〔マカ〕

　マカの原産地は南米ペルーで、もともとアンデス山脈の標高4000ｍ以上の高地に自生していたアブラナ科の植物です。マカはカブのような形状をしていますが、植物としては大根や人参に近い根菜類です。

　マカが自生したり植栽される地域はアンデスの高地であり、昼夜の温度差の激しい、自然環境・気候の極めて厳しい地域です。

　厳しい自然環境下では樹木といえるようなものはほとんど生育しませんので、逆にいえば一般の植物が栄養分を吸収しないため、土地は豊かでミネラル分などを豊富に含んでいます。

　マカは、このような豊かな土壌と太陽の恵みにより育つのですが、土壌からあらゆる栄養分を吸い上げて育つとされています。このため、一度マカを栽培した土地は、その後、最低でも数年間は土壌中に栄養分が蓄積するまで使用できなくなるとされています。

　マカにはアミノ酸やミネラルを豊富に含みますが、その効能で特記すべきことは、自然な形で人間の性機能を高めてくれる点です。天然のバイアグラと呼ばれることもあります。

　スペイン人がペルーを征服した時代の興味ある伝説があります。スペインの軍馬がペルー高地に順応することができないで子孫を残すことができず、存亡の危機に瀕した際、原住民の勧めによりマカの葉を馬に与えたところ、見事繁殖に成功したというのです。このような伝説が、インカ帝国征服の秘話として伝わっています。

　マカは、既に2000年以上の昔からアンデス高地で、現地ではアンデスの人参として栽培され、滋養食品として珍重されてきました。

　現在では、マカはペルー政府にとって貴重な貿易資源であり、ペルー国外への持ち出しは法律で禁止されているとのことです。

　マカが日本に伝来したのは、下の年表で示すようにごくごく最近のことになります。伝来といっても日本で栽培されることはなく、貴重な薬用植物としてペルーから輸入されているのです。

　近年のペルーから輸出されるマカの主な輸入国は、一位の米国に次いで日本が第二番目となっています。日本では、薬局やドラッグストア、通信販売などでもマカの加工食品が販売されています。

マカの日本での普及

1997年11月	ペルーの日系法人「コペルニックス・ジャパン」により、日本でははじめて、マカが健康食品として紹介されました。
1998年	当時の日系のペルー大統領、アルベルト・フジモリ氏が来日した際、ペルー特産品のひとつとしてマカを紹介しました。
2001年5月10日	TBSの「回復！スパスパ人間学」でマカが紹介されました。
2003年1月2日	日本テレビ「世界仰天グルメ特捜スペシャル」でマカが紹介されました。これ以降、マカは広く一般に知られるようになりました。

　マカの根に含まれる栄養成分には、炭水化物、たんぱく質、脂質、食物繊維などの他に、ビタミン類、ミネラル類、必須アミノ酸類などが豊富に含まれています。 （マカの栄養成分などの分析例は多数あるものの、多くの場合、分析が不十分でありはっきりしないのですが、ここでは参考例として、株式会社ウーマンコムの天日乾燥マカを財団法人日本食品分析センターが成分分析した結果を示します。）

