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〔四類感染症〕

 感染症は、寄生虫、細菌、真菌、ウイルス、異常プリオンなどの病原体が体内に侵入し、増殖して、一定の病的症状を発症した状態のことをいいます。

 〔四類感染症〕の患者を診察した医師は、最寄りの保健所長を経由して知事に届け出が必要です。

 このページは、四類感染症に関するナビゲートページです。下記に四類感染症の各病気に関して概説していますので、病名をクリックして下されば直ちに詳細ページに移動できます。


こんな病気があります ◆〔四類感染症〕には、こんな病気があります。
E型肝炎

 〔E型肝炎〕は、ウイルス性肝炎のひとつで、E型肝炎ウイルス(HEV)との接触により感染する人畜共通感染症です。

 〔E型肝炎〕は、感染すると急性肝炎、ときには劇症肝炎として発症しますが、慢性化することはないウイルス性肝炎です。多くの場合の感染経路は、汚染された飲料水などを介しての経口感染であり、大規模な流行を起こすこともあります。

 顕在的な急性肝炎では、黄疸が出たり食欲不振、悪心、腹痛、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、発熱などの症状がでます。これらの症状が褐色尿を伴いながら急激に出現し2週間ほど続いた後、発症から1か月後には自然完治します。

ウエストナイル熱

 〔ウエストナイル熱〕は、〔西ナイル熱〕とも呼ばれる感染症で、病原体はフラビウイルス科フラビウイルス属に属するウイルスです。鳥類と蚊に感染環があり、鳥から吸血した蚊により感染します。

 通常2~6日ほどの潜伏期間後、インフルエンザ様症状で始まり、39度C以上の突然の発熱をともないながら、頭痛、咽頭通、背部痛、筋肉痛、関節痛、疲労感、発疹、リンパ腺症などの症状が現れます。

 通常は、症状は1週間以内で軽快しますが、その後倦怠感が残ることあります。

A型肝炎

 〔A型肝炎〕は、A型肝炎ウイルスによる感染症で、主に、A型肝炎ウイルスに汚染された野菜や魚介類などを生で食べた場合に感染します。

 A型肝炎ウイルスは、消化管から吸収されると、肝臓へと到達し増殖します。潜伏期間が1か月ほどで、ウイルスに対する免疫が働き始め、肝細胞もろとも攻撃することで、A型肝炎特有の症状が出現します。

 風邪のような初期症状で38度C以上の発熱を伴いながら急激に発症します。下痢、腹痛、吐き気、嘔吐、黄疸、全身倦怠感などの症状が起こります。A型肝炎は、慢性化することは少なく、ほとんどの場合、一定期間の症状が出て自然治癒します。

エキノコックス症

 〔エキノコックス症〕は、エキノコックスという寄生虫による感染症で、〔エキノコックス炎〕や〔包虫症〕とも呼ばれます。キタキツネや犬などの小腸に寄生し卵が糞便とともに排泄されます。その糞便に直接触ったり、糞便に汚染された山菜や水などから経口感染します。

 人間がエキノコックスの卵を経口摂取すると、卵は体内で幼虫となり、主に肝臓に寄生します。肝臓などに寄生しても自覚症状がでるまでには数年~十数年もかかるので、放置すると非常に大きな虫に成長します。

 エキノコックス症に感染すると、98%の患者では肝臓に病巣が形成されます。感染初期には無症状ですが、次第に肝臓腫大を起こすと右上腹部の痛みが現れます。また、胆管を閉塞することで黄疸を呈し、激しい皮膚の痒みや腹水をもたらすこともあります。

黄熱

 〔黄熱〕は、〔黄熱病〕や〔黒吐病〕とも呼ばれる感染症で、病原体はフラビウイルス属の黄熱ウイルスで、ウイルスの宿主はヒトとサルです。黄熱病は、ネッタイシマカなどによって媒介され、脊椎動物ではヒトとサルが感染します。

