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〔アレルギーの病気〕

アトピー性皮膚炎


 アトピー性皮膚炎 は、アレルギー体質(アトピー素因)を有している人の全身の皮膚のいたるところに、種々の刺激が加わって生じる、掻痒のある湿疹を主病変とする、慢性皮膚疾患です。

 「アトピー」とは、ギリシャ語の「atopos:アトポス(いたるところ)」に由来する言葉で、アトピー性皮膚炎の他にもアトピー型気管支喘息、アトピー性鼻炎などがあります。


 日本ではアトピーといえば、アトピー性皮膚炎を意味することが多くなっています。

 一般にアトピー性皮膚炎は、乳幼児期から始まり、学童期には自然治癒することが多い病気ですが、近年では成人まで持ち越す例も多くなり、発症し一旦よくなっても、また再発するような憎悪・寛解を繰り返す特徴があります。


 アトピー性皮膚炎の発症原因は、非常に複雑で明確には分かっていませんが、遺伝的因子(アトピー体質)の他にも種々の環境因子が関係しているとされます。

 影響する環境因子としては、食べ物、食品添加物、汗、カビ、ダニ、埃、動物の毛、細菌感染、大気汚染、気候、歯科金属など多数あります。


アトピー性皮膚炎はどんな病気ですか? ◆「アトピー性皮膚炎」とは、一体どんな病気なのかの説明です。
アトピー素因

 いろいろなアレルゲン物質などに対して過敏に反応し、アレルギー反応を起こし、喘息発作や蕁麻疹、湿疹ができたり、くしゃみや鼻水、目の痒みなどが起こる素因を「アトピー素因」と呼んでいます。

 アトピー素因をもつ人は、気管支喘息や小児喘息、花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹などのアレルギー性の疾患に罹りやすくなる人ということもできます。

 アトピー素因のある人は、多くの場合、先天的・遺伝的な要素が強いと考えられています。兄弟や親族にアトピー性皮膚炎や気管支喘息などの人がいる子どもでは、将来的にアトピー性皮膚炎になる可能性があります。

 一方で、後天的な精神的ストレスや生活環境、気候、過労、日光などによってアトピー性が生じることもあります。最近では、環境汚染、特に自動車の排気ガスを吸うと喘息が酷くなる子どもも多くいます。

アトピー性皮膚炎は
どんな病気ですか?

 アトピー素因を有し、特に全身の皮膚に湿疹を起こしやすいものが「アトピー性皮膚炎」や「蕁麻疹(じんましん)」です。

 アトピー性皮膚炎は、強い痒みをともなう発疹・湿疹が全身のいたるところに繰り返し出現する疾患で、発疹は、顔や首、肘や膝などのくぼみ部位などに出やすく、ひどくなると全身のいたるところに広がります。

 多くの場合、乳幼児、特に5歳以下の子どもに多くみられる特徴があり、年齢が大きくなると傾向的には減少します。

 アトピー素因をもちアトピー性皮膚炎になりやすい乳幼児は一般に皮膚が弱く、おむつかぶれが生じやすかったりします。また、大きくなってからも、化粧品や塗り薬、洗剤などでの接触性皮膚炎を起こしやすいともいわれます。


アトピー性皮膚炎はどんな症状ですか? ◆「アトピー性皮膚炎」の症状の説明です。
アトピー性皮膚炎のガイドライン

 日本におけるアトピー性皮膚炎の診断基準には、「厚生省心身障害研究基準」と「日本皮膚科学会基準」とがあり、厚生省心身障害研究基準の方は、小児を対象とした基準となっています。小児におけるアレルギー性皮膚炎はより重要であると考えられるので、このページでは、こちらの基準に基づいて話を進めます。

アトピー性皮膚炎の症状

 アトピー性皮膚炎の症状は年齢によって異なってきます。乳幼児期に症状がはじまり、学童期から成人期になるに従って症状が出なくなる傾向があります。ここでは、乳児期、幼児期・学童期、大人での典型的な症状を示します。