天日乾燥マカ100ｇ中の栄養成分

基礎分析	水分	3.4ｇ
	炭水化物	56.6ｇ	糖質
	たんぱく質	12.1ｇ
	脂質	1.8ｇ
	食物繊維	21.6ｇ
	灰分	4.5ｇ
	エネルギー	334ｋcal
ビタミン類	ビタミンB1	0.14ｍｇ	サイアミン。体内で糖質エネルギーに変えるビタミン。不足すると疲労物質の乳酸がたまり疲れやすく神経系の障害となる。
	ビタミンB2	0.14ｍｇ	リボフラビン。発育促進に必要なビタミン。不足すると発育不良や皮膚・粘膜の炎症、口内炎や口角炎を起こす。
	ビタミンB6	0.37ｍｇ	アミノ酸の合成や分解に必要なビタミン。皮膚や粘膜を強くし感染症を予防する。
	ビタミンB12	0.04ｍｇ	赤血球の合成する働きを持ち、悪性貧血を防ぐ。神経細胞内のタンパク質や脂質、核酸の合成を助け、神経の働きを正常に保つ。
	ビタミンE	2.4ｍｇ	α－トコフェロール当量。活性酸素から体を守る。老化・生活習慣病を予防。ホルモンの生成分泌に関わり、血行改善・更年期障害に有効。
	葉酸	61μｇ
	パントテン酸	1.18ｍｇ
	ビオチン	8.4μｇ
	イノシトール	229ｍｇ
	ナイアシン	12.0ｍｇ
	コリン	0.12ｇ
ミネラル類	ナトリウム	11.8ｍｇ	細胞外液にあって細胞の浸透圧を調整する。
	リン	311ｍｇ	細胞膜を構成し、神経や筋肉の機能を正常に保つ。リン脂質となって脳細胞や神経細胞に必要不可欠。
	鉄	7.38ｍｇ	赤血球ヘモグロビンの必須成分。脳や体に酸素を供給し、体全体の機能を高める。不足すると鉄欠乏貧血となる。疲労を防ぎ、病気に対する抵抗力を増す。
	カルシウム	328ｍｇ	骨や歯を形成。筋肉の収縮に関与。イライラを鎮める作用を持つ。細胞代謝の活性化、ホルモン分泌の調整、免疫強化などに必要。
	カリウム	1.73ｍｇ	細胞内液にあって細胞の浸透圧を調整する。
	マグネシウム	82.2ｍｇ
	銅	0.38ｍｇ
	亜鉛	5.55ｍｇ	子供の発育を促進。味覚や嗅覚を正常に保つ。生殖能力の維持に不可欠で、免疫の機能にも関わり、脱毛を防ぐ。
	マンガン	4.18ｍｇ
	セレン	検出せず
	ヨウ素	検出せず
アミノ酸類	アルギニン	590ｍｇ	成長ホルモンの分泌を促進。皮膚の老化を防止。若返りに重要なアミノ酸。精子の形成にも必要な成分。
	リジン	180ｍｇ
	ヒスチジン	140ｍｇ
	フェニルアラニン	270ｍｇ
	チロシン	170ｍｇ
	ロイシン	420ｍｇ
	イソロイシン	280ｍｇ
	メチオニン	100ｍｇ
	バリン	390ｍｇ
	アラニン	370ｍｇ
	グリシン	320ｍｇ
	プロリン	2830ｍｇ
	グルタミン酸	780ｍｇ
	セリン	290ｍｇ
	スレオニン	300ｍｇ
	アスパラギン酸	610ｍｇ	エネルギー代謝に関与。スタミナを増強する。有害なアンモニアを体外に排除したり神経系を守る。
	トリプトファン	80ｍｇ
	シスチン	100ｍｇ

　マカは、男女の性の増強などに効果があります。その他にも下記のような症状に効果が認められるとされています。

　多くの症状は、各人の持つストレスや持病、食習慣などにより大きく異なりますので、マカを服用すれば、直ちにEDやいろいろな症状が改善するという特効薬ではありません。しかし、続けていれば、それなりに効果がでてくると期待されるのです。

　他の健康食品やサプリメントと同様に、マカも不足しがちな栄養成分などを体外から補い体内バランスを改善しようとするものですから、極端に多く摂取したり、過度に期待しすぎてはなりません。

マカの効果・効能

精力増進	マカに含まれるアルカロイド、デキストリン、アルギニン、亜鉛などの成分は、精力を増進させる効果があります。
不妊症解消	必須アミノ酸をはじめとする栄養成分が、ホルモンの過不足を調整し不妊症の改善に役立つとされています。アミノ酸のリジンには、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌を促進する作用があります。 　アルギニンは、男性の生殖細胞の80％を構成し、生殖器官を刺激するので、男性の勃起不全（ED）の改善に効果があります。男性不妊の改善も期待されます。
生理痛・生理不順改善	マカに含まれるアミノ酸やミネラルは、体内のホルモンバランスを調整し正常に戻してくれます。
更年期障害	カルシウムやアミノ酸のバランスがホルモンバランスの安定を促します。
冷え性改善	身体のホルモンバランスが整うので、血液循環が良くなり「冷え性」の改善が期待されます。
疲労回復・体質改善	マカに含まれるビタミンB群、ビタミンE、カルシウムなどは自律神経を強化し、ストレスに対する耐性を高めます。また、ビタミンB1やアミノ酸（グルタミン）が、蓄積した疲労を取り除き、疲れにくい体作りを手助けします。 　ネットで眼精疲労が蓄積したり、肩こりがあるときなどに症状を和らげてくれます。

　マカはペルーでは、数千年にわたって食されてきた一種の野菜です。自然食品ですから、基本的にどのように摂取しても問題はありません。世界中で多くの人たちがマカを服用していますが、副作用の報告は全くありません。

　とはいっても、高血圧の方は過剰摂取すると、問題が起こるかもしれません。高血圧の医薬、血圧降下剤を服用されている方は医師と相談してください。

　マカの標準摂取量というものは決まっていませんが、健康食品やサプリメントとして摂取する場合には、そのマカ製品の表示に従ってください。

　粉末のマカは、クリームシチュー、煮込み料理、コーンスープ、マーマレード、パンチ、ジュース、カクテル等として摂取することができます。

　ペルーでは、マカは一種の野菜であり、煮て食べたり、焼いて食べたり、シチューに入れて食べたり、ジュースにして飲まれています。