 〔黄熱〕の潜伏期間は3~6日ですが、症状として、軽症で済む「軽症黄熱」と、重症化する「重症黄熱」とがあります。

 軽症黄熱は、突然の発熱、頭痛、背部痛、虚脱、悪心、嘔吐、結膜充血、蛋白尿で発症します。多くは、発病後3~4日で後遺症を残すこともなく軽快します。重症黄熱では、緩解後わずか数時間~2日後に再燃し、発熱、腎障害、肝障害、鼻血や歯茎からの出血、黒色嘔吐、下血、子宮出血、黄疸などの症状が現れ、死に至ることもあります。

オウム病

 〔オウム病〕は、オウム病クラミジアの感染によって生じる人獣共通の感染症で、〔クラミジア病〕や〔ミヤガワネラ病〕とも呼ばれます。

 〔オウム病〕の自然宿主は鳥類であり、オウム病のヒトへの感染は、鳥類の排泄物や、ウイルスに汚染された羽毛、糞便の塵埃を直接吸入することで起こります。飼い鳥からの感染や鳥類以外の小動物からの感染もあります。

 〔オウム病〕の潜伏期間は、病原体との接触後1~2週間で、38度C以上の急激な発熱と咳や粘液性の喀痰を伴うインフルエンザ様の症状で発症します。全身症状として、全身倦怠感、食欲不振、筋肉痛、関節痛、頭痛、除脈、肝腫大、脾臓腫大などを伴います。また、緑色の便が出るようになります。

オムスク出血熱

 〔オムスク出血熱〕は、フラビウイルス科のオムスク出血熱ウイルスによる感染症で、自然界ではマダニとげっ歯類の間で感染環が維持されている病気です。

 げっ歯類などの尿や血液による接触感染もありますが、人間への感染は、主にマダニの刺咬による感染です。稀にはヒトからヒトへの感染もあるとされます。

 〔オムスク出血熱〕は、3~9日の潜伏期間後、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、咳、除脈、脱水症状、低血圧、消化器症状を呈して発症します。患者の30~50%では、二相性の発熱を示し、第二相では髄膜炎や腎機能障害、肺炎などの症状を呈します。

回帰熱

 〔回帰熱〕は、スピロヘータの一種ボレリアを病原体とする感染症で、病原体はネズミやリスなどのげっ歯類小動物や鳥類などを保菌動物とし、野生のヒメダニや、シラミによって媒介されます。

 この病気は、発熱期と無熱期とを数回繰り返す特徴があります。

 〔回帰熱〕の潜伏期は4~18日で、発症すると、高熱を出して数日にわたって種々の症状を呈する「発熱期」を迎えます。その後、突然、解熱し「無熱期」を迎えます。7~10日すると再度「発熱期」をぶり返し、数日でまた解熱します。

キャサヌル森林病

 〔キャサヌル森林病〕は、フラビウイルス科フラビウイルス属のキャサヌル森林病ウイルスによる感染症で、自然界のマダニとげっ歯類を主とする脊椎動物の間で感染環が維持されていてマダニの刺咬によってヒトへも感染します。

 〔キャサヌル森林病〕の潜伏期間は3~12日で、突然の発熱や頭痛、筋肉痛、咳、除脈、脱水症状、低血圧、消化器症状、出血などで発症します。約40%には出血性肺水腫が出現し、腎不全に至ることもあります。寛解しても1~3週間後になって再度発熱し、髄膜炎や脳炎を起こすことがあります。

Q熱

 〔Q熱〕は4類感染症指定疾患で、レジオネラ目コクシエラ科コクシエラ属の細菌による人畜共通の感染症です。このQ熱の病原体は、日本でもウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの動物体内に存在しています。

 このコクシエラ菌は、感染動物の糞や尿、乳汁などで排泄され環境を汚染します。ヒトは主に家畜やペットなどの感染動物の糞尿から汚染された環境中の粉塵などを経口吸入して感染します。

