〔菊芋〕

　菊芋（キクイモ）は、キク科ヒマワリ属の多年草で、別名「アメリカいも」とか「ぶたいも」とも呼ばれます。アメリカインディアンのトピナンプ族が栽培し食用にしていたことから、ヨーロッパではトピナンバーとも呼ばれます。

　菊芋の植物は、草丈が1.5～3めほどに成長し、秋には菊やヒワマリのような黄色い花をつけ、秋の終わり頃には地中に塊茎を作ります。茎や葉に小さな刺があります。菊芋の形は、しょうがに似ていて、表面には凸凹があります。水分を多く含みサクサクした歯ざわりで淡白な味がします。菊芋の皮は紫色を帯びた茶色で、中身は白くなっています。

　菊芋は非常に繁殖力が強く、野生化すると凄い勢いで繁殖します。

　菊芋の塊茎は食料用や飼料用として利用されるほか、果糖の原料ともなります。今でもフランス料理では菊芋を使っています。

　菊芋の原産地は、北アメリカ北部～北東部とされ、ヨーロッパへは17世紀初頭に伝えられました。また、日本に伝来したのは江戸時代末期～明治時代初期のことで、主に飼料用作物としてのものでした。

　20世紀初頭のこと、エドガー・ケイシーという人が、多くの糖尿病患者に菊芋を与え、糖尿病患者を恐ろしい合併症から救いました。彼は「菊芋は天然とインスリンだ」という言葉を残しました。菊芋には血糖値を降下させる作用があることを発見したのです。

　菊芋の主成分は食物繊維と難消化性の多糖類イヌリンです。イヌリンの量は生の菊芋の13～20％ほども含まれます。他の芋類とは異なり、菊芋にはでん粉質はほとんど含まれません。

　イヌリンは、果糖が約30個ほどつながった多糖類の一種で、イヌリンは消化によりキクイモオリゴ糖（イヌロオリゴ糖）となります。

　菊芋のイヌリンという食物繊維の多糖類は、胃や腸で消化吸収されにくく、ドロドロの繊維質となり胃の下部や小腸の内壁を覆い、炭水化物の吸収を抑制します。十二指腸では、脂肪の消化吸収にかかわる胆汁酸と複合し、脂肪の吸収を抑制します。また、腸の善導運動を促し便通をよくします。

　イヌリンは、腸内のビフィズス菌の餌となり善玉菌を活性化させる作用もあるとされ、整腸作用や便秘解消に効果が期待されます。

　イヌリンは摂取しても消化吸収されにくく、インスリン分泌を抑制するので血糖値を上昇させることがなく、インスリンの過剰分泌を抑制するので、糖尿病の予防や改善に確実な効果があるとされています。

　菊芋には次のような症状などに効果・効能があると期待されます。

　・糖尿病予防と改善
　・整腸作用
　・便秘解消効果
　・ダイエット効果
　・高血圧予防

　菊芋には特別な副作用があるとの報告はありません。

　菊芋の料理法としては、漬物・味噌漬けにするほか、牛乳で煮たり、バターで焼いたり、スープやフライに用いたりして食用とします。

　菊芋を含有する健康食品・サプリメントは、通販市場、ちゃっかりダイエットココミンなどから販売されています。これらのご利用に関しては、販売会社のご説明だけでなく、上記の内容もよく理解して下さるとよいと思われます。

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