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栄養成分

〔キチン・キトサン〕


 キチンは、エビ、カニ、オキアミなどの甲殻類の外殻や昆虫類、貝類、イカなどの外皮、茸類に含まれている多糖類で、多くの生物に含まれる生物資源・天然素材です。

 普通の溶媒では溶けず、そのまま食べても消化吸収されないので、ほとんど利用されることのない動物性の食物繊維です。

 キチンは化学的には、「N-アセチル-β-D-グルコサミン」という物質が多数結合してできたムコ多糖体と呼ばれる物質です。


 一方、キトサンは、キチンをアルカリ処理して、アセチル基を除去してできる物質で、酸溶液に溶けるようになります。この主な成分は「D-グルコサミン」ですが、通常はアルカリ処理で100%がこれに変換されることはなく、D-グルコサミンの割合は、70~95%程度にとどまります。

 このようにキチンとキトサンの間には、明確な境界はなく、通常、脱アセチル化が70%以上あればキトサンと呼びます。逆にキチンにもある程度のD-グルコサミンが含まれています。

 キチンとキトサンを区別しても特別に意味もないので、これらを総称して「キチン・キトサン」、あるいは「キチン質」と呼んでいます。

 キチン・キトサンは、免疫の活性を高めとの報告があります。また、食塩の過剰摂取による高血圧を予防する効果もあるとされています。


原産地・歴史 ◆〔キチン・キトサン〕の原産地や由来・歴史は、どんなですか?
キチンとは

 エビやカニ、オキアミなどの甲殻類や、昆虫類、貝類などの殻、カビやキノコ類などの真菌類の細胞壁は、硬いキチンと呼ばれる物質でできていて、外界から身を守る防壁の役目を果たしています。

 キチンは化学的には、「N-アセチル-β-D-グルコサミン」という物質が多数結合してできたムコ多糖体と呼ばれる物質です。炭素、酸素、水素からできている一般的な多糖類であるでん粉やセルロースなどとは異なり、キチンは更に窒素を含んでいます。この窒素はアミノ基として多糖類の構造に組み込まれています。

 キチンは、酸に溶けることはなく、生物が体内に取り込んでも消化吸収されません。

キトサンとは

 キチンは化学的には「N-アセチル-β-D-グルコサミン」という物質ですが、これを濃いアルカリで処理すると、アセチル基の部分が除去されてうすい酸の水溶液に溶ける物質、キトサンに変化します。


主な栄養成分 ◆〔キチン・キトサン〕の主な栄養成分は何ですか?
キチン・キトサンの構造

 既に述べたようにキチンは、「N-アセチル-β-D-グルコサミン」という物質が多数結合してできたムコ多糖体と呼ばれる物質で、特徴として窒素を含有しています。キチンは酸に溶解することがありません。

 一方、キトサンの主要成分は「D-グルコサミン」で、希塩酸や希酢酸などの希薄な酸に溶解します。


主な効果・効用 ◆〔キチン・キトサン〕の主な効果・効用は何ですか?
キチン・キトサンの効果・効用

 キチン・キトサンの主な効用は、免疫機能の活性化と体内老廃物の排泄促進、コレステロールの吸収抑制、腐敗抑制効果、高血圧予防効果などです。

キチン・キトサンの効用
免疫機能の活性化  免疫活性を亢進し、がん抑制効果があるとの説もありますが、定かではありません。

体内老廃物の排泄促進  キチン・キトサンを食べても、人間はこれらを消化する酵素を持っていません。消化管内で食物繊維として作用し、大部分はそのまま糞便中に排泄されます。これにより、野菜や穀類、豆類などに含まれるセルロースやヘミセルロース、ペクチンなどの食物繊維と同様な作用をすることになり、慢性便秘の改善に効果が期待されます。

コレステロール吸収抑制  食物繊維の働きとして、食事中に摂取したコレステロールの吸収を抑制する作用があります。脂肪やコレステロールの吸収を促進する胆汁酸を吸着し、脂肪やコレステロールの吸収を阻害し、これらの血中濃度を低下させるとされ、肥満防止に効果が期待されます。

高血圧予防効果  食塩の過剰摂取で高血圧のリスクが高まりますが、キチン・キトサンはこのような高血圧を予防する効果をもちます。

その他の効用  キチン・キトサンには腐敗抑制の効果があり、漬物に少量添加し雑菌の増殖を抑制できます。また、キチンは火傷などを早くきれいに治す効果もあるとされ、創傷被覆剤としての商品もあります。

 食品工業分野では、工場排水中のたんぱく質やその他の固形成分を吸着・凝集して水を精製する目的に使われます。更に、化粧品の溶剤成分や医療用の人工皮膚、あるいは家畜用飼料の添加物などにも利用されています。



用法・用量 ◆〔キチン・キトサン〕の用法・用量はどうなりますか?
キチン・キトサンの用法・用量

 キトサンを用いた特定保険用品が多数市販されています。特定保健用食品(トクホ)としてのキトサンの許可表示は「コレステロールの体内への吸収をしにくくする食品」という風になっています。

 キトサンの食物繊維としての特性を利用したコレステロールの吸収抑制効果を期待し、血中コレステロールを低下させることを目的としたものです。

 用法・用量については、それぞれの特定保険用品の説明書に従って用いてください。

 これらの健康食品は、摂取してすぐ効果がでるようなものではなく、長期間摂取を継続することで動脈硬化などの生活習慣病のリスクを軽減できる可能性が増します。しかし、決して、治療を目的としたものではありません。


副作用・留意点 ◆〔キチン・キトサン〕の副作用や留意点はありますか?
キチン・キトサンの副作用

 キトサンを1日2g程度までの摂取では、健康に問題は起こりません。多量摂取した場合、一部の栄養素の吸収が阻害されたり便秘になったりすることがあります。


特定保健用食品 ◆〔キチン・キトサン〕の特定保健用食品はありますか。 ▼
市販の特定保健用食品

 キチン・キトサンの特定保健用食品(トクホ)は、エランセ、ファンケル、日本化薬フードテクノ、東洋新薬、紀文食品、日清食品などから販売されています。

 これらの食品を使用する場合には、上記のようなこともよく理解した上で、販売会社の説明書などもよく読むことが重要です。(当サイトではこれらの食品の直接的な販売にはかかわっていません。)

キチン・キトサン特定保健用食品の例
エランセ ・コレキトサン
ファンケル ・コレステッキ
日本化薬フードテクノ ・ヘルケット
東洋新薬 ・りょくこう青汁キトサンイン
紀文食品 ・健康支援食品 キトサン入りマリーン
日清食品 ・日清おいしさプラス キトサンヌードル しょうゆ味
・日清おいしさプラス キトサンヌードル たんめん