 〔Q熱〕は人畜共通の感染症で感染すると20日ほどの潜伏期の後、悪寒、戦慄を伴う急激な発熱や頭痛、眼球後部痛で発症する。38~40度Cの発熱が2週間程度持続し、筋肉痛、食欲不振、全身倦怠などの症状も現れます。

狂犬病

 〔狂犬病〕は、ラブドウイルス科リッサウイルス属の狂犬病ウイルスを病原体とする人獣共通感染症で、人間をはじめすべての哺乳類に感染します。

 〔狂犬病〕は水や風の音などによる感覚器の刺激で痙攣などを起こす症状が出るため、恐水病、恐水症などとも呼ばれます。

 日本では咬傷事故を起こした動物は狂犬病感染の有無を確認する為、捕獲後2週間の係留観察が義務付けられていて、係留観察中の動物が発症した場合には処分されます。

コクシジオイデス症

 〔コクシジオイデス症〕は、四類感染症指定の疾患で、真菌による感染症で強い病原性を呈する病気です。メキシコ周辺の風土病で、土壌中のコクシジオイデス真菌の分節型分生子が土壌と共に飛散し、これを吸入することで肺に感染します。

 感染した人のうち約0.5%が全身感染へと進みます。この病原体を扱う検査従事者や実験者に2次感染の危険性が多くなります。

サル痘

 〔サル痘〕は、四類感染症の疾患で、サル痘ウイルスを病原体とする人獣共通感染症です。サル痘の自然宿主は、アフリカの熱帯雨林に住むリス属やネズミなどのげっ歯類です。感染動物との接触で感染します。

 人間でのサル痘の潜伏期間は7~21日(平均12日)で、発症すると発疹、発熱、発汗、頭痛、悪寒、咽頭通、リンパ節腫脹などの症状が現れます。

 その後、感染した局所を主体に発痘し、水泡、膿疱がみられ、やがてかさぶた(痂皮)へと進行します。重症例では、全身に発痘して臨床的には天然痘との区別はできなくなります。

腎症候性出血熱

 〔腎症候性出血熱〕は、ハンタウイルス属のハンタウイルスによる人獣共通感染症で、ウイルスの自然宿主はネズミ類などのげっ歯類です。齧歯類の糞尿中に排泄されるウイルスが気道経由で吸気されたり、げっ歯類に咬まれてヒトへも感染します。

 〔腎症候性出血熱〕の潜伏期間は10~30日です。発熱、頭痛、悪寒、脱力、めまい、背部痛、腹痛、嘔吐、腎不全などの症状で発症します。また、発熱とともに、顔面紅潮、点状出血、結膜充血などの皮下の出血傾向、および臓器における出血症状が起こります。

西部ウマ脳炎

 〔西部ウマ脳炎〕は、西部ウマ脳炎ウイルスによる感染症です。ヒトへは、主に感染しているイエカによる刺咬で感染します。西部ウマ脳炎に対する特異的な治療法はなく、対症療法のみで対処します。

 〔西部ウマ脳炎〕の潜伏期間は、5~10日であり、発熱を伴いながらインフルエンザ様の頭痛などの症状が起こり、情緒不安、振戦、易興奮性、項部硬直、羞明の症状が現れます。

 乳幼児や高齢者が感染し重症化した場合には、患者の5~15%は死に至ります。生存しても、生存者の5~6割の患者では、脳障害などの後遺症が残ります。

ダニ媒介脳炎

 〔ダニ媒介脳炎〕は、四類感染症の疾患で、ダニ媒介性フラビウイルス・ダニ媒介性脳炎群ウイルスの感染で発症する病気です。ヒトや家畜、大中の野生哺乳類には、成ダニや若ダニが吸血する際に感染し、その一部が発症します。