アトピー性皮膚炎の症状
乳児

 乳児のアトピー性皮膚炎の症状は、頭部に始まり次第に顔面に広がり、徐々に上半身や手足に広がります。特に、顔や手の届く部位により多く現れるようになります。痒みが強く皮膚が赤味を帯びて腫れぼったくなるのが普通で、手の届く部位の皮膚は、湿疹の掻きこわしにより汁が出てびらん状になり、ますます広がってしまいます。

 乳児の場合、痒がって不機嫌になったり、お風呂や布団で身体が暖まると、痒がって引っかき傷をつくります。

 乳児では、手の届く範囲は顔や上半身に限られているので、湿疹症状はその部位が多くなります。事実、おむつに覆われているところはきれいなことが多くなります。

 一方、乳児の頭には脂肪分を多く含んだガサガサ・ゴワゴワした炎症が生じることがあり、これを〔乳児脂漏性皮膚炎〕と区別して呼びます。

幼児期・学童期

 幼児期~学童期の子どもになると、乳児期に比べて症状が軽くなるのが普通です。しかし、肘や膝などの関節の内側などがガサガサになったり、汁が滲み出るような皮疹ができることがあります。

 腹部の毛穴が鳥肌のようになってザラザラした「梨の皮」症状を呈する症状が出ることもあります。また、「耳切れ」といって、耳たぶの付け根下部が赤く発色したり、切れて汁が滲み出すこともあります。

思春期・青年期

 多くの場合、アトピー性皮膚炎の症状は、乳児期に始まり、幼児期・学童期、思春期・青年期、成人となるに従って軽快するようになります。しかし、乳幼児期からのアトピー性皮膚炎が思春期以降になっても続くことや、青年期以降になってから始まる人もいます。

 思春期になっても、アトピー性皮膚炎が続く場合、顔や腹部、背中、首、手足などに痒みが残り、小豆~大豆大の結節性の痒疹がかなりの数できることがあります。

 思春期以降の湿疹は、広い範囲におよぶ乾燥性の慢性湿疹の症状となります。皮膚が鳥肌状でザラザラとなり徐々に象の皮膚のように厚くなります。

成人

 成人でのアトピー性皮膚炎は、乳幼児期から続いている人、乳幼児期に始まり青年期までに一旦消滅していたものがぶり返して発症するようになった人、および大人になってから始めて発症した人もいます。

 症状が乳幼児期から続いている人は、顔面が赤くなり、首や腕まわりに強い痒みのある赤い湿疹や、結節ができたりします。しこりがイボのような痒疹となるとなかなか治りません。皮膚はガサガサした感じになります。首の皮膚ではシワに沿って黒い色素沈着が現れることがあります。

 ちょっと特異な現象としては、「ヘルトゲ徴候」と呼ばれる、眉毛の外側が薄くなる症状も現れてくることがあります。

 その他のパターンで発症した成人に共通する症状は、四肢の伸側や背中、手の甲、おでこなどに湿疹ができ、痒みがみられます。


アレルギー性皮膚炎の重症度分類

 厚生省心身障害研究班が提唱している小児を対象にした「アトピー性皮膚炎の重症度分類」は次のようになっています。

アトピー性皮膚炎の重症度分類
軽症

 面積に関わらず、軽度の皮疹のみみられる。
(軽度の皮疹:軽度の紅斑、乾燥、落屑主体の病変)

中等症

 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%未満にみられる。

重症

 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の10%以上、30%未満にみられる。

最重症

 強い炎症を伴う皮疹が体表面積の30%以上にみられる。


アトピー性皮膚炎の合併症

 アトピー性皮膚炎は、複雑な免疫反応の結果として現れる症状ですが、皮膚の感染症をはじめとして、眼科的合併症、心的合併症など、いくつかの重要な合併症が知られています。

