基本の初診料
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初診料は、病院や診療所にはじめてかかるときに必要な診療費です。
初診料は基本点数が270点と決まっています。
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診療時間帯による 加算の種類
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既に述べたように、初診料の基本点数は270点と決まっていますが、診療が行われるタイミングによって、初診料の基本点数に加えて、時間外診療加算、深夜診療加算、休日診療加算などが加算されます。
何かの加算が行われる場合、これら3種類の診療加算が二つ以上同時に加算されることはありません。
また、これらの加算は、6歳以上~成人の場合と、6歳未満の乳幼児の場合で、加算点数(加算金額)が異なります。
時間外加算、深夜加算、休日加算は、保険医療機関が標榜し表示している診療時間帯以外で、既に診療応需体制を解除した後になって、急患などやむを得ない緊急的事情で診療を求められたときに算定される点数です。
逆にいえば、標準での時間外や深夜、休日の時間帯であっても、その保険医療機関が常態的に、あるいは臨時に、診療応需態勢を整えている場合には、これらの加算が算定されることはありません。
但し、時間外特例医療機関や小児科標榜医療機関(含小児外科)において、6歳未満の患者を診療する場合、時間外・深夜・休日の時間帯に診療応需態勢をとっていても、時間外加算・深夜加算・休日加算を算定することができます。
なお、時間外特例医療機関の時間外加算は別に定められていて、6歳以上は230点、6歳未満は345点が算定されます。
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時間外加算
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どの保健医療機関でも標榜する診療時間を定め表示しています。標榜する診療時間は、標準的には概ね次のようになっていますが、医療機関によって多少異なることもあります。
・平日の診療時間: 午前8時~午後6時
・土曜日の診療時間: 午前8時~正午
保険医療機関が表示する診療時間以外の時間帯の内、次の場合の時間帯については、【時間外診療加算(時間外加算)】と呼ばれる点数が加算されます。
次に示すような、保険医療機関が表示する診療時間以外の時間帯に初診、または再診を行った場合に、時間外加算が算定されます。
医療機関が初診料を算定する場合、患者が6歳以上であれば85点を加算します。また、6歳未満であれば200点を加算します。
平日(月~金)の時間外加算
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・午前6時~午前8時(診療開始前)
・午後6時(診療終了後)~午後10時
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土曜日の時間外加算
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・土曜日の午前6時~午前8時(診療開始前)
・土曜日の正午(診療終了後)~午後10時
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平日(月~金)および土曜日の休診日における時間外加算 |
・平日休診日の午前6時~午後10時
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ここで示すように、月曜日から金曜日までの平日、および土曜日に休診日がある場合は午前6時から午後10時までが時間外加算となります。
また、医療機関における昼休み時間帯での診療については、時間外加算の算定はできません。昼休みに診療しても、患者は時間外加算は請求されません。
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深夜加算
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すべての日について、午後10時から翌朝6時までの時間帯に初診・再診を行った場合、「深夜診療加算(深夜加算)」が算定されます。この時間のカウントの仕方として、午後10時丁度は深夜加算の対象となりますが、午前6時丁度は対象とはなりません。
初診料を算定する場合、6歳以上であれば480点を加算し、6歳未満であれば695点を加算します。
深夜加算は、患者の都合で深夜に診療が行われた場合に加算されますが、やむを得ない事情を除いて、保険医療機関の都合により深夜に初診を行った場合には深夜加算は算定されません。
夜間開業の保険医療機関で、表示された診療時間が午後10時から午前6時までの時間帯と重なっている場合、重なっていない時間帯の診療に限って深夜加算が算定されます。例えば、午後10時から午前0時までを診療時間と表示している医療機関では、午前0時から午前6時までの時間帯だけが深夜加算の対象となります。
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休日加算
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保険医療機関で、休日に診療した場合、休日診療加算(休日加算)が算定されます。
休日加算の対象となる休日は次のように定められています。
・日曜日
・国民の祝日
・振替休日
・12月29日・30日・31日、および1月2日・3日
初診料を算定する場合、6歳以上であれば休日加算として250点を算定し、6歳未満であれば365点を算定することができます。
休日であっても、午後10時から翌朝の午前6時までの間においては、休日加算ではなく、深夜加算を算定します。
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夜間・早朝等加算
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一週間当たりの診療時間が30時間以上である保険医療機関(診療所限定)が、次の時間帯に初診を行った場合は、夜間・早朝等加算が算定されます。
夜間・早朝等加算の対象となる時間帯は次のように定められています。(標準的な診療所の営業時間帯の場合を想定)
・平日の「午後6時~午後10時」、および「午前5時~午前6時」
・土曜日の「正午~午後10時」、および「午前5時~午前6時」
・休日または深夜で、当該保険医療機関が表示する診療時間内の時間
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6歳未満の場合の加算
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6歳未満の子供が初診を受けた場合、乳幼児加算が加算されます。更に、時間外の場合には次のような加算が行われます。
6歳未満の乳幼児の場合には、6歳以上の場合に対して、基本初診料への乳幼児加算だけでなく、時間外加算、休日加算、深夜加算の点数も大幅にアップします。