 大きくはロシア春夏脳炎と中央ヨーロッパダニ媒介性脳炎とがあります。ロシア春夏脳炎は重症型で、中央ヨーロッパ型は軽症型です。

炭疽

 〔炭疽〕は〔炭疽症〕とも呼ばれ、元々はヒツジやヤギなどの家畜や野生動物に炭疽菌が感染して起こる病気ですが、ヒトにも感染する人獣共通感染症です。

 ヒトへは感染動物との接触、感染動物の毛皮との接触、芽胞の吸い込み、加熱不十分な汚染肉の摂取などから感染しますが、ヒトからヒトへの感染はありません。

 〔炭疽〕によるヒトの病型には、〔皮膚炭疽〕〔腸炭疽〕〔肺炭疽〕〔髄膜炭疽〕がありますが、自然感染の95%は〔皮膚炭疽〕です。どの病型の〔炭疽〕も治療は非常に困難で、極めて高い致死率となります。

 〔皮膚炭疽〕では、炭疽菌が手や首、顔などの皮膚にできた傷から侵入し、1~7日の潜伏期間後、虫刺され様の掻痒性または無痛性の丘疹ができて発症します。初期には病変周辺に水疱ができ、丘疹は崩壊し潰瘍となり次第に黒色のかさぶた様になり、高熱がでます。

チクングニヤ熱

 〔チクングニヤ熱〕は、チクングニヤウイルスの感染により引き起こされる感染症で、通常は非致死性の発疹性熱性の伝染病で〔チクングニア熱〕とも呼ばれます。

 病原体のチクングニヤウイルスは、ネッタイシマカやヒトスジシマカなどのヤブカ属の蚊によって媒介されます。

 〔チクングニヤ熱〕の潜伏期間は、4~7日です。潜伏期を経過しても不顕性で終わる可能性が高いとされています。〔チクングニヤ熱〕が発症すると発熱、関節炎、発疹などの症状が出ます。発症すると39度C以上の発熱と斑状丘疹が現れ、関節が激しく痛みます。発熱と関節痛は必発ですが、発疹がでるのは8割ほどの患者だけです。

つつが虫病

 〔つつが虫病〕は、ダニの一種であるツツガムシリケッチアの感染による人獣共通感染症です。

 ツツガムシは、卵から孵化した直後の幼虫だけが、ネズミやヒトなどの温血動物の皮膚に吸着して組織液や崩壊組織などを摂取します。吸着を受けた温血動物はこの吸着時にツツガムシリケッチアに感染します。多くの場合、患者は汚染地域の草むらなどで有毒ダニの幼虫に吸着されて感染します。

 ダニの吸着後5~14日して、初期にはインフルエンザ様の症状で発症します。39度C以上の高熱がでて、2日目頃からは体幹部~全身に2~5mmほどの丘疹状の紅斑出現し、倦怠感、頭痛、刺し口周辺のリンパ節の腫脹、筋肉痛や目の充血を伴うこともあります。紅斑は発症後5日ほどで消退します。

デング熱

 〔デング熱〕は、フラビウイルス属のデング熱ウイルスによる感染症で〔デンゲ熱〕とも呼ばれます。

 〔デング熱〕は、ウイルスを保有しているネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に吸血されて感染します。媒介するヒトスジシマカは日中に活動し、夜間は刺しません。

 〔デング熱〕の潜伏期間は4~7日で、38~40度Cの突然の発熱で発症し、激しい頭痛、眼窩痛、筋肉痛、関節痛などの症状を伴いながら5~7日間持続します。食欲不振や腹痛、便秘などの症状を伴うこともあります。

東部ウマ脳炎

 〔東部ウマ脳炎〕は、トガウイルス科アルファウイルス属に属する東部ウマ脳炎ウイルスによる感染症です。

 EEEウイルスは、鳥類と蚊の間で感染環を維持していて、湿地や沼地の中で伝染します。鳥への媒介蚊は主にハポシカ属の蚊ですが、キンイロヤブカも関係します。ヒトへは、主にヤブカの刺咬により感染し脳炎を起こします。

