エイズ発症の段階
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エイズに感染した場合の症状は、三つの段階をもって現れます。
・急性感染期
・無症状期
・発病期
エイズに感染すると、最初は風邪やインフルエンザに近い急性症状が現れることもありますが、多くの感染者では特別な症状はありません。その後、5~10年の間、特別の症状がない無症状期があり、やがて発病します。エイズは発病すると、極めて難治性で、適切な治療なしでは予後は3~5年しかありません。
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急性感染期
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HIVウイルスに感染すると、1~2週間ほどで、全身倦怠や発熱があり、発疹、口腔カンジダなどを生じるなど、風邪やインフルエンザと似た症状が現れることがあります。しかし、このような症状は普段でもよくあるものなので、単なる風邪や口内炎、蕁麻疹などとして見過ごされることが多く、気づかない人もいます。また、このような特別な症状が何も出ない人もいます。
エイズへの感染機会があった1~2週間後に、これらの症状があったからといってエイズに感染したとはいえません。単なる風邪でも同じような症状がでるからです。この段階で感染したかどうかは、血液検査をしない限り判断できません。
一般に感染後数日間、血液中のHIVウイルス濃度が非常に高くなりますが、数週間程度でこのウイルスに対抗するHIV抗体が産生されるようになり、ウイルス濃度は激減します。
通常のHIV感染検査では、この産生されるHIV抗体の有無を検査するため、感染直後の検査では十分な抗体が測定できず、検査結果が見かけ上の陰性となることもあるので注意が必要です。エイズに感染すると、特別な症状が何もなかったとしても、通常6~8週間後までに、血液中にHIV抗体が検出されるようになり、その時点でHIV抗体の検査をすれば、感染の有無は明確に分かるようになります。
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無症状期
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感染機会があってから1~2週間ほどで急性症状が消滅し、感染者は無症状期に入ります。無症状期の感染者は自覚症状などもなく、外見からは何も分からないまま、無症候性キャリアとして他の人に感染させる可能性を持つ期間になります。
この無症状期は早くて数か月、通常は数年~10年ほど続き、その間は感染者は見た目には健康そのものに見えます。
しかし、この無症状期の身体内では、HIVウイルスが盛んに増殖を繰り返し続け、免疫担当細胞である「CD4陽性T細胞」がそれに見合うだけ産生されます。CD4はヘルパーT細胞の触覚のような働きをしているのですが、このCD4とHIVウイルスがピッタリ嵌まり込む鍵穴構造を持っているため、CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)にHIVが感染してしまいます。
CD4ウイルスに対抗しようとして産生されるCD4陽性T細胞が、逆にウイルスに感染されてしまう結果、HIVウイルスはこの細胞を破壊し続け、一種の動的な平衡状態となり、この間は血液中ウイルス濃度が低く抑えられた状態になります。しかし、無症状期を通じてCD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)は徐々に減少してしまいます。
ヘルパーT細胞は、細胞性免疫の重要な司令塔の役割をしているので、このT細胞の数がウイルスにより減少したり、働きがにぶくなってくると、やがて免疫不全の状態になっていきます。
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発病期
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長ければ数年~10年の無症状期を経て、次第に免疫力は低下し、やがて一連のエイズ関連症候群と呼ばれる、全身倦怠感、疲れやすい状態、体重減少、発熱、下痢、眩暈(めまい)、寝汗、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れるようになり、エイズが発病します。
また、この時期になると、顔面から全身にかけての脂漏性皮膚炎なども現れはじめ、更に病状が進行すると、ニューモシスチス肺炎(旧 カリニ肺炎)や食道カンジダ症などの、日和見感染症やカポジ肉腫などの悪性腫瘍があらわれて、はっきりとエイズと診断されるようになります。
HIV感染細胞が中枢神経系組織へ浸潤し、脳の神経細胞が冒されると、エイズ脳症と呼ばれる状態になり、精神障害や痴呆、記憶喪失を引き起こすことがあります。最終的に亜、発病期にいたったエイズ患者の多くは、多くの症状を伴った後に死に至ります。
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