アトピー性皮膚炎の合併症
皮膚の感染症

 皮膚の感染症には、次のものなどがあります。

 ・とびひ(伝染性膿痂疹)
 ・みずいぼ(伝染性軟属腫)
 ・ヘルペス
 ・カポジー水痘様発疹症

皮膚の感染症
とびひ
(伝染性膿痂疹)

 膿痂疹は、黄色ブドウ球菌、化膿レンサ球菌により引き起こされる皮膚感染症で、かさぶたを伴うただれができ、どんどん広がります。黄色い液体の小水疱ができることもあります。

みずいぼ
(伝染性軟属腫)

 ウイルスによる充実性の柔らかいイボで、放置したり掻き壊すとどんどん増えます。プールなどで子どもから子どもへと移ります。

ヘルペス

 ヘルペスは口の周りに数個の水疱ができる病気です。

カポジー水痘様発疹症

 カポジー水痘様発疹症は、ヘルペスが顔全体に広がり、高熱を出す疾患です。


眼科的合併症

 眼科的合併症には、「白内障」や「網膜剥離」などがあります。

眼科的合併症
白内障

 顔にアトピー性皮膚炎の炎症がひどい人には、白内障がみられることがあります。

網膜剥離

 顔面の皮膚炎を掻き壊すような物理的刺激や圧力により網膜剥離が起こることがあります。


心の合併症

 アトピー性皮膚炎がひどい場合には、「不眠症」や「人間嫌い」などの心の合併症を伴うこともあります。

心の合併症
不眠症

 重症患者では、痒みのために不眠症になることがあります。

人間嫌い

 酷い皮膚症状のために、人間づきあいを敬遠する人がいます。




アトピー性皮膚炎の原因は何ですか? ◆「アトピー性皮膚炎」の原因や発症の仕組みの説明です。
アトピー性皮膚炎の原因

 アトピー性皮膚炎の原因は、基本的には何らかの理由でアレルギー反応が起こり、皮膚に炎症をもたらすわけですが、原因の本質的部分には「遺伝的要因」と「環境要因」とがあるとされています。

 遺伝的要因とは、簡単には「アレルギー体質」とか「アレルギー素因」などと呼ばれるもので、生まれながら持ち合わせている体質的なものを指します。また、環境要因とは、主にアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン・抗原)との接触や日常の生活習慣などを指しています。

遺伝的要因

 一般に、アトピー性皮膚炎になりやすい人は「アトピー素因」を持つ人、「アトピー体質」の人などといわれます。このような先天的な素因を持つ人がアレルギーの発症を招くような「アレルゲン(抗原)物質」と接触したり、摂取したり、あるいは「機械的刺激」に晒されると、皮膚炎を発症するのです。

 アレルギー体質の人は、自分自身でも他のアレルギー疾患の経験があったり、兄弟姉妹や家族内に同じような症状を持つ人が多くいるのが普通です。

 このような観点から、少なくとも、遺伝的に「アレルギーになりやすい体質」を継承しているものと考えられているのです。これは、そのような人は絶対にアレルギー性皮膚炎になるということではなく、特定のアレルゲンとの接触や、摂取によりアレルギーを起こしやすい体質だという意味になります。

環境要因

 アトピー性皮膚炎は、一種のアレルギー性体質の人が、原因物質となるアレルゲン(抗原)に接触したり、体内に摂取して発症します。皮膚炎発症のパターンは、蕁麻疹などのようにアレルゲンを摂取すると直ぐに症状が現れる「即時型アレルギー」と、摂取後かなりの時間が経過してから症状を現す「遅延型アレルギー」とがあります。

 また、近年の化学調味料をはじめ、化学薬品や化学肥料、自動車の排気ガス、化学衣料などに晒される機会の多い、先進国でより深刻な問題となっていることからも分かるように、環境変化も大きな誘引原因となっていると考えられます。