 3~10日の潜伏期間後、高熱、悪寒、倦怠感、筋肉痛などを生じるが、1~2週間で回復します。しかし、時には脳炎や髄膜炎を発症して異常な精神状態や神経症状を発現し、昏睡、死に至ることもあります。

鳥インフルエンザ

 ヒトに感染する〔インフルエンザ〕には、A型、B型、C型があり、A型とB型が大きな流行を起こします。A型には144種類もの亜型があり、H1N1(Aソ連型)やH3N2(A香港型)などは、かつて世界で大流行しました。

 B型、C型はヒトだけに感染しますが、A型は多くの動物に感染します。鳥インフルエンザは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起こる鳥類の感染症です。

 鳥インフルエンザウイルスは、野生のアヒルやカモなどの水禽類を自然宿主とし、若鶏での高い比率で感染しています。水禽類の腸管で増殖し糞を媒介として感染します。

 このウイルスがニワトリやウズラ、七面鳥などの家禽類に感染すると、非常に高い病原性を示し、しばしば世界の養鶏産業でニワトリの集団死が発生させています。これは「高病原性鳥インフルエンザ」として区別されています。

ニパウイルス感染症

 〔ニパウイルス感染症〕は、パラミクソウイルス科へニパウイルス属のニパウイルスによる新興の人獣共通感染症です。

 ニパウイルスの自然宿主は、ヘンドラウイルス同様にコウモリであると推測され、コウモリからブタを介してヒトに飛沫感染するものとされています。ブタを介してヒトや犬、猫などに感染するので、発生地域では養豚農家での発生が多くみられます。

 ヒトに感染すると、急激な高熱、目眩、頭痛、咽頭痛、嘔吐などのインフルエンザ様の脳炎症状を呈しますが、この病気にだけ特異的な症状ではありません。多くの場合に昏睡状態に陥って死に至ります。回復した場合でも10~20%程度の患者に運動障害の後遺症が残る予後不良の病気です。

日本紅斑熱

 〔日本紅斑熱〕は、〔東洋紅斑熱〕とも呼ばれる感染症で、病原体は日本特有のリケッチアのひとつ「リケッチア・ジャポニカ(日本紅斑熱リケッチア)」です。

 病原体のリケッチア・ジャポニカは、代々経卵伝搬によりダニ類の体内で受け継がれ維持されています。自然界の営みの中でヒトが偶発的に山野に入るなどでこのリケッチアを保有するマダニに刺されて感染します。

 〔日本紅斑熱〕の潜伏期間は2~10日で、39度C前後の急激な発熱、頭痛、悪寒、戦慄を伴いながら発症します。全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などの症状が現れ、痒みのない小さな紅斑・虹色の斑丘疹が手足、手掌、顔面に多数出現し、徐々に全身に広がります。また、マダニの刺し口がかさぶた状に残ります。

日本脳炎

 〔日本脳炎〕は、フラビウイルス科フラビウイルス属の日本脳炎ウイルスによる感染症で、脳や脊髄などの中枢神経にダメージを与える病気です。

 日本脳炎ウイルスは、ブタやウマ、サギ類などの動物の体内で増殖し血液中にでてきます。ブタなどの増殖動物の体内で一旦増殖し血液中に出てきた後、コガタアカイエカなどの蚊が吸血し、ヒトを刺すことによって感染します。日本脳炎のヒトからヒトへの感染は起こりません。

 6~16日間の潜伏期間の後に、数日間の38~40度C以上の高熱、頭痛、悪心、嘔吐、目眩などの症状で発症します。更に、急激に項部硬直や、光過敏症、意識障害、神経系脳障害を示唆する症状を呈します。神経系脳障害は、筋強直、脳神経症状、不随意運動、振戦、主に上肢の麻痺、病的反射、脊髄障害、球麻痺症状などです。

ハンタウイルス肺症候群

 〔ハンタウイルス肺症候群〕は、ハンタウイルスによる人獣共通感染症です。

 ハンタウイルスの自然宿主はネズミ、特にシカシロアシマウスなどのげっ歯類であり、げっ歯類の排泄物が拡散しハンタウイルスが空気中を浮遊して人体に吸入されて感染します。

