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〔Q熱〕 |
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〔Q熱〕は、〔人畜共通感染症〕のひとつで、1935年にオーストラリアの屠畜場従業員の間で流行した原因不明の熱性疾患として発見されました。 |
この病気は人畜共通の感染症のひとつで、レジオネラ目コクシエラ科コクシエラ属の細菌による感染症です。 病原体は、日本でもウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの動物体内に存在しています。 このコクシエラ菌は、感染動物の糞や尿、乳汁などで排泄され環境を汚染します。 ヒトは主に家畜やペットなどの感染動物の糞尿から汚染された環境中の粉塵などを経口吸入して感染します。 感染すると20日ほどの潜伏期の後、次のようなで発症します。
・悪寒 |
発熱は38~40度Cにおよび弛張性で2週間程度持続し、筋肉痛、食欲不振、全身倦怠などの症状も現れます。 |
Q熱は、レジオネラ目コクシエラ科コクシエラ属の細菌であるコクシエラ菌による感染症です。 最近までは、この病原菌はリケッチアの一種と考えられてきたが、現在では一般細菌のひとつに分類されています。 Q熱は人畜共通の感染症であり、ヒトへは、感染動物の体液、感染動物との接触、感染動物からの糞尿などの排泄物に汚染された粉塵の吸入などにより感染します。 感染すると、1~4週間の潜伏期間の後に、次のの形で発症します。
・悪寒 |
Q熱に感染しても、約50%の人は不顕性感染となり特別な症状を呈しませんが、残りの50%の人は、1~4週間の潜伏期を経て、次のような様々なインフルエンザ様の症状で発症します。
・悪寒
38~40度Cの高い発熱があり、2週間程度続きます。 |
既に述べたようにQ熱の発症原因は、コクシエラ菌による感染症です。 コクシエラ菌は、小桿菌状で多形性の形状を示し、大きさは球菌の1/2から1/4あります。 胞子様構造を持つ小型細胞と母細胞の大型細胞からなりともに感染性があります。 大型細胞は浸透圧に対し弱いが小型細胞は強く、熱、乾燥、消毒薬などに極めて強い抵抗性を示します。 コクシエラ菌は、ダニや野生動物を宿主として感染環を形成し、広く節足動物に感染します。 基本の感染環は、 「ダニ」→「野生動物・鳥類」→「ダニ」
であり、野生動物・鳥類などから家畜やペットに感染し、そこからヒトへの感染が起こります。 |
Q熱の診断は、発熱や肺炎、肝炎などQ熱を疑う所見がある場合に必要となりますが、確定診断は、血液を採取し、病原体を分離して血清学的診断により行います。 病原体の分離は、治療前血液をマウスやラット、モルモットなどになどに接種して行います。 |
急性Q熱の治療は、薬物療法で行いますが、第一選択薬は、テトラサイクリン系抗菌薬またはニューキノロン系抗生剤を投与します。 多くの場合、2~3日ほどで解熱します。長期化した場合には、リファンビシンなどを併用し治療します。 コクシエラ菌は、症状回復後も長期にわたって網内系細胞内に生き残り宿主から完全消失させるのは容易ではありません。 このため、Q熱の再燃や慢性化を防止するため、症状がなくなった後も、テトラサイクリン系抗菌薬を3~4週間は継続して投与します。 オーストラリアなどの海外諸国では、ヒトと動物用のQ熱ワクチンが開発され、職業上など理由でQ熱への感染リスクの高い人たちに使用されています。 日本では、Q熱は、感染症法における4類感染症に指定されていて、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る義務があります。 |