症状などからアレルギー性腸炎が疑われる場合には、問診と症状、便の検査などから、そのアレルギーが即時型か遅延型かあるいは混在型かを確認し、その上で「血液検査」により、アレルギー性腸炎であることの診断を確定します。
血液検査で、アレルギー性腸炎と診断された場合には、治療のために、原因となっているアレルゲン(抗原)が何であるかを確認するための、各種試験を行います。
これは、通常のアレルギーの検査と同様であり、次のような検査方法があります。また、症状により、内視鏡による十二指腸生検を行い、粘膜障害の程度などを確認します。
問診 |
乳児は、言葉が分かりませんので、母親などは、その子がどんな飲食物などを摂取したか、どのような症状が出たかなどを詳しく伝えることで、アレルギーの原因となっている物質のヒントが得られます。
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便の検査 |
乳児の便の中の出血の有無を調べ、アレルギーと関係の深い便中の好酸球数や好塩基球数、蛋白量などを測ります。好酸球数や好塩基球数の増加があれば、即時型アレルギー性腸炎であり、血便が見られたりたんぱく量が増加しているなら、遅延型アレルギー性腸炎と考えられます。
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血液検査 |
末梢血液を採取して、血液中の好酸球数や好塩基球数を測ります。また、原因と疑われるアレルゲン(抗原)に対する「特異的IgE抗体」の存在を調べます。また、想定される原因物質のリンパ球刺激試験が行われます。
リンパ球刺激試験は、抗原によって活性化されるTリンパ球が存在するかどうかを確認する検査です。遅延型のアレルギー反応の有無が判定できます。
アレルギー性腸炎が遅延型アレルギーの単独型であるときは、IgE抗体が出現しないので、診断のためにリンパ球刺激試験の結果は重要です。
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プリックテスト |
即時型アレルギー性腸炎の検査では、ブリックテストといって、皮内に疑われる抗原のアレルゲンエキスを注射して反応を見る検査が行われます。
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スクラッチテスト |
遅延型アレルギー性腸炎では、スクラッチテストといって、皮膚表面に疑われるアレルゲンエキスを塗り、一定時間後にアレルギー反応がでるか調べます。また、抗原侵入にリンパ球が集まってくるかを調べてアレルゲン(抗原)物質を確定します。
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負荷試験 |
ブリックテストやスクラッチテストで、アレルゲンが確定できないときには、原因物質と思われる飲食物を与えて、症状が発症するかどうかみる負荷試験を行うこともあります。症状が現れ、その飲食物を止めたら症状が沈静化するか確認する試験です。
この方法は、重篤な「アナフィラキシーショック」を引き起こす可能性があるので、特別な場合に限って、医師の管理下で入院して行います。既に抗原と分かった食物に対しては絶対に行いません。
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十二指腸生検 |
内視鏡で十二指腸の組織を採取し、細胞の状態を調べます。肥満細胞が侵されているなら即時型であり、繊毛や粘膜障害があるなら、遅延型と分かります。
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