 約2週間の潜伏期間後、風邪に似た症状で発症し、38~40度Cの発熱と咳、悪寒、筋肉痛、吐き気、嘔吐、下痢、倦怠などの症状が1~4日間ほど続きます。その後、急速に、頻呼吸、頻脈、下背部疼痛、肺の両側性間質性の浸潤による進行性の呼吸困難、酸素不飽和状態を呈するようになります。

Bウイルス病

 〔Bウイルス病〕は、Bウイルスによるウイルス感染症で、四類感染症に指定された病気です。Bウイルスは、ニホンザルなどアジア産マカカ属のサル類を自然宿主とし存在し、サルに咬まれるなどで人間に感染すると、致命的な疾患を引き起こします。

 潜伏期間は、通常は2~5週間とされ、咬まれた後、局所でウイルスが増殖し、咬傷部位の水泡、疼痛や所属リンパ節腫大がみられ、発熱、筋肉痛などのインフルエンザ様症状を呈します。

 その後、症状が進行すると、頭痛や吐き気、嘔吐、意識障害、嚥下困難などを来たし、最終的には運動麻痺、痙攣、呼吸困難から昏睡状態に陥ります。最終的には呼吸困難で死に至ります。

鼻疽

 〔鼻疽〕は、鼻疽菌による人獣共通感染症です。

 〔鼻疽〕は主にウマやロバ、ラバなどの奇蹄類の病気ですが、犬、猫、ヒツジ、ヤギなどにも感染します。感染動物の鼻汁や潰瘍部、膿、粘膜などとの接触によって、ヒトにも感染し、強い毒性を示します。

 〔鼻疽〕の潜伏期間は1~5日とされ、感染経路によって皮膚の局所的病変、肺炎、敗血症、あるいはこれらの複合した症状が出現します。発症すると最初は頭痛や発熱、筋肉痛などの非特異的症状がでますが、徐々に全身感染症状を起こします。

ブルセラ症

 〔ブルセラ症〕は、ブルセラ属の細菌に感染して起こる人獣共通感染症で〔マルタ熱〕とも呼ばれます。細菌の吸い込みや細菌に汚染されたミルクやチーズなどを摂取して感染します。

 〔ブルセラ症〕の感染期間は通常1~3週間で、ヒトに感染するとあらゆる臓器に感染し、全身症状を呈します。ブルセラ症に特異的な症状はなく、発熱、発汗、頭痛、背部痛、脱力感、疲労、体力消耗、体重減少、うつ状態など、他の熱性疾患と同様な全身症状が現れてきます。

 多くの場合に症状は軽症で自然治癒しますが、ときに重症化するがあり、脳炎や髄膜炎などの中枢神経の炎症や心内膜炎、骨髄炎を起こします。

ベネズエラウマ脳炎

 〔ベネズエラウマ脳炎〕は、トガウイルス科アルファウイルス属に属するベネズエラウマ脳炎ウイルスによる感染症です。

 自然界では、げっ歯類とイエカの間で感染環が維持されていて、ウマとヒトが終末宿主となります。ヒトへへは、ベネズエラウマ脳炎に感染している蚊の刺咬により感染します。

 〔ベネズエラウマ脳炎〕の潜伏期間は1~6日です。ヒトが感染した場合、激しい頭痛、悪寒、発熱、筋肉痛、悪心、嘔吐、眼窩痛などインフルエンザ様の症状が現れます。脳炎による中枢神経病変を生じると、項部硬直、痙攣、昏睡、麻痺などの脳炎症状が現れます。

