〔アボカド〕

　アボカドの原産地はメキシコや中央アメリカ・中南米の熱帯、亜熱帯地方です。アボカドの樹木は、樹高25ｍほどにもなる高木です。低音には弱く熱い地域で生育し、濃い緑色の果実を実らせます。

　アボカドは、中南米スペイン語圏では「アワカテ」「アグアカテ」「ワカモレ」「グアカモレ」および「パルタ」などと呼ばれています。また、昭和40年代までの日本では「ワニナシ」とも呼ばれていました。

　アボカドの主な栄養成分は、ビタミンE、ビタミンB2、カリウムです。アボカド1個（約100ｇ）当りの栄養成分は、ビタミンE 3.4ｍｇ、ビタミンB2 0.21ｇ、カリウム 720ｍｇ です。

　アボカドに豊富に含まれる脂質は、オレイン酸などの不飽和脂肪酸であり、血中コレステロールを増加させる心配がなく、動脈硬化を予防し、血液をサラサラにする効果があります。

　ビタミンB1・B2は、脂肪の燃焼を促進して代謝をスムーズにし、疲労回復や肥満予防に効果があります。食物繊維も豊富なので腸の働きを活発にし、便秘予防となります。鉄分も多いので日常的に食べれば貧血予防にもなります。

　豊富なビタミンEには強い抗酸化力があり、脂質の酸化を抑制し、血管や細胞の老化を予防します。成人男子での一日当たりのビタミンE適正摂取量の10ｍｇをアボカド1個半ほどで摂取できます。

　カリウムには、余分な塩分（ナトリウム）を排出して血圧を正常に保つ働きがあります。ビタミンCも含まれていて、コラーゲンの生成を助けます。

　アボカドはカロリーの高い果物ですので、食べ過ぎると肥満になる可能性があります。

　アボカドの果実や種、葉にはペルシンという成分があり、インコやオウムなどの小鳥やモルモット、ウサギ、ハムスターなどの小動物、およびウマ、ウシ、ヤギ、イヌ、ネコなどの動物に与えると中毒症状を起こし、痙攣や呼吸困難となります。

　通常、アボカドは収穫後に常温で放置して追熟させます。日本で販売されるアボカドは完熟していないものが多く、固くて苦味がありますが、追熟させると美味しくなります。熟してくると果皮色が黒っぽくなり、表皮を軽く押して少し柔らかさを感じるときが食べ頃です。

　アボカドは切るとすぐに実が黒ずんでしまいますが、レモン汁をかけると変色を防げ、同時にビタミンCの抗酸化作用も加わります。

　アボカドの果実は生食が美味しく、サラダやタコス、サンドイッチ、ハンバーガーなどに用いられます。

　また、レモン、カボス、マヨネーズ、メープルシロップなどをかけて食べたり、醤油をつけて食べても美味しいです。

　マグロのトロに似た舌触りや風味があり、カリフォルニアロールなど巻き寿司にすれば最高に美味しく食べられます。