インドに伝わる伝統的な学問に、五千年以上の歴史をもつアーユルヴェーダというものがあります。アーユルはサンスクリット語で「生命」を意味し、ヴェーダは「知識」を意味する言葉ですが、現代風に言えば、アーユルヴェーダは医学・生命科学・生活の知恵・宗教的・哲学的概念など広大な意味を有する言葉です。インド占星術などとも深い関係を持っていて、やや不気味な意味合いもあります。
アーユルヴェーダにおける健康についての基本的な考え方は、「予防医学」という思想にあるとされます。アーユルヴェーダでは、心身の状態、人の行い、取り巻く環境などすべてを含めて、全体として調和がとれていることが健康の基本だと考えます。
アーユルヴェーダでは、病気に罹ってしまってから病気を治療するのではなく、病気に罹りにくい心身を作ることが重要とされます。すべてのことを、病気を予防し、健康を維持することに集中します。
更に具体的には、「ドーシャ(元素)」のバランスが取れていて、各「ダートゥ(肉体の構成要素」がきちんと機能し、不快な状態がないことが健康の条件となります。
ギーは簡単にいえば、バターから不純物を完全に取り除いた純粋な乳脂肪です。アーユルヴェーダでは、すべての油の中で、ギーを特に上質な脂肪として調理に使います。ギーは消化がよく、他の食材の持ち味を活かす力を備えているからです。
ギーは純粋であるが故に、燃やすと綺麗な青い炎をだしながら完全燃焼し燃えカスを出しません。健康によいとされるオリーブ油やゴマ油などよりももっと純粋だとされているのです。
ギーは、アーユルヴェーダの儀式には欠かせない存在で、しばしば神々に捧げられますし、ギーへの賛歌が存在します。
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