ヘンドラウイルス感染症

 〔ヘンドラウイルス感染症〕は、パラミクソウイルス科ヘニパウイルス属のヘンドラウイルスの感染による人獣共通感染症で、ヒトやウマに感染します。

 ヘンドラウイルスの自然宿主は、オオコウモリで、ウマへの感染経路は不明ですが、ヒトへはヘンドラウイルスに感染したウマの体液や排泄物との直接接触により感染します。

 2週間ほどの潜伏期間後、ヒトが発症すると発熱や筋肉痛などインフルエンザ様の呼吸器症状などの症状を呈します。

発しんチフス

 〔発しんチフス〕は、細胞内でのみ増殖する細菌の一種である、発疹チフスリケッチアによる感染症で、患者の血液を吸血したコロモシラミによって媒介されます。

 〔発しんチフス〕の潜伏期間は6~15日で、39~40度C前後に急上昇する発熱を伴いながら突然発症します。発症すると、発熱、頭痛、悪寒、脱力感、吐き気、嘔吐、手足の疼痛を伴います。

ボツリヌス症

 〔ボツリヌス症〕は、ボツリヌス菌が作り出す神経毒素であるボツリヌス毒素により、引き起こされる感染症です。

 〔ボツリヌス症〕は、ボツリヌス毒をを含有する食物を食べて起こります。腸管外科手術後や大量の抗生物質服用後で、腸内細菌が著しく減少している場合は発症しやすくなるとされます。

 〔ボツリヌス症〕の感染期間は、数時間~48時間で、全身の横紋筋および平滑筋の弛緩性麻痺を起こし、身体各器官に多くの症状を引き起こします。消化管・泌尿器障害  通常は腸管の蠕動障害による便秘、吐き気、嘔吐、腹痛、嚥下困難、排尿障害、口の渇き、発汗障害、下痢などの症状が見られます。

マラリア

 〔マラリア〕は四類感染症に指定された疾患で、マラリア原虫による感染症です。ハマダラカが媒介します。

 三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリア、熱帯熱マラリアの4種類があり、マラリアの種類に対応して、激しい熱発作が一定時間ごとに繰り返し襲ってきます。

野兎病

 〔野兎病〕は、野兎病菌による人獣共通感染症で、野兎病菌に感染したノウサギ(野兎)やプレーリードッグ、野生げっ歯類などに感染します。

 ヒトには、これらの動物に直接接触したり、肉や血液に接触することで感染します。また、ノミやダニ、蚊などを媒介して経皮的に感染したり、飲食物を介して経口的、経気道的に感染することもあります。

 〔野兎病〕の感染期間は1~14日で、38~40度C発熱、悪寒、頭痛、気分不快、背部痛など全身の痛み、鼻かぜ、咽頭炎、咳、胸痛などの症状で突然発症し、治療しないと症状は何週間も続きます。

ライム病

 〔ライム病・ライムボレリア症〕は、ボレリア菌による人獣共通感染症です。

 ボレリア菌の保菌動物は、ノネズミやシカ、野鳥などに寄生するマダニです。野生動物では感染しても発症しませんが、ヒトや犬、馬、牛などにマダニが長時間吸着していると感染します。

 発症初期には、マダニ刺咬部を中心とした遊走性紅斑と呼ばれる、限局性の環状紅斑、または均一性紅斑が現れます。インフルエンザ様の筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などの症状を伴います。その後、病原菌が身体全体に拡散し、皮膚症状や神経症状、心疾患、眼症状、関節炎、筋肉炎など多彩な症状が出現します。

リッサウイルス感染症

 〔リッサウイルス感染症〕は、ラブドウイルス科リッサウイルス属のウイルスによる感染症です。このウイルスは狂犬病と同種のウイルスで、野生のコウモリの唾液中などに存在し、コウモリに咬まれたりして感染します。

 リッサウイルスの潜伏期間は、咬まれた部位により20~90日間となります。咬まれた部位が脳に近いほど潜伏期間は短く、脳から遠ければ長くなります。

 症状は、発熱、頭痛、全身倦怠感、創傷を受けた四肢部位の疼痛や掻痒感、咽頭痛、知覚過敏などの初期症状に続いて、興奮性の亢進、嚥下困難症状、発声困難、筋痙縮が現れて、恐水症状や精神撹乱などの中枢神経症状が見られるようになります。

