ジャガイモは世界各地で栽培されることで品種数は無数にあります。日本国内においても毎年新品種が開発されていて非常に多くの品種が存在します。ここでは、日本国内で栽培されるジャガイモの内で特に有名な品種をご紹介します。
尚、ここで「生食用」という奇妙な言葉が出てきますが、これはジャガイモを「生のまま食べる」という意味ではなく、一般家庭やレストラン、スーパーでのおかず調理用など普通の料理用として使うという意味です。念のため。
ジャガイモの品種名
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特徴
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男爵薯(だんしゃくいも)
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1908年(明治41年)に川田龍吉男爵がイギリスから持ち込み日本に定着させた品種である。正式品種名は「アイリッシュ・コブラー(Irish Cobbler)」といい、東日本で多く生産される。
芽のあたりが大きく窪んでいて皮を剥きにくいが、でん粉量が豊富でホクホクした食感が好まれる。煮くずれしやすい欠点があるが、マッシュポテトやコロッケ用に適している。
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メークイン
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メークイン(May Queen)は、イギリスで開発され大正時代に日本に持ち込まれた品種で時に「メイクイーン」とも呼ばれる。主に西日本で生食用品種として生産されている。
形状は比較的滑らかで細長く皮が剥きやすい特徴がある。男爵薯に比べて粘り気があり煮くずれしにくいので、肉じゃがやカレー、シチューなどの煮物料理に愛用される。
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キタアカリ
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男爵薯を母親として、現在の北海道農業研究センターで、土中に生息して大幅なジャガイモの減収を引き起こすジャガイモシストセンチュウへの抵抗性を備えた品種として開発され、1987年に品種登録された品種です。生食用として消費される。
ホクホクの粉質で煮くずれしやすいが、マッシュトポテトや粉吹き芋、ジャガバター用などに適している。香りもよくカロテンやビタミンCの含有量が非常に多い特徴がある。
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とうや
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ジャガイモシストセンチュウ抵抗性およびウイルス病(PVY)耐性を持つジャガイモとして北海道農業試験場で開発され、1995年に登録された品種です。生食用として消費される。
肉質は黄色で、カロテンやビタミンCの含有量が多くヘルシーなジャガイモです。煮くずれししにくく、カレーやチチュー用素材として適している。また、口当たりもホクホクかつ滑らかなので肉じゃがやポトフなどの煮込み料理にも合うほか、ポテトサラダにも向いている。
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ワセシロ
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北海道立根釧農業試験場で開発され1974年に品種登録されたジャガイモで、生食用、加工食用として使われる。特にポテトチップ酔うとして使用される。
短時間で煮えるが煮くずれししやすい。食感はホクホクで粉ふき芋やポテトサラダなどに適している。
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トヨシロ
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北海19号とエニワの交配種として1976年に品種登録された品種です。主にポテトチップの材料として使用される。加工用品種です。
淡い黄色の肉質で味に特別な癖がなく、ホクホク感もあるので煮物にも使われる。ポテトサラダにするとクリーミーで美味しい。
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ホッカイコガネ
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1981年に登録された品種で、トヨシロと北海51号を交配して開発された。形状はメークイン類似の長形でメークインよりも煮くずれしにくい。別名で「黄金メーク」や「コスモメーク」と呼ばれることもある。生食用品種です。
一般にフレンチフライ用として使用される品種ながら、家庭では煮物用やポテトサラダ用としても適している。
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インカのめざめ
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じゃがいもの中で一番小粒の品種とされ2002年に登録された。黄色い肉質で甘みが強く栗やサツマイモなどに似た食感が得られる。収量が少なく病害虫にも弱いため栽培は難しい上に、発芽しやすく長期保存も困難な品種ですが、最近では生食用品種として人気が高まっている。
煮くずれししないので、煮物にてきしているほか、粉ふき芋やカレー、シチューに入れても美味しい。調理後にも濃い黄色を呈するため、お菓子用素材とされたり、最近では風味を活かして本格焼酎用原料としても使われている。
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デジマ
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長崎県総合農林試験場で開発され、1971年に登録された品種で、大きめで収量が多い。暖地栽培に適した品種で長崎県はじめ九州全域で栽培されている。長崎の「出島」に因んで「デジマ」の名称となった。
やや粉質の黄色い肉質で、適度に煮くずれするが、煮物や味噌汁の具として適している。明るい場所で保管すると容易に緑色に変色する欠点がある。
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ラセット・バーバンク (Russet Burbank potato)
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1910年頃、アメリカで開発された品種で、大きく育つためフライドポテト向けジャガイモとしてアメリカで最もポピュラーなジャガイモです。
収量が得られないなど日本の気候などには適しておらず栽培されることはなく、国内では主に加工品として輸入されている。
この種類のジャガイモには「ラセット・バーバンク」の他にも「ラセット・レンジャー」「ラセット・ノーコタ」「ノーキング・ラセット」「シェポディー」など多くの類似品種がある。
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シンシア (Cynthia)
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フランスのジェルミコパ社が開発し品種で、日本では2003年に品種登録されたジャガイモです。他の品種のジャガイモに比べてシンプルな卵形をしていて、保存性にも優れている。
淡い黄色の肉質で、味がしみやすく煮くずれしもしないため人気があり、煮物やおでん用として使用される。
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アンデス赤
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1970年代にアーリーローズとアンデス原産の2倍体栽培種とを交配し開発した新品種です。赤い表皮で鮮やかな黄色の肉色のジャガイモで食味もよい。春秋二期作も可能という特徴があるが、どちらかといえば秋作に向いている。
この品種は「アンデス赤」のほか、「ネオデリシャス」や「レッドアンデス」「アンデスレッド」「アンデス」などの名称でも市販されている。また、近隣種として「ジャガキッズ」や「タワラマガタマ」「タワラヨーデル」がある。
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