料理です。非常に栄養価が高く「東洋のチーズ」とも呼ばれ愛好される健康食品のひとつです。琉球王朝時代には、高貴な人々の間で病後の滋養食としても重宝されたと伝えられています。

 豆腐ようは、塩漬けにした豆腐を脱水し、米麹と紅麹、泡盛を合わせた独特な漬け汁の中に漬け込みます。約2か月間~1年間ほど発酵熟成させるとできあがります。豆腐ようは「唐芙蓉」と書かれることもあります。

 紅麹菌の発酵により、アスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸、グルコース、脂肪酸、有機酸のエチルエステルなどが作られ、豆腐ようの絶妙な香味を醸しだします。

 熟成が進むと、しだいに豆腐の味は薄れ、チーズと酒を合わせたような味わいが強くなります。泡盛やビール、焼酎の肴として、楊枝などで少量ずつ削いで食べるのがおつだとされます。

赤酒  紅麹の色素である、モナスコルビンを用いて着色した、新潟県特産の清酒のことです。

天然着色料  食品加工に使用する化学合成食品添加物には、とかく発がん性があるなど危険が伴うことから、自然食品から抽出した天然添加物が注目されています。このような観点から、紅麹のモナスコルビン色素は、ハムやソーセージ、菓子、飲料など着色料として使われています。

その他  栄養豊富で安全な紅麹の有用性が着目され、最近では、紅麹入りのパン、紅麹もろみ酢、紅麹の味噌、紅麹の醤油など、紅麹を利用した多くの食品が市販されています。



主な栄養成分 ◆〔紅麹菌〕の主な栄養成分についてご説明します。
紅麹菌の主な栄養成分

 紅麹には、γ-アミノ酪酸、モナコリンなどの有効成分が豊富に含まれています。


主な効能・効用 ◆〔紅麹菌〕の主な効用・効能についてご説明します。
紅麹菌の主な効用・効能

 紅麹の効用は、その有効成分であるγ-アミノ酸やモナコリンに由来します。特に、血圧降下作用や悪玉コレステロール低下作用などが着目されています。

紅麹の有効成分
γ-アミノ酪酸  γ-アミノ酪酸は別名「GABA」とも呼ばれる栄養成分で、脳内に多く存在する抑制性神経伝達物質です。脳の酸素供給量を増加させて脳細胞を活性化させる作用があります。

 強力な血圧降下作用が認められていて、血圧を正状に保ちます。また、コレステロール合成阻害作用があり、中性脂肪を抑制し、血中コレステロールを下げる働きも確認されています。

モナコリン  コレステロール合成に必要な酵素の働きを阻害して、コレステロールを低下させます。



風作用・注意点 ◆〔紅麹菌〕の副作用や注意点についてご説明します。
紅麹菌の副作用や注意点

 紅麹食品は、通常の食材に近い成分であり、長い年月食べられてきたものが原材料なので、基本的には安全性は高く、重篤な健康被害や副作用は知られていません。

 しかし、紅麹のサプリメントを服用する差異には、まれに発疹などの皮膚症状や胃腸障害などのアレルギー症状や過敏症が起こることがあります。

 妊娠中の人や肝臓障害、腎臓障害のある人、多量の飲酒をする人などは紅麹のサプリメントを使用すべきではありません。また、コレステロール降下剤を使用している人も併用は禁止です。

 これらの人が紅麹のサプリメントを服用したい場合は、お医者様への相談の上、摂取するようにしましょう。また、何らかの医薬品を服用している人も主治医に相談するのが安心です。


料理のコツ ◆〔紅麹菌〕の料理のコツをご説明します。
紅麹菌の料理のコツ




健康食品・サプリメント ◆〔紅麹菌〕の市販健康食品・サプリメントはありますか?
市販紅麹菌・サプリメントの例

 紅麹のサプリメントには、多くの種類があります。中でもモスナカス・パービュレウスを原材料としたものが最も効果があるとされます。

 臨床試験のデータから判断すると、紅麹のサプリメントを服用開始してから、悪玉コレステロールの減少が実感されるまでには、約1~3か月かかります。

 紅麹単独のサプリメントもありますが、紅麹と他の成分とを合わせ配合して相乗効果を期待するサプリメントもあります。いずれにしても、紅麹によるコレステロール低下作用を期待するなら、モナコリンKの配合量が明記されて製品を選ぶとよいです。

 紅麹菌を含有する健康食品・サプリメントは、ウエルシア、DHCなどから販売されています。これらのご利用に関しては、販売会社のご説明だけでなく、上記の内容もよく理解して下さるとよいと思われます。

紅麹菌サプリメント例
ウエルシア 湧永製薬 紅麹ニンニク発酵エキス 120カプセル
DHC 濃縮紅麹(べにこうじ) 30日分