〔グルカン〕

　一般にブドウ糖（グルコース）のみが多数結合した多糖類をグルカンと呼びます。グルカンは、その化学構造からαグルカンとβグルカンとに分類されています。また、食品化学では「食物繊維」として扱われています。βグルカンは、米国 Tulane医科大学のニコラス・ディルツィオ博士らの研究陣が発見した物質です。

　αグルカンには、植物の炭酸同化作用（光合成作用）で生成されるでん粉やデキストリン、ポリデキストロースと、動物がブドウ糖から筋肉や心筋に蓄積したグリコーゲンとがあります。

　βグルカンには、グルコースがβ1－3型の結合で繋がる多糖と、β1－4型、β1－6型の結合で繋がるものとがあります。

　β1－4型グルカンはその由来に関係なく、常に「セルロース」と呼ばれます。

　β1－3型グルカンについては、炭素配列の右回転方向を表す記号「D」を付けて、「β1－3－D－グルカン」とか「β1,3Dグルカン」などとも呼ばれます。

　また、β1－3型グルカン（βグルカン）については、その由来する物質により様々な名称で呼ばれます。海藻やキノコ由来の「ラミナラン」、真性細菌由来の「カードラン」および高等植物由来の「カロース」などです。これらの物質はいずれも、植物や真菌、細菌などの細胞壁の材料となっている物質です。

　βグルカンには、その生成由来物質によって「ラミナラン」「カードラン」「カロース」および「セルロース」などいくつかの種類があります。

　ラミナランは海藻やキノコに由来するβグルカンであり、カードランは真性細菌由来です。また、カロースは高等植物由来であり、セルロースは木に由来します。

　健康食品として利用されるβグルカンの豊富な原料物質は、アガリクスや 霊芝 、舞茸、椎茸、冬虫夏草、鹿角霊芝、ハナビラタケのようなキノコなどです。

　これらは、人間の免疫力を高め、抵抗力を強くする働きがあるために、 多くのサプリメントに使用されています。

　通常、βグルカンと呼ぶときは、β1－3型グルカンを指しています。このβグルカンについては強い免疫賦活作用や制がん作用があり、近年、特に注目されている物質です。

　米国などでは、免疫調整の材料として、イースト菌・パン酵母やビール酵母の細胞壁からβ1－3グルカンを抽出して研究されています。パン酵母のイーストグルカンには抗腫瘍活性があります。

　グルカンなどの多糖体物質は免疫をつかさどる細胞であるマクロファージ、T細胞、Ｂ細胞、キラー細胞などを活性化し、制がん作用を有するインターフェロンなどを産生するとされています。

　βグルカンは、主にサルノコシカケ科、シメジ科、ハラタケ科などのような、担子菌類が存在する物質で、抗腫瘍作用を有しています。マイタケから抽出されたグルカンには抗がん作用の他、抗エイズ作用もあることが日本薬理学会で報告されています。

　医薬品の制がん剤であるカワラタケの培養菌糸体から生産されるクレスチンはグルカンタンパク複合体です。また、ヒメマツタケから抽出されたグルカンたんぱく複合体にも制がん作用が認められています。

　βグルカンは健康食品ですが、医薬品ではありませんので、特別な用法や用量は定められていません。基本的には安全な食品ですが、一種の食物繊維ですから、次のような方にお勧めできます。

　・便秘を治し、お腹をスッキリさせたい人。
　・日々の健康を維持したい人。
　・体調バランスを正しく維持したい人。
　・美容を心がけたい人。
　・お酒をよく飲む人。
　・年齢かなと思い始めた人。

　グルカンを含有する健康食品は基本的に食品ですから、むやみに過剰摂取しなければ副作用はありません。

　サプリメントとして販売されるものについては、他の健康食品要素も含有していることもありますので、商品の説明書に従ってください。

　グルカンの市販健康食品・サプリメントは、グリーンケミー・インターナショナル、美と健康スタイル、これこれ倶楽部、サントリーなどから販売されています。これらのご利用に関しては、販売会社のご説明だけでなく、上記の内容もよく理解して下さるとよいと思われます。