 これを証明する例として、発展途上国での患者数がこの数十年に増加傾向があるとの報告もあります。また、このような環境変化だけでなく、精神的なストレスが発症を招くことも多いことから精神的要因も無視できないものとなっています。

原因物質と悪化要因

 いわゆるアレルギーを起こしやすい全ての物質が、アトピー性皮膚炎を誘起する原因物質となりえます。また、そればかりでなく、アレルギー症状を悪化させる精神的要素や生活習慣もあります。

原因物質と悪化要因
ダニ・ハウスダスト類

 コナヒョウヒダニ・ヤケヒョウヒダニなどのダニや、ハウスダスト、小鳥の糞など。

食物類

 ソバ、小麦、卵白、大豆、ミルク、米、トウモロコシ、ゴマなどがアレルゲンとなることが多く、特に尿幼児~学童期に多くなります。

花粉類

 ブタクサ、ヨモギ、カモガヤ、ハルガヤ、アキノキリンソウ、ギョウギシバ、オオアワガエリ、アシなど。

真菌類

 カンジダ、ペニシリウム、クラドスポリウム、アスペルギルス、アルテリナリアなど空気中に浮遊しているカビや真菌類なども原因となります。

動物上皮類

 猫、犬など、ペット類の皮膚や糞、汗、毛などがアレルゲンとなります。

刺激性生活物資など

 毛糸のセーターなど刺激性のある衣類や髪の毛、皮膚に直接刺激を与える石鹸、シャンプー、香水など化粧品類、汗、よだれなどが悪化要因となります。

ストレス・生活習慣

 精神的ストレスや生活の乱れ、極端な偏食などが悪化要因となります。また、皮膚の掻き癖は危険で皮膚を掻くとそこから更にアレルゲンが侵入するために悪循環となります。

 入浴し清潔にすることは必要ですが、石鹸などの刺激物が長時間、身体に接触したり、身体を強くこすると悪化要因となります。



アトピー性皮膚炎の診断はどうなりますか? ◆「アトピー性皮膚炎」の検査方法や診断方法の説明です。
アトピー性皮膚炎の診断

 先に述べたように、日本におけるアトピー性皮膚炎の診断基準には、「厚生省心身障害研究基準」と「日本皮膚科学会基準」とがあります。アトピー性皮膚炎が特に乳児・幼児・学童に対して重要であることから、このページでは、「厚生省心身障害研究基準」を要約して紹介します。

 診断基準に従うことで、アトピー性皮膚炎の診断は、特別なアレルギー検査をしなくても行えます。

乳児

 乳児が、次の二つの症状の双方を満たし、下記の「別疾患の表」に示す皮膚疾患ではないとき、アトピー性皮膚炎と診断します。

 ・顔面皮膚または頭部皮膚を中心とした赤い発疹(紅斑)または盛り上がった発疹(丘疹)がある。耳切れが見られることが多い。

 ・患部皮膚に、ひっ掻き傷のあとがある。

幼児・学童

 幼児・学童が、次の五つの条件を満たし、下記の「別疾患の表」に示す皮膚疾患ではないとき、アトピー性皮膚炎と診断します。

 ・頸部皮膚またはわきの下、ひじや膝のくぼみの皮膚を中心とした赤い発疹、盛り上がった発疹、または皮膚がつまむと硬いなり、ザラザラしている。耳切れが見られることが多い。

 ・乾燥肌や米ぬか様の皮膚の粉状断片を伴う、毛穴が鳥肌状になった皮膚がある。

 ・患部皮膚に、引っかき傷のあとがある。

 ・皮膚に痒みがある。

 ・慢性(発症後6か月以上)の経過をとっている。

別疾患の表

 ここに挙げる症状や皮膚病がある場合には、アトピー性皮膚炎とは別の病気・疾患として区別されます。治療法も異なります。

別の病気として区別される疾患
おむつかぶれ あせも 伝染性膿痂疹(とびひ)
接触皮膚炎(かぶれ) 皮膚カンジダ症 乳児脂漏性皮膚炎
虫刺され 毛孔性苔 疥癬
尋常性魚鱗癬(さめはだ)