区分
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加算理由
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+加算点数
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初診料点数
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備考
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6歳以上
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基本点数 |
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270点 |
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時間外加算 |
+85点 |
355点 |
270+85=355 |
休日加算 |
+250点 |
520点 |
270+250=520 |
深夜加算 |
+480点 |
750点 |
270+480=750 |
6歳未満
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基本点数 |
--- |
270点 |
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乳幼児加算 |
+75点 |
345点 |
270+75=345 |
時間外加算 |
+200点 |
545点 |
270+75+200=545 |
休日加算 |
+365点 |
709点 |
270+75+365=709 |
深夜加算 |
+695点 |
1039点 |
270+75+695=1039 |
上記の表の中で、時間外とは月曜~金曜は午後6時以後から翌日の午前8時前まで、土曜は正午から午前8時前までです。休日とは日曜、祝日と12月29日から1月3日です。深夜とは午後10時から翌日の午前6時までを指しています。
一例として、4歳のお子さんがはじめて病院で治療を受けたときを想定してみましょう。もしも、休日の深夜に急に具合が悪くなって病院で治療を受けると初診料は次のように計算されます。
この場合、休日での診療ですが、深夜での受診なので深夜加算が算定されます。
加算項目
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+加算点数
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金 額
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備 考
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基本初診料
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270 |
2700円 |
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乳幼児加算
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+75点 |
+750円 |
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深夜加算
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+695点 |
+6950円 |
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合計
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1037点 |
10370円 |
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この点数・金額を見ると恐ろしいほど高いことになりますので、急病の場合は仕方ないですが、そうでなければ、なるべく平日の時間内に受診することが節約になります。
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初診料の注意点
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初診料について二つほど注意点があります。
新たな病気や怪我
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現在すでに何かの傷病で診療継続中に、新たに発生した他の病気や怪我の治療のために初診を行った場合、その新たに発生した傷病についての初診料は払う必要がありません。
ただし、同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、新たに別の診療科を初診として受診した場合は、2つ目の診療科に限り135点を算定されます。
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自分で診療中止した場合
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患者が自分の意思で診療を中止し、ひと月以上経過した後になって、再び同一の保険医療機関で診療を受ける場合には、たとえその診療が同一の傷病、同一の症状であっても、その診療は初診料を払う必要があります。
この場合の、ひと月は暦月で計算します。例えば、7月23日~8月22日、3月18~4月17日などと計算します。
また、1月30日や1月31日から起算する場合には、2月末日(28日、閏年には29日)となります。
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各種加算の説明図
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最初に受診する時間帯などによって、標準の初診料に加えて、時間外加算、深夜加算、休日加算などが算定されますが、これらの関係は複雑で分かりにくいので、理解しやすくするための説明図を作りましたので、参考にしてください。
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・平日における時間外加算・深夜加算
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・土曜日における時間外加算・深夜加算
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・休日における休日加算・深夜加算
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・平日・土曜日における時間外加算・深夜加算
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