キムチの原産地・歴史
|
キムチという言葉はもともとは朝鮮語で「野菜を漬けたもの」という意味合いの「沈菜(チムチェ)」や「沈漬(チムチ)」、あるいは「鹹菜(ハムチェ)」から生れた言葉とされています。
キムチの英語表記は、日本では「Kimuchi」が定着しつつあったのですが、韓国側からの提案もあり、現在では「Kimchi」が使われています。稀に「Gimchi」とされることもあります。
キムチの原型は、紀元前2000年ころには存在したと考えられています。しかし、文献上に正式に登場したのは13世紀初頭のことで、李奎報の詩の中に現れます。現在のような唐辛子を用いたキムチが誕生したのは16世紀以降で、日本との深い関わりがあります。また、キムチが本格的な食材として普及したのは18世紀以降だとされています。
|
唐辛子の伝来
|
キムチに唐辛子が使われるようになったのは、豊臣秀吉の朝鮮出兵時に、唐辛子が日本から持ち込まれ、それ以来のことだとされていますが、一説では江戸時代に日本を訪れた朝鮮通信使が持ち帰ったともいわれています。それ以前にはキムチには唐辛子ではなく山椒が使われていました。
朝鮮に出兵した日本の兵士達は、寒さ対策として唐辛子で足裏を刺激し血行を良くしていたと考えられています。唐辛子が持ち込まれた当初、唐辛子は「倭芥子」あるいは「倭椒」と呼ばれ、毒があるとみなされていたのですが、やがてそれが食材として広まりキムチの素材として定着したと考えられています。
唐辛子の伝来はともかく、16世紀以降、現在風な赤くて辛いキムチが作られるようになり、現在の韓国では毎日の朝食、昼食、夕食に必ずキムチが添えられています。
|
日本でのキムチの普及
|
昭和初頭までは、韓国本来のキムチの味は、日本人の味覚に合わなかったこともあって、キムチの名前は知られていても、日本ではあまり普及していませんでした。
しかし、その後やがて、日本人向けに酸味を抑え甘味が強いキムチが開発され人気がでるようになりました。1980年代後半に日本で起こった「激辛ブーム」を境に日本でも漬物のひとつとして完全定着しました。2006年度に日本国内で最も多く消費された漬物はキムチだとの統計がでています。
現在、日本で売られているキムチは、日本の国産品もありますが、韓国からの輸入品も多くあります。注意すべきは、「本場」と表示されていても、現実には酸味を抑え甘味をました日本人向けの味付けとなっているものがほとんです。
|
キムチの種類
|
キムチには、さまざまな具材を使ったものがあり、その数は200種類以上もあるとされています。キムチは、一般的には辛い漬物と思われていますが、中には辛くないキムチもあります。
ペチュギムチ
|
白菜のキムチで、単にキムチといえばこれを指します。
|
オイギムチ
|
胡瓜のキムチです。
|
カクトゥギ
|
大根のキムチでカクテキとも呼びます。大根を六面体で切って作ります。
|
チョンガクキムチ
|
チョンガク大根という小型の大根で作るキムチです。
|
ポサムキムチ
|
韓国の開城地方の名物キムチで、生のイカや牡蠣などを白菜の葉で包んで漬けます。保存がきかないために、作ってから2~3日で食べなくてはなりません。
|
ヤンベチュキムチ
|
洋白菜のキムチです。白菜の入手が困難なヨーロッパに移住した朝鮮系住民により開発されたキムチです。
|
ムルギムチ
|
別名「水キムチ」と呼ばれる汁気の多い白いキムチで汁ごと食べます。唐辛子やニンニクを使わないで作るのでこのキムチは辛くありません。ムルギムチの汁は冷麺の汁には欠かせません。
|
|
キムチの作り方
|
本場韓国ではキムチは「キムチ壺(ハンアリ)」と呼ばれる壷で作られます。どの家にもキムチを保存する壷があり、通常は雨露が入らないように蓋付きの壷となっています。
通常のキムチのおおよその作り方は次のようになります。
白菜の塩漬け
|
白菜を一日ほど塩に漬け、水でよく洗い流して塩抜きします。
|
キムチ壷で本漬け
|
塩抜きした白菜に薬念をまぶしてキムチ壷に入れ本漬けします。
薬念としては、唐辛子、塩漬けされたアミエビ(韓国名ではアキアミ)、イカ、イシモチ、イワシなどの塩辛、更に牛肉や煮干、昆布などの出汁を合わせたものを使います。
リンゴや梨、栗、ナツメなどの果物を加えて味をまろやかにすることもあります。
|
発酵
|
本漬けし、4~6日すると、乳酸菌発酵が進んでキムチが完成します。
キムチの発酵の主役は乳酸菌発酵ですが、乳酸菌での発酵現象がピークに達すると、乳酸菌に代わって酢酸菌発酵が起こります。このため、キムチの味は時間の経過で酸味が強くなります。キムチの食べ頃には個人、あるいはその家庭での好みがでてきます。
キムチに限らず、一般の漬物では、時間が経過すると漬物が酸っぱくなるのは酢酸発酵が起こるからです。
|
|