現在、日本で栽培されている大根には10種類ほどの有名品種があります。現在では、青首大根が圧倒的に普及しています。青首大根以外の大根は、主に特定の地域だけで出回っていて総称して「地大根」と呼ばれます。ここでは、それらの名称などをご説明します。
青首大根
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青首大根は、正式には「耐病総太り」という品種の大根で、宮重系大根の改良型大根です。青首大根は、日本で栽培される大根の95%を占める圧倒的に栽培量の多い大根です。病気にも強く、一年中収穫できます。
この大根は、大根の上部が地上に出て緑色になる特徴があり、水分が多く、辛味が弱い。甘味が強く、料理する上で煮崩れしにくいことで消費者からも好まれています。上から下まで同じ太さなのも人気の理由です。
また、生産者の立場では、上部が地上にでているため、引き抜くのが容易で栽培しやすい特徴があります。地下に伸びる大根では引き抜くのに40kgもの力が必要ですが、青首大根では10kgの力で引き抜けます。
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白首大根
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白首大根は、大根が地下に伸びて成長する大根です。上部が地上に出ないので大根は白く育ちます。引き抜くのに力が必要なので青首大根のように多くは栽培されませんが、現在でもたくあん用としては白首が多く使われていいます。
白首大根は、品種てきには、古くから知られている美濃早生(みのわせ)であり、練馬大根、三浦大根、大蔵大根などの品種はすべて白首大根の仲間です。
練馬大根
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練馬大根は、東京都練馬区特産品の白首大根です。現在では練馬区では少数の農家で栽培されているだけです。昭和20年代までは、大根の代名詞的存在でしたが、現在では青首大根に駆逐されつつあります。
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現在の主な生産地は、神奈川県、群馬県、千葉県などで、主にたくわん用に使われます。
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三浦大根
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三浦大根は、練馬大根が改良された大根で、練馬大根より中央部がやや膨らんだ形をしています。かつては三浦半島の特産品でしたが、最近では青首大根に転換されつつあります。
辛味が強いので、大根おろしには最適です。正月の大根ナマスは三浦大根に限るという人がいて、少しずつ人気が復活しています。
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大蔵大根
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大蔵大根は、江戸時代に現在の東京都世田谷大蔵で源内という農家で作っていた大根が、昭和に入って品種改良された大根です。
肉質が緻密で煮物や漬物に使われますが、青首大根が主流となった現在では、ほぼ姿を消しました。
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桜島大根
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桜島だいこんは、鹿児島県桜島の火山灰土で生育する世界最大の丸型大根で、直径が35cmにも達します。カブ形の大根で重量は15kgくらいです。中には30kgを超えるものもあります。
甘くて柔らかい大根です。この大根の粕漬けが薩摩漬けです。
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聖護院大根
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聖護院(しょうごいん)大根は、京都府聖護院発祥の伝統的な京野菜のひとつです。直径15cmくらいの球形の大根で重さは2kg前後になります。最近では、京都南部の淀付近で盛んに栽培され、ここでは淀大根と呼ばれています。
きめ細かな肉質で柔らかくて甘味が強く、煮崩れしないのでふろふき大根や煮物に使われます。
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守口大根
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守口大根は、発祥は大阪府守口の大根で、世界最長の大根として有名です。長さは1m以上、ときに2mにもなります。直径は2.5~3cm前後になります。
現在の特産地は岐阜県の長良川河畔です。固く辛味が強い大根で、粕漬けにした守口漬けは愛知の名産となっています。
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亀戸大根
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亀戸大根は、種を蒔いてから40日前後で収穫できる四十日大根の一種で、形状は人参に似ています。浅漬けにするとおいしいとされています。
1900年頃は東京都亀戸で盛んに栽培されていましたが、現在は東京都葛飾で3軒の農家が栽培しているだけです。
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辛味大根
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辛味大根は、京都の伝統野菜のひとつで、京都府北区鷹ヶ峰(たかがみね)で、元禄時代から栽培されている大根です。直径3~5cmの真ん丸い形をしていてカブに見えるような大根です。現在では、栽培農家は2軒だけになっています。
水分がとても少なめな大根で、大根おろしにしてもサラサラしています。独特の辛さがあり、しかも蕎麦つゆが薄まらないため、蕎麦の薬味にぴったりの大根です。
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源助大根
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源助大根は、金沢の伝統野菜に認定されている大根です。太くて短い形をしていています。美味しい大根ですが、日持ちが悪く、表面に傷がつくと2~3日で茶色く変色してしまいます。
きめ細かく、肉質もやわらかく、甘味も強い大根であり、しかも煮崩れしない特徴がありおでんや浅漬けに向いています。源助大根は、金沢の冬の名物「大根寿司」に使われます。
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青皮紅心
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青皮紅心(あおかわこうしん)は、丸い形状をした大根で、外皮は白く青首をしていますが、内部は、虹色をした大根です。
水分が多く、甘味に富んでいます。中国では「心里美(しんりび)」と呼ばれ、果実のように食べられています。料理の飾りなどにも使われます。
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ラディッシュ
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ラディッシュは、原産はヨーロッパで、明治時代に日本に伝播した大根で、二十日大根とも呼ばれています。大きさは親指の先ほどの楕円形で外皮が赤く、内部の肉は白い大根です。
ラディッシュは大根の中でも最も小型の大根で、主として肥大した根、茎、胚軸が食用に供されます。
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葉大根
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葉大根は、葉を利用するの主目的の大根をいいます。普通の大根の若い葉が利用されますが、専用品種も栽培されています。
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貝割れ大根
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発芽直後の胚軸と子葉は、双葉の形が二枚貝が開いたように見えることから、貝割れ大根と呼ばれ、スプラウト(もやし)食材として利用されます。
貝割れ大根は、主に水耕栽培で栽培されます。貝割れ大根にも大根特有の辛みがあります。
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