アトピー性皮膚炎治療はどうやりますか? ◆「アトピー性皮膚炎」の治療方法の説明です。
アトピー性皮膚炎の治療方針

 アトピー性皮膚炎の治療は、基本的には「薬物療法」となりますが、発症原因がアレルゲン(抗原)への接触や摂取だけに限らず、環境因子的なものも多分に関係しているので、アレルギー反応以外の要因を無くすことも重要です。

 このページでは、薬物療法を主体にご説明しますが、アトピー性皮膚炎の治療には、皮膚の手入れ(スキンケア)は欠かせませんし、ストレスの上手なコントロールや、バランスのよい食事、適度な運動なども必要です。

 薬物療法では、「外用薬」としての「ステロイド外用薬」や「非ステロイド外用薬」、「内服薬」としての「抗ヒスタミン薬」や「抗アレルギー薬」「サイトカイン阻害薬」「漢方薬」などがあります。

ステロイド外用薬

 ステロイド薬(副腎皮質ステロイドホルモン)の外用薬は、血管の拡張、浮腫(むくみ)などのほとんど全ての皮膚の炎症反応を抑制する効果があります。

 ステロイド薬には、アレルギー反応に対しての顕著な効果がある反面、長期に使用すると深刻な副作用が起こる危険性があるので、ステロイド薬の強度などはしっかり知っておく必要があります。

 ステロイド薬には「I群」~「V群」までの強度ランクがあります。「I群」が最強ランクで、「V群」がかなり弱いランクとなっています。「I群」の薬は足の裏などの皮膚の厚いところに使用します。顔面や陰部などには中間ランクのものを使用します。

ステロイド外用薬の副作用
全身的副作用

 「III群(強いランク)」に属する「吉草酸ベタメゾン軟膏」を毎日連続的に炎症のある皮膚に使用すると、顔が丸くなり、赤紫色の皮膚線条が生じる「満月症候群」や「クッシング症候群」などの副作用が現れます。プロピオン酸クロベタゾールなど、最強レベル「I群」のステロイド軟膏を使用すると、容易にこの副作用が出現します。

 ステロイド薬には、身長の伸びを抑制する作用があるので、長期にわたり幼児や学童に用いることは好ましくありません。このような全身性副作用を抑制するため、皮膚から吸収されるとすぐに弱いステロイドに変化する薬剤も開発されています。

皮膚局所副作用

 ステロイド薬にはいろいろな作用があるため、局所的な使用でも多くの副作用が現れる危険性があります。


皮膚局所の副作用
感染症

 ステロイド薬は炎症反応を抑制する作用が基本なので、感染に対しての抵抗力が減ることになります。このため、水虫、田虫、カンジダ症などのような感染症が悪化することが起こります。

