流行性耳下腺炎(Mumps)の潜伏期間は、通常2~3週間で、平均的には18日前後です。ムンプスウイルスの感染力は比較的弱く、感染しても何も症状が出ない不顕性感染となる場合が30~40%あります。
症状がでる場合には、感染し2~3週間の潜伏期を経て、38~39度Cくらいの発熱で発症します。唾液腺・耳下腺の腫れ、顔面の疼痛・圧痛、頭痛、咽頭痛、嚥下痛を伴います。耳下腺は大抵の場合、左右両側とも腫れますが、片側だけのこともあります。
顔面の腫れは発症後2日目に最もひどくなり、3~4日すると徐々に消失していき、その頃には熱も下がってきます。症状は基本的には軽症のことが多く、発症後1~2週間で軽快します。
耳下腺の腫れ |
耳たぶから耳の前の顎の線に沿って、耳下腺が腫れます。人によっては片側だけしか腫れないこともありますが、通常は片側から始まり、1~2日すると両側が腫れてきます。
腫れは痛みがありますが、特に赤くなることはなく、2~3日目にピークとなり、1~2週間でゆっくり消失します。
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唾液腺の腫れ |
約50%の人では、顎下腺や顎の下、顎と首の間にある舌下腺などの唾液腺が腫れます。耳下腺の腫れ同様、痛みを伴います。
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発熱 |
約80%の人では38~39度C程度の発熱があります。発熱は中程度であり発熱期間も通常は1~3日ほどですが、合併症があると3~5日続くこともあります。発熱に伴い頭痛や腹痛が起こることもあります。
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食欲低下 |
耳下腺が腫れて痛いため、食べ物が飲み込みにくい嚥下障害の症状が出て食欲不振になることがあります。
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合併症 |
最も多い合併症は、髄膜炎です。その他、思春期以降の男性の約20~30%では、睾丸炎、精巣炎、陰嚢腫脹などの症状が出るとされ、7%の女性では卵巣炎を合併するといわれます。
その他、極めて稀な合併症として、2万人に1例程度に難聴の合併が起こるとされます。
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