リフトバレー熱

 〔リフトバレー熱〕は、リフトバレー熱ウイルスによるの感染による人獣共通感染症で、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ヒトなどに感染します。

 ヒトへは、リフトバレー熱ウイルスに感染している動物から吸血した蚊に刺咬されてウイルスが体内に侵入したり、感染動物の血液や組織を摂取するなどで感染します。

 〔リフトバレー熱〕の潜伏期間は、通常2~6日であり、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、背部痛などのインフルエンザ様の症状で発症します。患者によっては頚部硬直や羞明、嘔吐の症状を伴うことがあります。これらの症状は通常、4~7日間持続します。

類鼻疽

 〔類鼻疽〕は、類鼻疽菌により感染する人獣共通感染症です。

 類鼻疽菌は、牛、水牛、鹿、馬、羊、山羊、豚、猪、猿、げっ歯類などに、汚染された土壌や水から、経気道的、あるいは経口的に感染します。類鼻疽菌のヒトへの主な侵入感染経路は、皮膚の傷や経気道感染、汚染された食肉の経口感染などです。

 〔類鼻疽〕の潜伏期間は、通常10~14日間で、発症する場合には、皮膚に急性化膿性結節や膿瘍ができ、リンパ管炎やリンパ節腫脹を伴いながら、発熱、倦怠感を示します。その後、急速に敗血症へと進行します。

レジオネラ症

 〔レジオネラ症〕は、土の中や河川、湖沼などの自然界に広く生息しているレジオネラ属菌という細菌による細菌感染症で、レジオネラ肺炎とポンティアック熱とがあります。

 自然界に生息しているレジオネラ属菌に汚染された水滴などを気道から吸入して感染しますが、人間から人間への感染はありません。

 〔レジオネラ肺炎〕は、初期症状として全身性倦怠感、頭痛、食欲不振、筋肉痛、下痢などが現れ、乾いた咳がでます。2~3日すると、赤褐色の膿性の痰がでて、高熱、悪寒、胸痛、呼吸困難が見られるようになります。ポンティアック熱は、突然の発熱、悪寒、筋肉痛で始まりますが、一過性であり、数日で自然に軽快し治癒します。

レプトスピラ症

 〔レプトスピラ症〕は、病原性レプトスピラによる人獣共通感染症です。

 レプトスピラ菌は、スロヘータ目レプトスピラ科レプトスピラ属の菌です。げっ歯類のネズミなどの多くの野性動物や家畜を自然宿主として、イヌ、ウシ、ブタ、ヒトなどに感染します。

 〔レプトスピラ症〕の潜伏期間は、3~14日間であり、39度C前後の突然の高熱、悪寒、戦慄、筋肉痛、眼球結膜の充血など風邪のような症状で発症します。経過は、そのまま治癒してしまう軽症型から、重篤な重症型になるものまであります。

ロッキー山紅斑熱

 〔ロッキー山紅斑熱〕は、ロッキー山紅斑熱リケッチアによる感染症で、斑点熱・ダニ熱・ダニチフスなどとも呼ばれます。

 この病気に感染している哺乳類から吸血したマダニがリケッチアに感染し、雌のマダニはリケッチアを子孫にも感染させます。げっ歯類、鳥類、ウサギ、羊、犬などとカクマダニ、チマダニなどの間で感染環が維持されています。

 ヒトには、ロッキー山紅斑熱に感染したマダニなどに刺咬されて感染しますが、マダニの活動期である春から夏にかけて多く発生します。ヒトからヒトへの直接的な感染は起こりません。

 3~12日間の潜伏期間の後、突然、激しい頭痛、悪寒、極度の疲労感、虚脱感、筋肉痛などの症状で発症します。発症すると数日以内で高熱がでて、から咳が出続けたりします。この症状は重い場合には1~2週間続きます。