ニキビ

 ステロイド薬を使用した顔面や背中、胸など部位にニキビができることがあります。

うぶ毛の硬化

 ステロイド薬には毛を太くする作用があり、こどもや女性のうぶ毛が太くなり硬化することがあります。

赤ら顔

 顔面に1~2か月、ステロイド薬を使用しつづけると、血管が拡張し赤ら顔になることがあります。この場合、薬品の塗布を中止しても数か月は症状が消えません。

皮膚の萎縮

 慢性湿疹や皮膚の掻痒症に長期的に外用薬を塗りつづけると、皮膚がびらん状になり剥けてしまう状態になります。

色素異常

 ステロイド薬の局所使用で、色素脱色して皮膚が白くなる現象が起こることがあります。


ステロイド薬の種類
ランク 薬の強さ 主な薬品名
I群 最も強い ・プロピオン酸クロベタゾール
・酢酸ジフロラゾン
II群 かなり強い ・プロピオン酸デキサメタゾン
・ジフルプレドナード
・ジプロピオン酸ベタメゾン
・プテソニド
・吉草酸ジフルコルトロン
・フルオシノニド
・アムノシニド
・ハルノシニド
・酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン
・フランカルボン酸モメタゾン
・酪酸プロピオン酸ベタメゾン
III群 強い ・吉草酸デキサメタゾン
・プロピオン酸デプロドン
・吉草酸ベタメゾン
・プロピオン酸ベクロメタゾン
・吉草酸酢酸プレドニゾロン
・フルオキシノロンアセトニド
IV群 弱い ・プロピオン酸アルクロメタゾン
・トリアムシノロンアセトニド
・ビバル酸フルメタゾン
・酪酸ヒドロコルチゾン
・酪酸クロベタゾン
・デキサメタゾン配合剤
V群 かなり弱い ・酢酸デキサメタゾン
・酢酸メチルプレドニゾロン
・メチルプレドニゾロン
・酢酸ヒドロコルチゾン

非ステロイド外用薬

 非ステロイド外用薬には、次の種類の医薬があります。

 ・免疫抑制剤
 ・非ステロイド消炎鎮痛薬
 ・保湿剤・単軟膏・基剤

免疫抑制剤
効果

 臓器移植などで移植された臓器が「非自己」であるとして「拒絶反応」を起こしてしまわないように、リンパ球の作用を抑制する薬に「タクロリムス」という免疫抑制剤があります。

 アトピー性皮膚炎も免疫反応としてリンパ球が重要な役割をしているので、炎症のある皮膚局所にこの免疫抑制剤を塗り、リンパ球の働きを抑制することで炎症反応を抑えます。

副作用

 免疫抑制剤もステロイド薬と同様に「皮膚感染症」が起こりやすくなります。また、皮膚にヒリヒリした刺激感が起こります。免疫抑制剤を全身的に大量使用すると、肺炎などの感染症を誘起して非常に危険です。

薬の種類

 現在、商品化されている免疫抑制剤は、「プロトピック軟膏」1種類だけです。


非ステロイド消炎鎮痛薬
効果

 非ステロイド消炎鎮痛薬は、炎症に関与する化学伝達物質の産生を抑制したり、作用をブロックすることで炎症を抑える薬です。炎症の抑制効果はステロイド薬ほど強力ではありません。

副作用

 ステロイド薬によるような副作用はほとんど起こりませんが、ときに潮紅・発赤・掻痒症状の悪化・刺激感じ・接触性皮膚炎を起こすことがあります。

薬の種類

 非ステロイド消炎鎮痛剤には、それぞれの商品に「軟膏」と「クリーム」とがあります。

非ステロイド消炎鎮痛剤の種類
薬剤名 商品名
イソプロフェンビコノール ・スタデルム
・ベシカム
スプロフェン ・トバルジック
・スルプロチン
・スレンダム
プフェキサマク ・アンダーム
・デムコ
・サリベドール
ベンダザック ・ジルダザック
・ジベンザック
・ジリオザック
ウフェナマート ・コンベック
・フェナゾール

保湿剤・単軟膏・基剤
効果

 主婦の手湿疹や老人性乾皮症などは、皮膚表面の水分が失われて皮膚の角層がスカスカになってしまった結果です。保湿剤・単軟膏・基剤などには、皮膚からの水分の蒸散を抑える保湿作用があります。

副作用

 特別な副作用はありませんが、ワセリンなどのように、ベタツキ感のある場合が多いです。

薬の種類

 薬の種類にはサリチル酸系など非常に多くのものがあります。

薬の種類
薬剤名 商品名
サリチル酸 ・サリチル酸ワセリン
ジメチルイソプロピルアズレン ・アズノール
尿素 ・ケラチナミン
・ウレパール
ビタミンA ・ザーネ
ヘパリン類似物質 ・ヒルドイド
・ヒウドイドソフト
酸化亜鉛 ・亜鉛化軟膏
・サトウザルベ

内服薬

 内服薬には、次の種類があります。

 ・抗ヒスタミン薬
 ・抗アレルギー薬
 ・サイトカイン阻害薬
 ・漢方薬

抗ヒスタミン薬
効果

 抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体に結合して、アレルギー反応で産生されるヒスタミンが後からきても結合できなくすることで生理作用を抑制します。

副作用

 人によって、眠気や倦怠感がでることがあります。この薬の副作用には個人差があって、何でもない人から1錠服用しただけで1日中クラクラしたり、眠気に襲われることもあります。

 アルコールとの同時服用で副作用が強く出ることもあります。また、緑内障や前立腺肥大のある人は服用を控えた方がよいです。抗ヒスタミン薬の中で妊婦が服用できるものは厳しく限られています。

薬の種類

 下記の表では、抗ヒスタミン薬の中で、抗コリン作用のあるものは「AC」と区分し、産生細胞からの生理活性物質の放出を抑制する薬剤には「R」を付けて区分しています。

抗ヒスタミン薬の種類
区分 薬剤名 商品名
AC 塩酸ジフェンヒドラジン ・レスタミン
AC テオクル酸ジフェニルヒドラジン ・プロコン
AC フマル酸クレマスチン ・タベジール
AC ベタメタゾン・α-マレイン酸クロルフェニラミン ・セレスタミン
AC α-マレイン酸クロルフェニラミン ・ボララミン
・レクリカ
(妊婦にも比較的安全)
R フマル酸ケトチフェン ・ザジテン
R 塩酸アゼラスチン ・アゼプチン
R オキサトミド ・セルテクト
R エバスチン ・エバステル

抗アレルギー薬1(産生細胞から生理活性物質を放出させない薬)
効果

 抗ヒスタミン作業を有しない抗アレルギー薬の一つに、生理活性物質が産生細胞から放出されないようにする作用のある薬があります。

副作用

 特別に強い副作用はありませんが、リザベンには、ときに膀胱炎様症状を起こすことがあります。

薬の種類

抗アレルギー薬1の種類
薬剤名 商品名
クロモグリク酸ナトリウム ・インタール
トラニラスト ・リザベン

抗アレルギー薬2(Th2サイトカイン阻害薬)
効果

 抗ヒスタミン作業を有しない抗アレルギー薬の一つに、Th2サイトカインを阻害する薬があります。

副作用

 特別な副作用はありません。

薬の種類

抗アレルギー薬2の種類
薬剤名 商品名
トシル酸スプラタスト ・アイピーディ

漢方薬・生薬
効果

 漢方薬や生薬と呼ばれる薬は、西洋医学による薬のように対症療法的に使用されるものではありません。健康保険で使用できる漢方薬がありますが、患者の体質との関係もあり、その効果は人により様々です。短期間使ってみて、効果があればしばらく継続は可能ですが、そうでないときは副作用もあるので使用しない方がよいです。

副作用

 患者の体質に漢方薬を使用し続けると、胃腸障害や間質性肺炎、血圧上昇などの副作用がでることがあります。

薬の種類

 とくにお奨めできるものはありません。特別に漢方薬を試したい場合は、主治医に相談されるのがよいでしょう。


ステロイド内服薬
効果

 副腎皮質ステロイド薬を服用すると、アトピー性皮膚炎の症状は劇的に治まります。しかし、ステロイド薬には深刻な副作用が伴うので、慎重に服用しなければなりません。どうしてもそれ以外の方法がない場合を除けば、この療法は決してお奨めできません。

副作用

 重篤な副作用として、顔が丸くなる「ムーンフェイス症候群(満月様顔貌症候群)」や胃が悪くなったり、骨が脆くなる症状が起こります。

薬の種類

ステロイド内服薬の種類
薬剤名 商品名
ブレドニゾロン ・ブレドニン
デキサメタゾン ・デカドロン
ペタメタゾン ・リンデロン